兜町には、必ずしも運命論者が多いわけではない。しかし、時には奇妙な巡り合わせから運命論者的に相場の先行きに暗澹とならざるを得ないこともあるのである。来月の4月相場がまさにこれだ。相場大荒れの始まりとなった昨年4月からちょうど1年目であること、同じジンクスの「二日新甫」に該当すること、ポスト森政権の新政権が発足することなどなど、昨年4月と共通点が多いのである。昨年4月と同じ運命が待っているのか、4月相場の波乱を覚悟する市場関係者は少なくない。
●市場関係者も運命論に・・・
昨年と今年の4月の共通点のなかでも、市場関係者を運命論に最も傾かせているのが、「二日新甫」である。「二日新甫は荒れる」というジンクスが言い伝えられているからだ。二日新甫とは、その月の1日が日曜日(休日)に当たり立ち会いが2日ないし3日からスタートすることを指す相場用語である。昨年4月は、3日から立ち会いが始まり、今年は2日から始まるまさに正真正銘の二日新甫なのである。ジンクスの由来は詳らかではない。二日新甫の月は、キリスト教徒の厄日の13日の金曜日もやってくる。しかし、海外市場では、そのようなジンクスを聞かないから特殊日本的な言い伝えといえるようだ。だからこそ逆に妙な説得力に納得するわけだ。
現に昨年は4月、7月、10月がこの二日新甫に当たった。いずれも相場は大荒れに荒れ、日経平均株価は、節目といわれた大台を相次いで割り下げ足を速めた。相場環境も、4月は日経平均株価採用銘柄の大量入れ替えと森内閣の組閣、7月はそごうの民事再生法申請、10月は千代田生命と協栄生命の経営破綻と最悪材料が続出したことが背景となった。
●売りが売りを呼ぶ?
今年の4月も、ジンクスの再現が危ぶまれる懸念材料に事欠かない。まずポスト森政権の発足がある。下馬評にのぼっているうち誰が首相の座に坐るかによっては、売りが売りを呼ぶ展開となるおそれさえある。また、3月末の株価を取り繕ろうPKO(株価維持操作)が外れると、時価会計の本格導入や4月の会社分割法施行をきっかけに、不良債権の最終処理、リストラの嵐が吹き荒れる可能性がないともいえない。さらに、市場の内部でも、銀行より1年早い証券会社のペイオフ解禁、金融商品販売法の施行をこの4月に控え、証券会社の営業部隊の出足も鈍くならざるを得ないという見方も多いのである。
市場は、日経平均株価がバブル崩壊後の最安値を更新、1万1000円台に突入するなど、3月相場はまだまだ大荒れに荒れ続けている。それだけに、4月は同じ大荒れは大荒れでも、上方へとする市場関係者の願いは切なるものがあるのだ。
[相馬 太郎]
※このコラムは随時掲載します。
2001/3/13
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