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変わり続けるメルカリ 個人間取引を軸に「大胆に挑戦」

メルカリ 山田進太郎 代表取締役 CEO(写真提供:メルカリ)

2023年7月2日、メルカリは10周年を迎えた。月間利用者数2,200万人以上、累計出品数は30億品を突破し、フリマアプリは日本において「当たり前のもの」になったといえるかもしれない。

2018年の上場以降、コア事業のフリマアプリだけでなく、メルペイ、米国(US)メルカリの3本柱を強化して、成長を続けてきた。直近の決算では過去最高益となり、3本柱だけでなく、メルカードやメルコインなどの新たなビジネスも拡大している。

日本のスタートアップの代表格となったメルカリだが、かつては、社会を驚かせるような問題も発生した。2017年に発生した「現金」を出品・販売できてしまった件は、悪い意味で社会問題となった。

いくつかの歪を乗り越えながら、個人と個人を結ぶ巨大なマーケットプレイスとして成長してきたメルカリ。近年は、ダイバーシティやサステナビリティについての発信や安心・安全への取り組み、政策提言など、今後の社会課題やトラブルを事前に予測しながら、「先に動く」会社になってきたようにも見える。

この5年程度で大きくかわったメルカリ。業績は好調に見えるが、「もっと大胆に挑戦する機会があった」とも語る。メルカリはどう成長してきたのか、社会課題にどう向き合ってきたのか、メルカリ創業者の山田進太郎 代表取締役 CEOに聞いた。取材はオンラインで行なった(取材日は9月21日)。

Impress Watch リニューアル5周年企画

Impress Watchは、2023年9月にリニューアル5周年を迎えました。「くらしを変えるテクノロジー」をテーマに、新サービスやビジネスの取材を重ねてきましたが、大きく進歩した分野もあれば、デジタル化に課題が残されているものもあります。本企画では、日本のネットサービスやデジタル化を牽引してきたキーパーソンに話を聞いていきます。

上場前の反省と3本柱の確立

--上場前にはいくつかの社会問題も発生していたが、(2018年6月の)上場以降はメルカリの姿が変わってきたように感じます。この5年間、メルカリ、メルペイ、USメルカリの3本柱に集中し、会社としてのメルカリはどのように変化してきたのでしょうか。

山田:変わったと捉えていただけるのは嬉しい。創業当初はスタートアップとして生き残りを賭けてやってきた。プロダクトを良くしていき、マーケティングも力を入れて大きくなってきた。その中で「現金」の問題とか、最近でも(コロナ禍で)マスク転売の問題などは発生してしまった。

世の中・社会に受け入れられ、「メルカリ」が自分たちが思っていた以上に大きくなっていた。自分たちは「スタートアップ」と認識していたけれど、もっと大きな存在だった。特に現金問題の頃には、会社的にも個人的にも大きな反省がありました。

もっと世の中の役に立つ、よりよいサービスにしていきたい。そのために、(サービス運営の基本的な考え方となる)「マーケットプレイスの基本原則」を策定したり、サステナビリティや海外への挑戦、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とかに取り組んできました。そこを発信していくのは重視しているし、それがポジティブに働いていれば嬉しい。

--この5年間「集中」してきました、メルカリ、メルペイ、USメルカリの3本柱について、現時点ではどう評価していますか? 現在の事業状況の分析と課題を教えてほしい。

(2018年に)上場した時に、「三本柱で投資をしていく」と宣言した。その時点で、UK(英国のメルカリ)とか(対面でフリマ取引する)「アッテ」など多くのサービスから撤退し、3本柱に集中しました。

US(アメリカ)は、グローバルに挑戦するために、早い段階で投資していました。当時、月間GMV(流通取引総額)で100ミリオン(1億ドル)を目指すと宣言し、実際にコロナ禍で伸びたので目標は一応達成できた。ただし、いまは少し反動に入ってしまっています。一定の結果は出せているが、それ以上を目指したいし、まだ不十分。逆風感のなかで、リソース使ってプロダクト改善をやっていく。今の規模でも「黒字化」はできなくはないけれど、それでは面白くない。2倍、3倍にしていきたい。

