情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●KSDの政治資金の出所
2年前、KSD(ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団)という“商工会議所もどき”の公益法人について取材したことがある。当のKSDが「取材は一切受けない」というので周辺取材に終わったが、ライバルの商工会議所関係者がこんなことを言っていたのを記憶している。
「KSDは古関忠男理事長への信頼だけで組織が大きくなっていった一種の宗教団体のようなもの。いずれ転機を迎えるはず」
はたしてKSDは、転機を迎えるどころか“転落”の憂き目に。カリスマ、古関理事長は業務上横領容疑で逮捕され、政官界との癒着の構図も浮かび上がってきた。
KSDの政治工作を担当する組織は、KSD豊明会。この組織は独自の収入源を持っており、KSDの資金力に頼らず独力で政治献金を行っている、と所管官庁の労働省は国会で説明してきた。
が、これは真っ赤なウソ。政界資金は事実上KSDが負担していたことが明らかになった、と毎日と産経が報じている。
KSDの「迂回献金」のどこが問題なのか。毎日のアバウトな記事を読んだだけでは分からないので、地検報道に強い産経の記事を引用する。
「KSDは公益法人であることから、政治献金をできないことになっている」。これでお分かりいただけたと思う。やってはいけないことをやったから問題なのだ。
◇地球温暖化防止のルールを決める「気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)」が大詰めを迎え、EU以外の先進国グループが新たに10億ドル規模の資金援助計画を提案した。
途上国の温暖化対策を支援するため世界銀行などで作る「地球環境基金」に専用の窓口を設け、援助や低利融資を行うという内容。途上国側もこの提案を評価している、と朝日が報じている。
閉幕の時間が迫ってきた。これで一気に局面打開となるか。
◇この時期になると、来年度予算の編成に関し「大蔵省は、○○する方針を固めた」という記事が紙面を飾るようになる。いずれも歳出の大幅カットなど、大蔵省の“やる気”をうかがわせる内容だが、実現するケースはごくわずか。
読売は、公共事業の借金依存体質を抜本的に見直す、と報じているが、これもその類(たぐい)の記事か。
このほか、日経は商法改正、東京は「在宅当番医制度」を巡る不正疑惑を1面トップで報じている。
【IT】
●中国恐るべし!
パソコン関連製品の生産額(今年)で中国が台湾を逆転することが確実になった、と日経が台北発で報じている。1位の米国(1,034億ドル)と2位の日本(454億ドル)は定位置をキープするが、昨年まで3位だった台湾(232億ドル)を抜いて中国(255億ドル)が3位に浮上するという。
中国の躍進の背景にあるのが、台湾メーカーの中国進出。人件費の安い中国に生産拠点を移しているためで、日米欧の部品メーカーの「対中シフト」も進めば、中国が日本を抜く日もそう遠くはない?
【トピック】
●加速する「森離れ」
「今度の不信任案否決は、決して森総理の信任を決定したものではないと思っている」。22日に開かれた自民党橋本派の総会で、野中広務幹事長の口からこんな発言が飛び出した。
野中発言の真意は? 加藤紘一元幹事長が「森おろし」の狼煙を上げて以来、“森離れ”の論調を鮮明にしている読売が23日朝刊のトップで報じた。
他紙もこの発言を1面で取り上げ、ポスト「加藤政局」の胎動を匂わせているが、この日はもうひとつ注目される発言があった。公明党の冬柴鉄二幹事長が共同通信の講演会で、「あと1~2週間くらいに森さんが代わらない限り、森さんが次の総理で(中央省庁再編がスタートする)1月6日を迎える。そういう流れになるのではないか」と意味深な発言を行ったのだ。
◇回りだした歯車は止まらない。野中氏は23日も「森総理は信任されたとは思わないで、緊張感、謙虚さをもって、毎日毎日を刻んで欲しい」と発言。24日朝刊で、野中氏の真意を首相への「しった激励」(毎日)と報じている新聞もあるが、はたしてそうだろうか。 野中、冬柴両氏の一連の発言を深読みをすれば、ここ1~2週間内に森内閣の退陣もあり得る?ともあれ、一難去ってまた一難。森首相の周辺は再びきな臭くなってきた。政治アナリスト・北光一氏(27日掲載の『日本の政治を読む』)の「分析」が待たれる。
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm
2000/11/24
09:06
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