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日常使いできる防災用品で“もしも”に備える「準備しない防災」
2023年9月1日 08:00
ハンズは、防災用品担当バイヤーによる最新アイテム・ハンズの売れ筋などの説明会をメディア向けに実施した。日常時と非常時という2つのフェーズをフリーにする「フェーズフリー」の防災用品や人気の防災食品などを紹介した。
1923年9月1日に発生した関東大震災から今年で100年になる。防災意識も高まっており、ハンズ新宿店では防災食品は前年比2倍、防災用品は1.5倍の売上となっているという。
日常使いもできて災害時にも役立つ照明
ハンズでは防災用品のテーマの1つとして、「準備しない防災」「持ち歩く防災」とも呼ばれる「フェーズフリー」を掲げている。フェーズフリーとは、身の回りにあるものを、日常時だけではなく非常時にも役立てるという備え方。カテゴリーとしては、照明器具やルームシューズなどがある。
照明器具の1つ目に紹介したのは、エレコム「枕元ライト乾電池式懐中電灯 DE-KD04BE」。価格は3,980円(ハンズ販売価格/以下同)。
日常時は枕元ライト、非常時には懐中電灯として使えるアイテムで、さらにUSB Type-Aポートを搭載していてスマホの充電にも利用できる。バッテリーは充電式ではなく、単3形乾電池4本なので、乾電池さえストックしておけば、停電時にも利用できる点もポイント。
照明器具で続いて紹介されたのが、日本防災スキーム「いつでもランプ tsuita」。日常時にも使える防災用の電球だ。価格は3,135円。
見た目は普通の電球と変わらないが、内部にバッテリーが搭載されていて、普段明かりとして、天井や壁などに取り付けて使用しているだけで自動的に充電される仕組みになっている。そのため、停電時には内部のバッテリーに切り替わり、6時間ほど点灯し続ける。
また、電球下部の側面と底面が通電部分となっており、この部分に手など、電気を通す身体の一部で触れることで、通電されてランプが点灯するという特徴も持っている。そのほか、スイッチ付きフック付属で、普段使っている照明器具とは別の場所で利用することもできる。
そのほか照明器具のおすすめとして、日常やアウトドアレジャーでも使えて、持ち運び時にはコンパクトにたためるソーラー充電式のLEDランタン「キャリー・ザ・サン クールブライト ミディアム」(4,290円)を挙げた。
普段使いのスリッパやクッションがもしもの備えに
照明器具以外では、アルファックス「防災ルームシューズITSUMO」、プロイデア「SONAENO クッション型多機能寝袋」、コジット防災「座れる玄関防災バッグ」をピックアップ。
防災ルームシューズITSUMOは、耐踏み抜き性インソール内蔵のルームシューズで、災害時に散乱した釘やガラス片などから足を保護する。普段使いのルームシューズをこれにすることで、もしものときの備えになると説明した。かかとを踏んでスリッパとしても使用できる。価格は2,750円。カラーはベージュとマスタードがある。
SONAENO クッション型多機能寝袋は、普段はクッションとして使用できる寝袋。クッションとしては、45×45cmの一般的な市販のクッションカバーが付けられる。
寝袋としては、しっかりした枕を標準装備、寝袋の内側に貴重品ポケット装備、着替え・トイレ・授乳ができる目隠しテントとしても使用可能など、避難所での生活も考慮した機能を備えている。価格は12,800円。
座れる玄関防災バッグは、普段は玄関チェアとして、災害時にはリュックとして使える防災バッグ。防災グッズを収納したバッグを用意しているけれども押し入れの奥にしまってある、という人も多い。防災アイテムを収納した座れる玄関防災バッグを、靴の脱ぎ履きをする際に利用する椅子として玄関に置いておけば、いざという時もすぐに持ち出せる。本体サイズは約34×24×41cm(幅×奥行×高さ)。価格は13,200円。
防災用として販売されているアイテムではないけれども、もしもの時に役立つものとして、コスモテック「ウェアラブルメモ ウェモ(wemo) バンドタイプ」、三菱鉛筆のボールペン「パワータンク」、岩谷マテリアル「アイラップ」、アルタの使い捨てカッパ「ポケパ」を紹介。