(メルペイなど)Fintechは、5年前だとまだQRコード決済もまだほとんどない状況でした。ただその当時でも、10年後も現金社会なのか問われると、デジタル化していくだろうと考えていた。「時間がかかるけれど、やろう」と始めましたが、PayPayさんがやってきて100億円還元を始めたり、政府からも力を入れて支援があったことで、急速に市場が立ち上がった。

我々の投資もかなり先行してしまいました。ただし、スタートアップで一番良くない状況は、「市場がなかった」となること。その点、キャッシュレスは大きなマーケットができたので、そこにうまく乗れて、いまは、クレジットカードやローンのビジネスも立ち上がってきました。現状はカードの獲得コストこそかかっているが順調に拡大している。メルペイは1,000万人以上、カードも150万人以上に使っていただいてるので、立ち上げとしては、想定通りか、想定より少し早かったと思います。

また、日本のメルカリはFintechやメルペイがあったからこそ順調に拡大できました。いまは2,200万MAUだが、シナジーを出しながらまだまだ伸ばしていける。

「三本柱」という意味では確立できたと考えています。まだ不十分な部分もあり、特にUSは、まだまだ何倍にも伸ばせるし、新しいビジネスも伸ばしたい。新しいビジネスは、全くゼロからのものではなく、メルカリに付随した、(ビットコイン取引の)「メルコイン」、「メルカード」のように、メルカリとシナジーを出していけるようなビジネスをまだまだ作れると思っています。そこは今後強化していきたい。

--2月には、新たなグループミッション「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」に変更しました。このミッション変更も新たなサービス展開を前提としたものですか?

山田:国内では、事業が増えてくる中で以前のミッション「世界的なマーケットプレイスを作る」だけではカバーできなくなってきていた。(人々がモノを大切に使う)「循環型社会」の実現を目指す中で、我々の目標を「あらゆる価値を循環させる」に集約できると考えました。循環型社会で「何をしたいのか」を議論する中で、最終的に「人の可能性を広げる」が自分たちがやりたいことだと。

海外についても、マーケットプレイスを作ってから「どこに向かうのか」が問われます。国内・海外ともに、ミッションをアップデートするには適切なタイミングでした。

メルカリはワクワク感を失わない「コアビジネス」 今後の鍵は1次流通

--日本のメルカリについて。多くの人にとっての「インフラ」的な存在に成長し、毎年GMVが10%成長する堅実な事業になっています。スタートアップ時代と比べて、山田さんのなかでどのような変化を感じていますか?

山田:いや、成長率は本当はもっと上げていきたいです(笑)。安定的といえば安定的ですが、まだまだイケると思っている。MAUも伸びており、多くのお客様に満足していただいていることは嬉しいこと。

これから、モノを大切に使う「循環型社会」が進む中では、メーカーなどの1次流通との協力を強化したい。1次流通があっての(メルカリのような)2次流通だが、2次流通はこれから絶対に必要になる。1次流通のメーカーとの連携を進めていくことが、今後の大きなテーマだと思っています。

--1次流通との協業について、何度か言及されていますが、具体的にどういったことができるかが、良くわからない。ビジネスモデルについてどのようなイメージを持っていますか?

山田:メルカリとしては、マーケットプレイスの中でトランザクション(取引)が増えれば収益があがるのでシンプルです。課題は、1次流通のパートナーさん側の利点をどうやって創るかです。

我々のデータが1次流通側に役に立つとか、大量生産大量廃棄ではなく、メルカリと連携することで1次流通側のファンが増えて売上になっていくとか、どういう「ループ」を作っていけるか。まだ「これだ」と明確なものはなく、時間はかかるとは思いますが、腰を据えてやっていきます。循環型社会に移行していくにあたり、どういう役割をメルカリが担い、社会で実現できるか。徐々に形を作っていきたい。

外部パートナーと連携(出典:2023年6月期 決算説明会資料)

--メルカリについては、BtoCも強化しています。メルカリは、消費者同士がつながる(CtoC)のマーケットプレイスとしてスタートしましたが、2年前からは事業者が商品を販売できるBtoCの「メルカリShops」も開始しました。現状の手応えは?

