トピック
防災ヘルメットは折りたたみ式もOK? 選び方を防災士に聞いた
2025年3月11日 08:00
2011年3月11日に発生した東日本大震災から今年で14年になります、東日本大震災以外にも、2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震、直近では2024年に能登半島地震が起きるなど、日本では頻繁に地震災害が発生しています。
地震が頻発することから防災意識も高まり、防災リュックや防災食など、いざというときの備えをしている人も多いでしょう。今回は、そうした防災対策の中から、発災時に建物の倒壊やがれきなどから頭を守ってくれる「防災ヘルメット」を選ぶ際のポイントや疑問点を、防災士の資格を持つ丸マイさんに解説してもらいました。
折りたたみヘルメットはあり? なし?
防災ヘルメットで近年注目を集めているのが折りたたみ式。日常生活では出番があまりなく、収納しやすいといった点から需要が高まっています。
しかし「頭を守るためなのに、折りたためるものでも大丈夫なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
折りたたみ式の防災ヘルメットについて丸マイさんは、「ヘルメットは、『国家検定合格品』『厚労省検定合格品』といった表記が、パッケージや商品紹介ページにあれば、折りたたみ式でも大丈夫です」と回答。
丸マイさんによると、元々防災ヘルメットというものは作られておらず、工事現場などで使われる産業用ヘルメットが防災用として使えることから、防災ヘルメットというカテゴリが生まれたそうです。
産業用ヘルメットは大きく3つに使用区分が分けられており、その違いを把握していると防災用を選びやすくなるとのこと。
1.飛来・落下物用:「飛んでくる物」「落ちてくる物」から頭部を保護するもの
2.墜落時保護用:「墜落」による頭部への衝撃を軽減するもの
3.電気用:頭部感電による危険を防止するもの
「災害時のヘルメットは、飛来物や落下物から頭部を守るために被ると想定されますので、『1』の使用区分の商品を選ぶと良いでしょう。『1・2』兼用の物もあります。
『1』の区分であるかは、購入するヘルメットに、〇〇用、検定合格品である『労(○年○月)検』のラベルが貼ってあるかを確認します。
ネットショップで購入する場合など、実際に商品を見られない時は、上述のとおりパッケージや紹介ページに、『国家検定合格品』『厚労省検定合格品』と表記されているかは絶対条件として確認しましょう」(丸マイ)
これらの表記があれば折りたたみ式ヘルメットでも問題ありませんが、折りたたみ式ヘルメットは安全性よりも、装着性や操作性で避けたほうが良い場合があるようです。
「折りたたみヘルメットを使おうとして実際に組み立ててみると、意外と時間が掛かったり、折りたたみ式で角があるため頭のハチに当たったりと装着していると痛くなる場合があります。発災時は家の中でもすぐにヘルメットを被ることが重要なので、組み立てに時間が掛かったり、装着が痛かったりする場合は、収納面をクリアできるなら通常の丸いヘルメットを備えておく方が良いでしょう。家族の人数分を一気に揃えるのではなく、まずは1つ購入してそれぞれの装着具合を確認するのも方法の1つです」と丸マイさんは話します。
自転車ヘルメットを併用するのはOK?
ヘルメットと聞くと、「最近は自転車のヘルメットが努力義務になったから、自転車用ヘルメットをいざというときに防災ヘルメットとして使えばいいのでは?」と思うかもしれません。
自転車用ヘルメットを防災ヘルメットとして使うことについて、丸マイさんは「用途がまったく違うので、防災ヘルメットは自転車用とは別で用意するのがオススメです」と回答。
「防災ヘルメットは産業用ヘルメットから生まれたものですが、自転車用ヘルメットはそうではありません。そもそもの強度や検査方法が違います。
防災ヘルメットは飛来物や落下物から頭部を守るために被ると想定されますので、内部にハンモックテープ(頭頂部に当たる部分が×状のテープになっている)がついており、ヘルメット本体が直に頭に触れていません。それにより頭部や首への衝撃を和らげます。
一方、自転車のヘルメットは、内部の発泡スチロールなどで、転倒時の衝撃から頭全体を守る構造になっています。装着時に蒸れないよう通気孔が開いているデザインも多く、真上からの衝撃や、飛来物(例えばガラス)から頭部を守る想定でないことがわかります」(丸マイさん)
発災時に他になにもないという場合は、自転車用ヘルメットでも被った方が良いですが、備える余裕があるならきちんと防災用のヘルメットを用意しておくのが良いでしょう。
購入後は「装着の練習と定期的なチェック」
ホームセンターなど店頭で防災ヘルメット買う場合は、きちんと試着してヘルメット本体の重さを確認することを丸マイさんは推奨。また、購入して満足するのではなく、装着の練習や定期的なチェックも必要です。
「強度や安全性は、耐用年数を過ぎておらず、ヘルメットを正しく装着していることが前提となります。なので備えるだけでなく、装着の練習と定期的なチェックをすると良いでしょう。
購入したら、ヘッドバンドやあご紐を自分のサイズに合わせておくと、スムーズに装着できます。特にお子さんは、成長に合わせて調整しましょう。折りたたみ式は、いざという時に説明書を読まなくても装着できるよう定期的(半年に1回以上)に組み立てることをおすすめします。
また、保管開始年月日を記入しておき、未使用の場合の交換目安は約6年になります。帽体のひび割れや変形などがあった場合は保管年数に関係なく交換するほか、災害などで使用した場合も保管年数が未使用時と変わってくるので、商品の取扱説明書に沿って取り扱いましょう」(丸マイさん)
防災ヘルメットは普段は使うことがなく、利用シーンがあまり浮かばないかもしれませんが、いざというときに必ず役に立ってくれる存在です。3月11日を迎える今、防災ヘルメットの備えもぜひ検討してみてください。