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自宅用ワークチェアの選び方 プロに聞くニーズ別おすすめチェア

テレワークの浸透により自宅で仕事をする機会が増えていますが、みなさん仕事用のイスはどんなものを使っていますか? 手軽なものを買ったり、リビングのイスを使っていたりしている人の中には、身体に合わず「疲れやすい」、「身体が痛くなる」といったストレスも多いと聞きます。そこで今回は、高機能ワーキングチェアを取り揃えるセレクトショップ、ワーカホリックの伊藤僚範さんに、自分に合ったワークチェアの選び方やお客様からよく聞かれる悩みやニーズ、それに合わせたおすすめ商品を聞いてきました。

「ワークチェアを選ぶ基本は、お尻と背中。つまり座面と背面が自分に合うものを選ぶのが大前提です。何を基準に合っているか考えればいいかというと、まずは素材。メッシュ、クッションのほかにもメーカーオリジナルの素材などがあるので、その違いの中で好みのものを選んでください。次に大きさ。体型に合ったサイズのものを選ばないとまずフィットしません。自分に合った素材、大きさを基本に、ヘッドレスト、アームレスト、腰のサポートなど身体への負担を軽減するパーツがあるものを選ぶなど、より自分に合ったものを探していくといいと思います」

WORKAHOLIC(ワーカホリック) 伊藤僚範さん

「ただ、『自分は暑がりだからメッシュ素材がいい』と思っていても実際に座ってみたらクッションのほうが合っていたり、『首が疲れるのでヘッドレスト付きがいい』と考えていたけれど実際に座ってみるとないほうが楽だったり、といったことが多々あるので、先入観にとらわれず、店頭で触れて、座って自分に合うか確認してから購入するのがベストです」

ここからは、お店でよく聞かれるお客様のニーズや悩みをご紹介。そのニーズに合ったおすすめのワークチェアも案内してもらいます。

高機能のアームレストやヘッドレストが首・肩への負担を軽減

長い時間、合わないイスで作業していると「腰、首、肩が凝る、疲れる」という声はとても多いといいます。

「ワーカホリックでは、なるべく腰に負担をかけない設計のものをセレクトしているので、どれも腰にやさしいものばかりです。腰だけでなく首の疲れも気になる人にはヘッドレストの角度と高さの調整が簡単にでき、首へのフィット感も優れているオカムラの『バロン』がおすすめです」

オカムラ バロン(177,650円)

「小さなヘッドレストの場合、ピンポイントで頭が合っていないとフィット感が得られませんが、これはヘッドレストが大きく捉える面が広いので、首から頭をしっかりとキャッチしてくれます。メッシュ素材なので首筋に馴染みやすいのも魅力です」

幅広の大きなヘッドレストが首筋をしっかりサポート

「通常、リクライニングで後に倒れると顔が上を向いてしまいますよね。でもバロンはヘッドレストの角度を変えて前に出すことができるので、頭を乗せた楽な状態で前にあるパソコン画面を見ることができます」

さらに、首から肩までフォローするワークチェアとして紹介してもらったのが、アメリカのメーカー、スチールケースの「ジェスチャー」です。

スチールケース ジェスチャー(262,350円)

「腕がアームレストに乗せやすいと肩の力が抜けて楽になるので、肩まで気にするなら自在に調節できるアームレスト付きのイスを選ぶのがおすすめです。このジェスチャーは、正面から見た状態でアームレストが360度回転します。高さも角度も自在に動くので好みの位置に合わせることができ、閉じたり開いたりと可動域もかなり広いです」

アームレストがこれだけ自在に調整できると、使用するデバイスがパソコンからタブレットやスマートフォンに変わっても、本を読む時も、用途に合わせて楽な姿勢をとることができます。

「加えてヘッドレストも可動する多機能タイプ。フレームにクッションがついているタイプのものは形がしっかりしているので『カーブの位置が首筋に合わない』ということが多々あります。でもジェスチャーのヘッドレストは上の方のカーブが浅く、下の方はカーブが深くなっているので、自分の首の形に合う位置を見つけることができるのです。背中もクッションを採用しているので、深く座ると腰回りがしっかりと支えられて安定します」

独特なカーブを描くヘッドレスト。角度を変えて自分に合った位置を探すことができる

オカムラの「バロン」とスチールケースの「ジェスチャー」は素材が違うので、しっかりと安定しているイスが好きなら「ジェスチャー」、背中の身動きがとりやすくライトな感じが好きなら「バロン」がおすすめ、と伊藤さん。ただ、人により感じ方が違うので、一度座って試してほしいと話していました。

