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 金融再生法基準による不良債権残高は9月末で2兆5290億円。4大メガバンクで最も少なく、総与信に占める不良債権比率も4.1%と最も低い水準にある。ただ、これまで健全取引先としてきた千代田生命保険が10月に破たんするなど、融資先に問題企業を多く抱え、資産内容の健全性に潜在的不安が残る。なかでも「地雷原」となりそうなのがダイエー。三和銀行、東海銀行ともメーン4行の一角を占め、同社向け合計融資残高は7000億円にも達しているだけに、仮にダイエーが破たんなどすれば収益・財務基盤が一気に揺らぐのは必至だ。

 そのほか、三和銀は日本信販、大京、東海銀は藤和不動産、フジタなどのメーン先ともなっている。東洋信託銀行を含めた3行合計の剰余金と有価証券含み益は1兆4000億円を超え、不良債権の処理余力では「三菱東京フィナンシャル・グループ」に次ぐとはいえ、こうした企業の経営が行き詰まれば、たちどころに「資本の危機」に陥る。

 グループ内に投資銀行業務の核となり得る存在を持たない点も国際競争上、不利だ。有力外資と提携して業務を外部委託するなど、自前主義を捨てる覚悟が必要だろう。当初の統合構想からあさひ銀行が離脱、日本版ビッグバンの主戦場とされる首都圏でのリテール基盤が手薄になったことも痛い。穴を埋めるには、再々編が必要となろう。

富田 隆志
(2000/12/7)

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