wemo バンドタイプは腕に巻き付けて使用する、シリコーンバンドタイプのウェアラブルメモ。油性ボールペンで書いて、指や消しゴムで擦って消すことができるので、何度でも繰り返し使用できる。さらに手首に巻いておけば、ボールペンを持つ片手のみでメモができる。価格は1,320円。
パワータンクは屋外や立ち仕事などでの利用に対応するボールペン。一般的なボールペンは上向きなどで書いているとインクが残っているのに書けなくなることもあるが、パワータンクは加圧式なので、どういう向きで書いても書けなくなるという不具合が起きにくいという。価格は220円。災害時にはメモを取りたいシーンもあり、こういった筆記具も重要とのことだ。
アイラップはマチ付きのポリ袋。普通のラップより耐熱性に優れているのでそのまま湯せんができるほか、お皿代わりとしての使い方もできる。断水などが起きた時など、食器を洗う水を節約したいときにも重宝するという。価格は60枚入りで240円。
ポケパは手のひらサイズのコンパクトなパッケージの使い捨てカッパ。場所を取らずに携帯でき、日常でも災害時でも急な雨の時に役立つ。一度使用するとパッケージには戻せない。価格は大人用が308円、子ども用が275円。
防災食品の売れ筋1位は「尾西食品 アルファ米シリーズ」
防災食品で年間販売数トップが、尾西食品「アルファ米」シリーズ。白飯や赤飯から、チキンライス、五目ごはん、きのこごはんなどバリエーションが10種類以上と豊富で、アレルギー物質28品目不使用の製品も取り扱っていることを人気の理由に挙げた。価格は324円から。
販売数2位は携帯性にも優れていて、かつ食べやすい尾西食品「携帯おにぎり」シリーズ(259円)、3位は食品メーカーとして有名な永谷園の「フリーズドライ」シリーズ(562円)。アルファ米シリーズも含め、いずれもお湯か水を注ぐことで作ることができる。
そして4位がイザメシ「7年保存水」シリーズ。水は飲用だけではなく、防災食品を作るために必要となるが、災害時には自宅避難も含めて水の確保が難しい場合もあるので、水を常備しておくことが重要となる。価格は500mlが162円、2Lが324円。
5位はボローニャの長期保存ができるパンの缶詰め「備蓄deボローニャ」シリーズ。防災食品においてご飯ものやカンパンなどが多い中で、災害時の食事に変化をつけるという意味で、パンの代表格としてボローニャが売れているという。価格は572円。
5位までには入っていないものの、ハンズは主食以外に、おかずやおやつになるものも用意しておくことを推奨している。それが、栄養バランスの面でも、非常時であっても食事を楽しめるという精神衛生上の面でも重要になってくると説明した。
非常用トイレには専用袋が付属しないタイプも
断水時に使用するための非常用トイレには、専用の袋が付属したタイプと付属しないタイプがある。
付属するもので人気の商品がBOS「非常用臭わないトイレセット 15回分」。防臭袋「BOS」、汚物袋、凝固剤、便器カバーがセットになっていて、使用時には汚物袋に凝固剤を入れて用を足し、その汚物袋を防臭袋に入れて口をねじってしっかり結び廃棄する。便器カバーは汚物袋をトイレにセットした際に、トイレの水で汚物袋が濡れないようにするためのもの。価格は1,980円。
セットと同じくらい売れているのが凝固剤のみの、サンコー「非常用トイレの凝固剤10P R‐30」。袋は市販の45Lゴミ袋を使用する。家族で必要な量を考えて、凝固剤だけを買い足すという人も多いという。価格は738円。
衛生用品ではそのほか、本田洋行「手袋シャンプー」が売れ筋。水を使わず拭ける手袋型ドライシャンプーシートで、介護などでも使われているという。価格は5枚入り405円。
最後に紹介したのは、食品を除くと、防災用品の中でも「数の上ではダントツに売れている」という、東京都が発行する防災ブック「東京防災」。東京都では各家庭に配布しているものの、他県の人や、家族の人数分の購入、配布のためのまとめての注文があるとのことだった。価格は143円。