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祝!ビール減税 新商品も続々登場のラインアップからお気に入りを探そう

10月1日より酒税改正により、「ビール」の税率が下がり、「新ジャンル」(第三のビール)の税率が上がります。「発泡酒」は据え置きです。ビールと、発泡酒および新ジャンルの価格差が縮まることが期待でき、こういった市場の変化に合わせて、ビールメーカーは新商品を続々発売しています。昔ながらの定番から新商品まで、いまどんな商品があるのかをチェックしましょう。

ビール系飲料の税率は2026年には一本化

まずは、10月からどのような改正が実施されるのかを見てみましょう。従来の税率は350ml換算で、ビールが70円、発泡酒が46.99円、新ジャンルが37.8円でした。10月からは、ビールが63.35円、発泡酒と新ジャンルが46.99円になります。さらに2026年10月には54.25円に一本化される予定です。

余談ですが、ヤッホーブルーイングの「水曜日のネコ」は副原料の使用量の関係で発泡酒に区分されていますが、麦芽比率の関係でビールと同じ酒税となっています。

さて、いま発泡酒や新ジャンルを選んでいる理由として、シンプルに味が好きだからという人もいれば、節約をしたいので安いものをという人もいるでしょう。まだ同じ税率になるわけではありませんが、後者の場合は、ビールが安くなればビールも選択肢に入れようと考える人も多いのではないでしょうか。

こういったニーズの変化に向けて、ビールメーカー各社は新商品を発売したり、定番商品をリニューアルしたりと、販売を強化しています。消費者としては選択肢が増えるのはうれしい限り。お店に行ってから迷うのも楽しいですが、その前に各商品にはどんな特徴があるのかチェックしておけば、より選びやすくなるでしょう。

ということで、アサヒ、キリン、サントリー、サッポロの4社の、通年販売を行なっている“黄金色”のビールを、スタンダード、プレミアム、低糖質や低アルコールなどの付加価値のあるビールの3つに分けて紹介します。

スタンダードビールではサントリーから新商品

ここではビールとして標準的な価格(350ml缶のコンビニ価格230円前後/9月時点)で、健康志向などをうたっていないものを「スタンダード」としてまとめました。「アサヒスーパードライ」「キリン一番搾り」「サッポロ生ビール黒ラベル」といった昔ながらの定番に、4月に「サントリー生ビール」というネーミングからしてスタンダードな新商品が加わりました。「アサヒ生ビール」(マルエフ)も復活という位置づけながら'21年9月発売なので、比較的新しい部類と言えるでしょう。

サントリー生ビール

4月に発売されたばかりの、サントリーの新たなスタンダードラインのビールです。特徴は「グッとくる飲みごたえと、かつてない飲みやすさ」。これを実現するため、厳選された麦芽に加えて、コーングリッツを一部使用し、糖化工程において仕込釜で麦汁を煮出す「デコクション」を3回実施する「トリプルデコクション製法」を採用しています。

なお、これまでスタンダードラインとして展開していた「ザ・モルツ」は製造終了となっています。

アサヒスーパードライ

スーパードライは「キレが冴える辛口ビール」というコンセプトで1987年に発売されました。そして'22年2月に、発売以来36年目で初となるフルリニューアルを実施しました。中味の処方を変更し、辛口のコンセプトはそのままに、キレのよさは維持しながら飲みごたえを向上させたとしています。

スーパードライブランドではそのほか、缶のふたを全開すると泡が自然に発生する「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」を、'21年4月より展開しています。さらに付加価値ビールとして後述しますが、通常のビールより低アルコールの「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」が、10月11日に発売されます。

アサヒ生ビール(マルエフ)

アサヒビールはスタンダードラインとして、スーパードライのほか「アサヒ生ビール」(通称マルエフ)を展開しています。発売は'21年9月ですが、もともとは1986年に発売し、その後生産体制をスーパードライに集中するため1993年に缶は終売。飲食店向けの樽生のみ継続して販売していました。

お客様相談室やSNS上で復活を望む声があったことから、味わいは発売当時の「コクがあってキレがある。さらにまろやかなうまみのある」特徴をそのままに、パッケージを大きく変えて発売されました。

キリン一番搾り生ビール

「キリン一番搾り生ビール」は、「一番搾り麦汁だけでつくるビール」というアイデアのもと、1990年3月に発売されました。その後、4度のリニューアルを経て現在の味に至ります。最新のリニューアルは'23年1月。麦汁の仕込み工程を見直し、麦本来の澄んだうまみを最大限引き出すことで、飲みやすく飲み飽きない味わいへ進化させたとしています。

キリンラガービール

「キリンラガービール」は、1888年にキリンビールの創業ブランドとして誕生しました。特徴は「ホップの効いた飲みごたえと締まりのある後味の、飲み飽きないうまさ」。キリンビールのものづくりの原点と位置づけられており、商品名は1988年に「キリンビール」から「キリンラガービール」へと変更されていますが、ラベルのデザインは130年以上たった今でもほとんど変わることなく引き継がれています。

発売当時と同じ熱処理製法でつくり出し、「コク、苦み、ビールの味わい」にこだわったという「キリン クラシックラガー」も展開しています。

サッポロ生ビール黒ラベル

1977年に「サッポロびん生」として誕生し、1989年に愛称として親しまれていた「黒ラベル」が正式に商品名になりました。原料や製法、輸送システムなどのリニューアルを重ねており、最新のリニューアルは'22年2月。「麦のうまみと爽快な後味の完璧なバランス」を目指し、「フレッシュキープ製法」「旨さ長持ち麦芽一部使用」「泡品質向上」はそのままに、「生のうまさ」へのこだわりをより一層進化させたとしています。