山田:BtoCもある程度時間をかけてやっていきます。ShopifyさんやBASEさん、楽天さんなど、長い年数かけて作り上げてきていて、我々も短期間で大きなGMVを作るというイメージではない。メルカリというプラットフォームの中で、CtoCではカバーできない部分をBtoCでカバーしていく。伸び自体は悪くなく、想定通りなので、時間をかけて自分たちなりの形を見つけていきたい。

--Shopsを見ていると、既存のメルカリのUIに違和感が無いように保守的にBtoCのビジネスを導入しているよう見えます。Shops導入による、メルカリ内でのユーザー体験の変化はどう考えているのでしょう?

山田:Shopsのお客様は「バイヤー」(買い手)と「セラー」(出品者)とありますが、事業者の方が入ってきたからといって、個人が売りにくくなるのは本末転倒です。

購入者から見たメルカリの面白さは、宝探し感というか、ごちゃっとしてるかもしれないけれども、掘り出し物があるとか、普通のお店では買えないものが見つかるような、セレンディピティも含めてだと思っています。楽しさとか、お買い得感のような部分を失わないように、ある意味慎重にやっています。あと、我々なりのそのBtoCの形を見つけたい。なので、モールとかストアフロント的なものを作るのは少し違います。試行錯誤しながらやっています。

マーケットプレイスの強化領域。越境ECやBotCを強化していく(出典:2023年6月期 決算説明会資料)

--Shopsもあくまでメルカリの中の1サービスという位置付けですか。

山田:やはり個人間のマーケットプレイスがメルカリの「コアビジネス」です。そこをより便利にするためにBtoC(Shops)があり、メルペイがあり、メルコインもある。そこはぶらさずにやっていきたい。

だから、個人が出品しやすい場・雰囲気は崩したくない。メルカリは元々は新着順で商品が並んでいて、その後、データやAIを使ってレコメンデーションでその人に最適なものを並べ、パーソナライズして出せるようになった。BtoCが入っても、事業者の商品で埋め尽くされることはなく、必要なものがあれば深掘りできる。そういう仕組ができるようになったから、BtoCを始められた。なので、わくわく感とか面白さを失わず、個人感も失わずに、というのが、今やろうとしてることです。

メルペイの想定内と想定外

--メルペイも2019年のスタートから4年半。想定通りという話もありましたが、この5年で日本のキャッシュレスの景色も大きく変わりました。想定通りだったこと、あるいは読み違えたことなどはありますか?

山田:メルペイは、メルカリの「売上金」が始まりです。売上金が存在し、それをメルカリ内の購入に使える。ただ、以前はそのお金をメルカリ以外で使う場合、銀行から引き出して現金にして使うのにすごく手間がかかっていた。メルカリで、そのままコンビニでも飲食店やお店でも使えればいいよね、からスタートしている。

参考にしたのは中国のWeChat PayとかAlipayなどですが、メルカリであれば、売ったお金が街中で使えるだけでなく、「先にものを買って、物を売ってから返済する」とかシナジーがあるという仮説を持っていた。そこは実際にうまくいったところです。

概ね想定していたような、「売って買う」使われ方をしていて、そこはすごくありがたいことですし、そこから「後払い」なども始められた。

メルペイにおける想定外は、競合が凄い勢いで立ち上がってきたことですね。ただ「マーケットができた」という意味ですごく大きかった。

それから想定外という点では、(2021年に)クレジットカードの不正利用がありました。金融ビジネスは我々も初めてで、コンプライアンスとかセキュリティ、金融庁などとのコミュニケーションなどは、立ち上げ時からしっかりやってきたつもりです。ようやく慣れてきたかな、と思っていたところに不正が起きた。メルペイが大きくなったから狙われた部分もありますが、まだまだ強化していかなきゃいけない部分はある。そこは、学びながらやっていきたい。

--メルペイはメルカリと離しては存在できないサービスです。同じく、メルコインもメルカリから利用するサービスになっています。メルカリアプリがサービス起点になるという形は、今後も基本となるのでしょうか?

