FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~やめて! 森サン

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●政局の混迷はなお続く
  数の力で非主流派をねじ伏せようとしても、御輿(みこし)を担ぐ若衆の中にも“不満分子”が・・・。そこで、総裁選前倒しの“妥協案”を持ちかけてみたが、「場外決戦」にこだわる敵は乗ってこない。そうこうしているうちに、御輿の上の御仁が腹をくくり「辞めないぞ!」と言い出す始末。

  自民党の加藤紘一幹事長が仕掛けた「森降ろし政局」の結末は、内閣不信任案の採決に委ねられることになった、と新聞各紙が報じている。

  内閣不信任案での激突となった場合、自民党議員の不信任案への同調者は? 朝日によれば、主流派の読みは「最大で44人」と否決に自信を見せ、非主流派も「加藤派25人、山崎派10人、その他10人の45人が賛成する」と、多数派工作が過半数ラインに近づきつつあることを強調しているという。

  全員出席で採決が行われる場合、野党プラス50票で不信任案は可決される。欠席者が出ればその分だけ過半数ラインが下がるわけで、今後、主流派・非主流派の切り崩し工作に一段と拍車がかかりそうだ。

  決戦の場は、野党が「20日に」と方針を固めた同日の衆院本会議だが、主流派が勝っても負けてもここでケリがつくわけではない。主流派の幹部が「不信任案を否決するのは森首相のためではなく、党のためだ。否決によって信任されたと思って、政権が長期になるのはどうか。首相自身が判断するだろう」(朝日)と指摘しているように、森喜朗首相は崖っぷちまで追い詰められており、東京によれば「否決後に森首相が自主的に辞任することで事態収拾を図る案も出ている」という。

  一方、仕掛けた加藤氏にも確たる成算があるわけではなさそう。筆者が接触した加藤氏の側近グループも「細工は流々、ではない」と語り、「加藤首相」への道筋が依然見えていないことを認める。

  不信任案が可決されても否決されても、政局の混迷は続く。どうせ混乱するなら、この際、既成政党の枠組みをいったん白紙に戻し、理念や政策を軸に再編成を考えたらどうか。

  どうせ、現在の政党の枠組みじゃ、どこが政権を握っても森政権よりはまし、といった程度の支持しか得られないのだから。

  ◇政局報道を1面トップに持ってこなかったのは日経のみ。2002年4月からのペイオフ解禁に備え、第2地銀58行が1,000万円を超す預金を自動的に他の第2地銀の口座などへ移す検討に入ったという。当然のことである。

  【IT】
  ●競争促進策の効果は限定的?
  通信分野の競争促進策などを検討していた電気通信審議会(郵政相の諮問機関)が16日、年内にまとめる答申の草案を公表した(各紙)。

  それによると、新電電などが求めていたNTT(9432)の再々編論議を事実上先送りする一方で、NTTグループの競争を促すため、持ち株会社にNTTドコモ(9437)などの持ち株比率を下げるよう提言。新味はゼロ、予想された内容である。

  この答申案をどう読むか。社説でこの問題を取り上げているのは、毎日(「IT促進に大胆な発想を」)、読売(「技巧に走り過ぎた電通審答申」)、東京(「大胆な再編が必要だ」)の3紙。

  【トピック】
  ●またも「森のお粗末!」
  APEC首脳会議で「電気がなくてもiモードは使える」と、のたもうた森首相。昨日の朝日の夕刊に続き、毎日がこの首相発言を取り上げ、“勉強不足”の首相を皮肉った。

  電力ないところでは、ITも無用の長物。先進国側が喧伝するIT革命に異論を唱える途上国首脳の発言に森首相、「ITは私の十八番」と手を挙げた。しかし、である。

  毎日によれば、「現在はiモードの時代。手のひらに乗るコンピューターがある。インフラがない地域でもネガティブに考える必要はない」と口走ってしまったのだ。

  インフラがなければ、携帯電話を充電する電気もないし、アンテナを建てようもない。無知の極みである。

  辞めて! ・・・違った。止めて、こんな恥ずかしいこと言うのを。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm

2000/11/17 09:10