プレミアムビールではアサヒから新商品

スタンダードよりもちょっと高級な、350ml缶のコンビニ価格270円前後(9月時点)のビールを「プレミアム」としています。このラインには7月に「アサヒ食彩」が新商品として加わりました。そのほか定番では「ザ・プレミアム・モルツ」「ヱビスビール」、比較的新しい'21年3月発売の「SPRING VALLEY 豊潤<496>」があります。

アサヒ食彩

「アサヒ食彩」は、7月よりコンビニエンスストアでの販売を開始したプレミアムビールの新ブランドです。特徴は「生ジョッキ缶」第2弾という点で、開栓するときめ細かい泡が自然発生します。

味わいについては、厳選した麦芽とフランス産の希少ホップ「アラミス」を含む5種類のホップを使用し、高い濃度で麦汁を発酵させることで、華やかで豊かな香りと濃厚なコクが楽しめるとしています。

キリン SPRING VALLEY 豊潤<496>

「SPRING VALLEY 豊潤<496>」は、'21年3月にキリンから発売されたクラフトビールです。特徴は、きめ細やかな泡、口に広がる麦のうまみ、豊潤なのに綺麗な後味。麦芽はキリンラガービールの約1.5倍使用、ホップは4品種を組み合わせるなど素材にこだわり、ディップホップ製法を採用することで、苦味は抑えながら豊潤な香りを実現したとしています。

サントリー ザ・プレミアム・モルツ

「ザ・プレミアム・モルツ」は2003年に、高品質な欧州産ファインアロマホップの使用や天然水醸造など、素材・製法に徹底的にこだわったブランドとして登場。発売から20年を迎えた'23年2月にリニューアルしました。

リニューアルでは、穀皮を除去しコクに寄与するたんぱく質を多く含む「磨きダイヤモンド麦芽」を一部使用し、同社こだわりの製法で醸造することで、“華やかな香り”“深いコク”をより上質に、一層鮮やかに仕上げたとしています。

ザ・プレミアム・モルツブランドは、「香るエール」「マスターズドリーム」など、プレミアムビールのブランドの中でも多彩なラインアップを取り揃えている点も特徴といえるでしょう。

サッポロ ヱビスビール

「ヱビスビール」が誕生したのは1890年。それ以来、麦芽100%、ヱビス酵母、ふんだんに使用されたバイエルン産アロマホップ、通常のビールの1.5倍の長期熟成により、本場ドイツのおいしさにこだわり続けているというブランドです。味わいの特徴は「旨味あふれる、ふくよかなコク」としています。

ヱビスビールブランドにはそのほか、「ヱビス プレミアムエール」などがあります。

サッポロ SORACHI1984

「サッポロ SORACHI1984」は1984年に開発、'19年4月に通年販売を開始しました。北海道上富良野産のホップ「ソラチエース」を使用している点が特徴で、消費者から「ヒノキ、レモングラスのような個性的な香りが心地良い」との評価があるといいます。'23年2月のリニューアルでは、ソラチエースの使用量をアップしています。

アサヒから低アル、サッポロから糖質・プリン体オフの新商品

ここでは、味や香り以外の面で特徴がある、付加価値を持ったビールを紹介します。10月中旬にアサヒから低アルコールの「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」が、サッポロから糖質・プリン体オフの「サッポロ生ビール ナナマル」が発売されるほか、キリンとサントリーが「糖質ゼロ」を特徴としたビールを展開しています。価格はスタンダードラインと同程度です。

アサヒスーパードライ ドライクリスタル

「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」は10月11日発売の、アルコール分3.5%の「スーパードライ」です。ビールはアルコール分が5%前後の商品がほとんどという状況の中、新たな選択肢として低アルコールビールを発売しました。品目は「発泡酒」などではなく「ビール」です。

冷涼感が特長のドイツ産ホップ「ポラリス」を一部使用するとともに、通常のスーパードライよりも発酵度を上げることで、アルコール分3.5%ながらも本格的な飲みごたえを実現したとしています。

サッポロ生ビール ナナマル

「サッポロ生ビール ナナマル」は10月17日発売の、糖質・プリン体2つのオフを訴求する日本初のビールです。ともに70%オフを実現していると同時に、複数の厳選麦芽と最高級ファインアロマホップ一部使用し、ビールならではの飲みごたえを実現しているとしています。

キリン一番搾り 糖質ゼロ

「キリン一番搾り 糖質ゼロ」は国内で初めて、ビールカテゴリーで糖質ゼロを実現した商品です。健康志向の高まりを受け、'20年10月に発売されました。'23年4月にはリニューアルがあり、ビールとしての飲みごたえを高めながら、雑味がなく飲みやすい味わいを実現したとしています。

パーフェクトサントリービール

「パーフェクトサントリービール」も同じく糖質ゼロが特徴で、発売は'21年4月です。'22年8月にリニューアルがあり、味わいの骨格はそのままに、濃色麦芽の一種である「ミュンヒナー麦芽」を1.5倍に増量することで、ビールらしい飲みごたえを強化したとしています。また、糖質ゼロながら本格ビールのうまさを実現するため、「ザ・プレミアム・モルツ」「同 マスターズドリーム」を通して培ってきた製法やノウハウを結集していることを訴求しています。

4メーカーの主要ブランドだけでもこんなにたくさんの種類があったのか驚く人もいるのではないでしょうか。紹介したビールのうち、今年発売されたのは3製品、そのほかも嗜好の変化に合わせてリニューアルしていて、酒税改正に向けて各社がいかに「ビール」に力を入れているかが分かるでしょう。

季節限定製品や、黒ビールや白ビール、クラフトビールなど、紹介しきれなかった商品も多彩です。新商品も含めて飲んだことがなかったビールを飲んでみて、自分にとっての新定番を探してみてはいかがでしょうか。

加藤綾