山田:そうです。「個人間取引」がコアビジネスで、ポテンシャルもすごく大きいし、「あらゆる人の可能性を広げる」というミッションにも繋げやすい。いろいろ横展開するより、個人間取引から価値が巡る形を探して広げていくのが、事業上だけでなく、ミッションを達成する上でもいい。そこはぶらさずにやっていきます。

メルカリ・メルペイを一体のUXで展開(出典:2023年6月期 決算説明会資料)

USの成長とテック業界の変化

--USメルカリはさらなる成長を見込んでいるとのことですが、5年ほど前は、アメリカで勝つことを強く意識した発言もしていました。「アメリカで勝ったものが世界を制する」的な空気が、社会やネット企業の中には強かったと思います。

しかし近年、ビッグテックなどに対して各国の規制が強化されるようになっている。また、経済安全保障の問題なども含め、テック業界を取り巻く環境変化もある。こうした環境変化は、メルカリの事業に影響はありますか? USの位置づけは変わってきていますか?

山田:USについては、今は試行錯誤していきたい。日本も同じですが、Gen Z(Z世代)が大きなボリュームになってきているので、そこに刺さるサービスにしていくことで、まだまだ伸ばせる。また、「アメリカのビジネスがどれぐらいイケてるか」は、会社の価値を左右します。ここは重要だと思っています。

(テック業界の環境変化については)我々としては事業を作ってビジネスをする。自分たちにできることをやり、お客様に便利なものを作り、利用者を増やして価値を作っていく。それが売上や収益になる。そこは愚直にやっていきます。

一方で、戦争や国の対立、その中でビジネスが制約される可能性はこれまでになく高まっていると思います。私個人は地政学や歴史などが好きなので、こういったこともありうると考えて、リスクを見ながら事業してきたつもりです。その中で、短期的には影響を受けない範囲でビジネスをできている。ただ、この先大きくなっていく中で、どこの国に進出していくのか、どこに投資をしていくのかという話は、より慎重に考える必要はあります。

--直接的な影響はあまりない?

山田:そうですね。ただ、出張はしづらくなりました。

あと、インフレがすごい。ヨーロッパにしてもアメリカにしても。自分たちが稼いでいるキャッシュや資本の価値が「日本円」なので、それが減っている。そこは難しさはあります。出資を含めてヨーロッパを見ていても、(2015年に)UKをやったときとの違いはあります。その分リターンも高くなるものの、「掛け金」が上がっています。

僕らがアメリカに進出したのは2014年。その頃もシリコンバレーの賃金は高かったが、今ほどの差はなかった。ここは新しいスタートアップからすると大変かもしれません。ただメルカリは足場があるし、上場もしているのでやりやすい部分もある。

加えて、インターネットのビジネスでは、ビッグテック以降、エアビー(AirBNB)などはグローバルで広がりましたが、例えばUberでも各地で激しい競争にさらされています。地域のプレーヤーが奮闘していて、1社が一人勝ちみたいな状況は少なくなってきた。例えば「検索」であればデジタル完結するが、Uberのように現地のドライバーがいてユーザーがいて、というフィジカルな部分は、グローバル化は難しい。NFTとか暗号資産、ゲームとかはある程度デジタル完結なので、引き続きグローバル化できるかもしれませんが。

デジタルで完結しない既存ビジネスを、インターネットでより良くするみたいな部分に、ビジネス全体が移行してきているので、グローバルなビッグテックみたいなものは、生まれにくくなってきているという感触はあります。

--ユーザー側の反応として。インターネットに繋がることに、そこまでポジティブじゃないみたいな空気も少し出てきていると思います。そうした変化っていうのは何か感じられるものありますか。

