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iPhoneを引越しする iOS 17はLINEもSuicaも手間なく完了
2023年11月22日 08:20
iPhone 15シリーズも発売されて、旧モデルのユーザーは機種変更を検討する時期ですよね。しかし、円安による割高感は否めません。米国のAppleストアでは、799ドル~と数世代前から新シリーズの価格は据え置きなのですが、日本のAppleストアでは、124,800円……。買い替えを躊躇する金額です。
とはいえ、バッテリーが1日持たない、画面がバキバキで見えないといった事情があれば、そうも言ってられません。筆者はバッテリーが限界だったので、このタイミングでiPhone 15 Proを購入しました。
充電端子がLightningからUSB-Cに変更されたのは、iPhone 15シリーズの注目点のひとつです。ただ、転送速度が速くなるのは「USB 3.2 Gen 2」の規格に準拠するPro/Pro Maxのみ。動画撮影が目的なら魅力的です。また、Pro/Pro Maxはボディ素材がアルミニウムから軽くて丈夫なチタン製になりました。
iPhone 15シリーズ共通で、CPUは最新で高速、バッテリーの持ちが良い、カメラの性能が向上などの進化はありますが、古い機種を使っている場合は正直、一般的な使い方なら14、もしくは13シリーズでも、新機種ゲットの喜びは変わらないんじゃないかと思います。
どのモデルを使うにしても、少々面倒なのがデータの「引っ越し」です。過去に何台も乗り継いでいる経験から、特にLINEの移行や、“Wallet”のSuicaを削除&再発行と手間がかかるのは知っています。今回も気が重かったのですが、iOS 17では違いました。
「クイックスタート」で古いiPhoneを新しいiPhoneにクローン化できるのは数年前から同じ。しかし、これまでのような引っ越しに関する準備や後作業はほぼゼロでした。各サービスのおかげでもありますが、あっという間に引っ越し完了できます。
手間がかからないからといって、古いiPhoneを安易にフォーマットするのは悪手。何か忘れていることがあるかもしれません。一通りチェックして、新しいiPhoneで安定して運用できてからにしましょう。
Webサービスに正しくログインできるか、二段階認証は動作するかなど、新しいiPhoneでのチェックは必須です。独自のバックアップが必要なアプリもありますし、ネットバンキングのアプリではワンタイムパスワードの設定を忘れがちです。今回はiPhoneの引っ越しに関するポイントをまとめました。個人的には、iOS 17で採用された「eSIMクイック転送」の機能が使えるのか気になります。
iCloudバックアップは“ON”がおすすめ
「クイックスタート」を使った“引っ越し”が昨今の主流でしょう。新しいiPhoneに表示されるフワフワしたマークを古いiPhoneで撮影するだけと手軽です。しかし転送するデータの容量によってはiPhoneをしばらく使えなくなる弱点があります。
今は問題なくても将来、新しいiPhoneに引っ越す際に、古いiPhoneの電源が入らない、カメラが動作しないということもあるので、バックアップは作成しておくべきです。[iCloudバックアップ]が“ON”になっていることを確認しておきましょう。[設定]アプリを開いて、画面上部のApple IDから、[iCloud]-[iCloudバックアップ]の順にタップします。
「iCloud Driveの容量が足りない」というメッセージが表示されるときは、バックアップが作成されていません。引っ越しのために「データ移行のための一時的なバックアップ作成」という機能を利用することもできますが、あくまでも一時的なもの。iCloudの容量が不足していることは確かです。
新しいiPhoneのバックアップも作成されない状態なので、iCloud上の写真や動画などを整理するか、iCloud+のサブスクリプション契約などでバックアップのスペースを確保することをおすすめします。
LINEもSuicaも手間はないけどアプリは一通り起動しておく
以前はLINEのデータ移行やSuicaの再登録などに手間がかかりましたが、今回はまったく苦労なし。WalletのSuicaも、あっさり使えるようになっていました。ただし、Walletに登録済みのクレジットカードは、利用前にカード背面に掲載されているセキュリティコードの入力を求められます。まとめて認証しておきましょう。必要なカードは認証して、不要なカードは引っ越しのタイミングで削除してもいいですね。
LINEも新しいiPhoneでログインするだけで使えるようになりました。ただし、古いiPhoneでバックアップを作成してから、新しいiPhoneで[LINE]にログインすることをおすすめします。LINE Payも自動的に引継がれます。なお、パスワードを忘れている可能性があるなら、問題なく動作している古いiPhoneで再設定しておきましょう。
面倒ですが、新しいiPhoneでアプリを一通り起動しておきます。独自の引継ぎコードが必要なアプリもあり、サインイン済みの端末での認証を求められることもあります。試しに入れたアプリや、たまにしか起動しないアプリを整理するのもいいですね。
また、ネットバンキングで送金時に必要になるワンタイムパスワードは忘れがちな設定です。利用するときにあわてないように設定しておくことをおすすめします。古いiPhoneでのワンタイムパスワード解除が必要な金融機関もあるので注意してください。
ネットバンキング以外でも、決済が必要なサービスではSMSによる二段階認証が一般的なので、正しく動作するかどうかは引っ越しのタイミングで確認しておきましょう。
気になる「eSIMクイック転送」は……
「eSIM」は、物理的なSIMカードではなく、SIMの情報をデータとして携帯端末に内蔵する仕組みのことです。iPhone Xシリーズ以降で利用できるようになりました。インターネット上で回線を契約して、すぐ回線を利用できるようになります。例えば、海外旅行先で物理SIMを購入する手間がなくなります。
日本国内なら、主回線の音声通話用に大手キャリアのSIMを挿しておき、副回線のデータ通信用にMVNO(いわゆる格安SIM)をeSIMで設定しておくという使い方ができます。筆者もそのクチです。
SIMフリーのiPhoneなら物理SIMを差し替えるだけで回線を認識しますが、eSIMは端末ごとの認証が必要。「eSIMクイック転送」といっても、“転送”できないのでは? と思っていたら、案の定「非対応のSIMです」と表示されてしまいました。
気を取り直して、契約中のプロバイダ(IIJ)にアクセスし、eSIMの再発行をして無事にアクティベートできました(手数料200円)。eSIMの引っ越しに手数料がかかることもあるということをお伝えします。未検証ですが、docomo、au、ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMO、楽天モバイルは「eSIMクイック転送」に対応と公表しているので、該当のeSIMなら問題なく“転送”できると思います。
そのほかの設定も要チェック
従来と比較して、引っ越しの手間は激減したと思います。このほか、一般的な設定も確認しておくといいでしょう。例えば“iPhoneの名前”は古いiPhoneから引き継がれます。[設定]アプリの[一般]-[情報]の順にタップして表示できます。また、[モバイル通信]-[インターネット共有]で表示されるパスワードも必要に応じて変更しておきます。ユーザー辞書に登録した単語、アラームの設定、iCloudと同期するアプリのデータなども要チェックです。