FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~懲りない面々

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●いったい何件なの?
  与党3党は28日、政策責任者会議を開き、公共事業の見直し方針を最終決定した。トップで報じた産経によると、中止が決まった案件は210(日経、東京も同数)。これに対し、朝日、読売、毎日は255と報道。この違いは?

  実は255という数字は、与党が8月末に原則中止を勧告した233件のうち継続案件(14件)と調整案件(9件)を除く210件に、建設・農水両省が独自に中止候補としてリストアップした46件のうち45件を上積みした数字なのである。

  公共事業中止報道を巡る数字の混乱?はまだある。政府・与党は継続案件を14件としているが、毎日の調査によると、「国庫補助を中止する」としている35事業の大半について地元自治体が「継続」を希望していることが分かった。ますます分かりにくい。

  ハッキリしているのは中止、継続案件ともにまだ事業数が確定していないということである。「中止勧告が『促進バネ』?」(読売)となって自治体が「猛烈巻き返し」(同)を図っており、族議員の「再編の兆しも」(日経)・・・。ほんと、懲りない面々ですな。

  ◇“安楽死先進国”のオランダで、安楽死を合法化する法案が下院を通過、年内にも成立の見込みとなった。法案には12歳以上の未成年者にも一定の条件のもとに権利を認めており、国民の92%が安楽死を支持しているオランダならではの法案といえる。

  このニュース、読売と東京がトップで報道しているが、日本人にはちょっと早すぎる1面トップでは?

  ◇戦後処理はなお続く。太平洋戦争末期に秋田県の花岡鉱山で起きた「花岡事件」を巡る損害賠償訴訟で、原告の中国人労働者らと被告の鹿島との間で和解が成立する見通しとなった。朝日と毎日がトップで報じている。

  ◇日経のトップは、来年度税制関連のニュース。自民党の税制調査会が、相続税の最高税率を現在の70%から60%に引き下げ、贈与税の非課税枠についても100万円程度(1人当たり)に引き上げる方針という。

  【IT】
  ●配信ビジネス相次ぎ登場
  ブロードバンド(大容量)インターネットの普及をにらんだ映画、漫画、小説などの配信ビジネスが相次いでスタート。いずれも低価格か無料となっており、まず顧客を獲得しようという企業側の意図が見て取れる。朝日が経済面で特集している。

  ◇典型的なアナログ産業だった非鉄金属業界がIT景気で潤っている。非鉄大手7社の9月中間連結決算は、電子材料製品などIT関連の売り上げ増加を主因に全社が経常黒字となった。

  【トピック】
  ●呆れ果てて・・・
  この人もほんと、懲りない人だ。本会議の壇上で野党席に向けてコップの水をまき登院停止となった松浪健四郎衆院議員(保守党)に森喜朗首相が「気持ちも分からんではない」と発言、口に当てていた絆創膏が剥がれてしまった。

  堪え性のない森サンは、内閣改造問題でも不用意な一言を発し、野中広務幹事長から“教育的指導”を受けた(毎日)。橋本派では森首相の現在の立場を「蟄居謹慎中」と表現しているが、森さんにはこの4字の熟語は理解できない。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm

2000/11/29 09:01