情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●NTTが紙面ジャック
発表物ならいざ知らず、特定の企業(グループ)関連のニュースが6紙中3紙のトップを飾るのは珍しいことである。
まず、読売と日経の“呉越同舟”のスクープ。NTTドコモ(9437)が米AT&Tの携帯電話会社、AT&Tワイヤレスと資本提携することになり、ドコモがワイヤレスの株式の15~20%を約1兆円で取得する方向で最終調整が行われているという。
実現すれば、ドコモはドル箱の「iモード」だけでなく、次世代の技術規格「W-CDMA」についても世界の携帯電話市場で主導権獲得の足場を確保することになる。
問題は、このニュースの真偽だが、正確な後追い報道で定評のあるNHKが朝っぱらから追いかけてました。
◇NTT絡みのトップ記事をもう1本。朝日は、NTTの電話回線を使って高速インターネットに常時接続できるデジタル加入者線(DSL)に、NTTの東西会社が本格参入する、と報じている。
総合デジタル通信網(ISDN)は過去の技術。IT革命を支える救世主と期待されているDSLだが、国内の利用者は約3,000にとどまり、普及が進まない。朝日によれば、その理由はベンチャーに対するNTTの非協力的な姿勢にあるが、DSL消極派だったNTTが突如、積極派に転じた背景は?
朝日が15面で詳報している。
◇野党の不信任案を(他力本願で)否決に持ち込んだ森喜朗首相が、早くも内閣改造・党役員人事の準備に着手したと、毎日と東京が報じている。
野中広務幹事長と亀井静香政調会長の続投は確実。閣僚について両紙は人名を挙げていないが、読売は宮沢喜一蔵相と堺屋太一経企庁長官が引き続き閣内にとどまる方向で調整中と報じている。
最大の焦点は、“反乱軍”の処遇。東京は、<非主流派に入閣要請へ>の大見出しを掲げているが、本文では主流派内に加藤・山崎両派への反発が強いと指摘、要するにどっちに転ぶか分からないというわけだ。
◇いつの世も独裁者の末路は哀れ。東京滞在中のフジモリ・ペルー大統領がホテルの庭園で会見、日本定住を希望していることを明らかにした。
2重国籍を保有しているので、ふつうなら問題ないが、フジモリ氏の身勝手な行動にペルー国内で批判が強まっている時だけに、対応を迫られる外務省幹部もさぞかし困っていることだろう。
【IT】
●経済面にもNTT関連記事
1面に続き、経済面にもNTTグループの記事が。以下、論評抜きで紹介すると―。
◇NTTの東西会社が12月から予定していた光ファイバーによるインターネット向け定額サービスが延期される公算が大きくなった(朝日)。
◇長距離・国際通信を縄張りにしているNTTコミュニケーションズが市内電話への参入を表明したことで、グループ内に不協和音が生じている(毎日)。
【トピック】
●森「信任」で株価下落
円・株の叩き売り―。内閣不信任案が否決されたが、政局は安定せず、市場は「森おろし」政局の結末をこう評価した。経済の構造改革が遅れることへの懸念が売り材料となったのである。
こうした市場の冷ややかな反応ぶりを朝日、毎日、日経の3紙が経済面トップで特集している。
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm
2000/11/22
08:59
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