山田:そうですね。Facebookが出てきた頃(2000年代)とかは、「繋がれば何とかなる」雰囲気がありましたが、いまはそれを悪用するような事例がでてきている。また、戦争が起こったり、デジタル化で人が繋がることで、必ずしもポジティブに動くのではなく、むしろ分断してしまう例もある。

本当に意志を持って、テクノロジーを使っていかないと、いいようにも悪いようにもなっていく。そこは、意識的にやっていく必要があると思っています。

「循環型社会」について、いまやらないと地球がどうなるかわからない。やるべきこと、必要なことだと思っている。ただし、絶対的な正義として押し付けるのは、やってはいけないとも感じる。それぞれの事情が違い、国によって国民1人当たりのGDPも全然違う、生活ライフスタイルも全然違う中で、「新品じゃなくて、もっと中古のものを使いましょう」と話をするのは、僕はしたくない。より便利なサービス作って、よりテクノロジーも使ってやっていくが、最終的にはお客様が選ぶものだと思います。

あらゆる価値の循環と、これからのメルカリ

--新たなグループミッション「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」の発表時には、モノの取引だけではなく、スキルやデジタルアセットの取引を増やしていきたいと話していました。こうした取り組みは、今のメルカリと相反する要素もあるように感じます。例えばスキルの交換で対人的なやり取りが発生すると、フリマのメルカリの匿名性が失われるとか。既存ビジネスと、新規ビジネスの相反についてはどのように考えていますか?

山田:当然メリット・デメリットはありますが、匿名であることはマーケットプレイスの取引の中で、「住所を公開せずに安心に取引できる」という点では重要な要素ですが、同時に本人確認もメルカリの上でも他の事業でも重要。

マッチングのためにどういう形のマーケットプレイスを作っていくのか、「価値を循環させるために一番いいやり方」を見つけていけばいい。お互いのサービスが悪影響を及ぼすのは問題ですが、そこは設計次第で対応できるはずです。

--特にこのスキルの話でいうと、2018年には学びのフリマアプリとして「teacha」を開始して、すぐに撤退しています。その他にも即時買取の「NOW」や対面で取引する「メルカリアッテ」などのサービスも辞めています。ある意味、似たサービスに再挑戦という形になると思いますが、どういう整理によって、再びこの領域に挑戦するのでしょう?

山田:(撤退した2018年)当時は、USの赤字が大きくメルペイも立ち上げ前で、メルカリ“だけ”でした。投資の集中が合理的な判断だった。また、組織能力も限られていて、事業を作れる人の数も少なかったので、3本柱に集中するという判断をした。

上場前から新卒採用を始め、今は人材も育ってきています。今のメルコインのCEOは新卒採用ですし、事業を作れる人が増えてきている。

安定的にメルカリの事業が伸びている中で、いまはそこにアドオンするようなビジネスをどんどん立ち上げていくことがシナジーを出せる、合理的になってきたと思っています。特に今は、投資が弱含みになっているので、投資しがいあるタイミングですし、人の採用も少しやりやすくなってきている。そういう意味では、広げていくタイミングだと思う。

--決算会見でも、「この1年は保守的すぎた。少し大胆に挑戦していく」と話していた。「大胆」にとは、こうした新規事業やメルコインを想定したものですか?

山田:そうですね。いろいろやっても全部はうまくいかないと思うので、その中でうまくいったものにまたダブルダウン(追加投資)していく。

メルコインも伸びていますが、まだまだ全然大きくできる。口座数は伸びていますし、暗号資産を持ったことがない人が使ってくれている。ただ、例えばビットコインを決済に使えるようにするとか、まだ広げられることは多い。NFTもパ・リーグはうまくいきませんでしたが、違ったやり方でできることがあるはず。例えばメタバースは、今後広がるでしょうし、この分野での個人間取引には大きな可能性を感じます。NFTもその一つになると思っています。

メルカリの成長の軌跡と飛躍(出典:2023年6月期 決算説明会資料)
臼田勤哉