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 資産の健全性と収益力では4大メガバンクでトップ。みずほフィナンシャルグループなどが5年後をめどにROE(株主資本利益率)12%を達成するとしているのに対し、「うちは3年でクリアする」(三木繁光・東京三菱銀行頭取)と豪語しており、「スピード感」でもライバルを凌ぐ。

 不良債権の処理余力など経営体力も他を圧倒する。今年9月末の有価証券含み益(ネット)と連結剰余金の合計額は2兆5000億円を上回り、みずほ、三井住友銀行、UFJのいずれも倍近い。三菱信託銀行は99年3月に取り入れた公的資金3500億円を今年度中に全額返済する予定で、公的資金依存体質からもいち早く脱却する。

 ただ国際競争に勝ち抜くには、やはり投資銀行機能が力不足。当面は野村證券から手に入れた国際証券と証券子会社の東京三菱証券を核に据える方針だが、日興證券との関係修復にめどが立たないなかで、近い将来、もう一段の買収戦略が予想される。

 総合金融グループを目指すうえで、保険分野の戦略構想が軋みをたてているのも不安材料だ。東京海上火災保険が日本債券信用銀行買収への参加や日動火災海上保険、朝日生命保険との経営統合化など独自の動きを見せているためだ。三木頭取は「将来は保険会社も三菱東京フィナンシャル・グループに参画して欲しい」と盛んに誘い水を撒くが、ミゾは埋まっていない。

富田 隆志
(2000/11/30)

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