イスの上でもリラックスできる安楽性の高いチェア

仕事がオフの時にはリラックスした姿勢がとれるような、安楽性の高いイスが欲しい、というニーズもあります。そんな方には足を伸ばしてのんびりできるオットマン付きのモデルが最適です。1人暮らしで家にソファーがない、休憩する場所がない、という方にもオットマン付きのチェアは人気があるそうです。

「オン・オフ両方で使いたい、という方にはリラックスした姿勢をとれるエルゴヒューマンの『プロオットマン』が人気です」

エルゴヒューマン プロオットマン(151,800円)

「背面を深く倒せる上にオットマン付きなので、体を伸ばして休憩することができます。アームレストが背面と連動しているので、リクライニングすると最適な位置にアームレストがきてくれるのもいいところ。ワークチェアの中でも大きめなので、体格がいい方にも好評です」

ここまで背中が倒れるので足を伸ばせば全身がリラックス状態に
オットマン付きのワークチェアは珍しい

「また、背面が2段に分かれていて腰のS字をキープするサポートがあるのも特徴です。体重が背中にかかっても腰のサポートにより前に戻ろうとする力が働き、その反発力で腰を前に押し出してくれます」

腰をサポートできるよう、背面は2段になっている

純粋に座りやすくシンプル。かつ財布にもやさしい1台

パソコン作業をしても身体が痛くなることはないので純粋に座りやすく、お手頃なワークチェアが欲しい、という方にはWINCASEの「A03-E」をご案内。

「お客様に一通り座ってもらって『どのイスが良かったですか?』と聞くとこのイスを挙げる方が多いんです。シンプルですっきりとしたデザインも、座り心地がいいと感じる理由だと思います」

WINCASE A03-E(72,600円)はお客様組み立て製品

「背中のエアメッシュは透過性が高いのに丈夫で、座面のクッションも厚みがあって安定感抜群です。座面には高密度のモールドウレタンとコイルを使用しているため弾力性がありますし、ヘッドレストとアームレストも付いているので楽に座ることができますよ」

弾力性のある座面を採用

ムレが気になる方には独自素材を使ったアーロンチェアを

「長く座り続けるとムレが気になる」という方も少なくありません。そんな方にはハーマンミラーの「アーロンチェア」をおすすめしているそうです。

ハーマンミラー アーロンチェア(226,600円~)

「座面と背面に使われているのはハーマンミラー独自のペリクル素材です。通気性抜群なだけでなく、8つのゾーンに分けてテンションを変えているため、体圧を緩和して筋肉の疲労も軽減してくれます。触ってみるとツルツルとしていて、しなやかで座りやすいのがわかるでしょう。アーロンチェアは『世界で初めてのメッシュチェア』として知られているので、その代名詞にもなっているんですよ」

通常時は見えないがブルーライトを当てると太い素材が見えて、ゾーン分けされていることがわかる

「このイスのもうひとつの特徴は、ハーマンミラーの特徴でもある腰の部分の支えです。普通のイスは腰椎のカーブ部分だけに支えがあり、カーブの下は空間になっていることが多いのですが、アーロンチェアは下にもパッドが付いています。脊椎の根元にある仙骨からパッドで支え、腰椎のカーブも支えてくれる。この安定感とフィット感は、他のモデルにはない魅力となっています」

S字カーブを支えるパッドだけでなく、腰を根元から支えるパッド付きで腰がより安定する

アーロンチェアは大きさが異なる3サイズを用意しているのも珍しいところ。身長・体重など体格に合わせて選べることでも快適性を追求していることがわかります。

サイズだけでなくカラーバリエーションもあり、色により価格が変わる

「さらに、前傾チルト機能にも注目です。レバーを操作すると座面が少し前傾して背もたれが立ち上がり、しっかりと正しい姿勢を保ったまま前傾姿勢をつくることができます。筆記作業をしたり、タブレットで絵を描いたりする時は、どうしても前のめりになって背もたれから身体が離れやすくなりますが、この機能を使えば負担の少ない姿勢で作業ができます」

前傾姿勢で作業する時に便利な前傾チルト機能

ニューヨーク近代美術館に永久収蔵されているほどデザイン性も評価されているアーロンチェア。部屋に置くだけでスタイリッシュな空間になりそうです。

身動きがとりやすいイスは筋肉が緩んで身体が楽になる

同じ姿勢を取り続けると、筋肉の緊張状態が続いて身体が凝り固まってしまいます。そのため、「座っていても身動きがとれるイス」をリクエストされることもあるそうです。そんな方におすすめしているのがコクヨの「ing(イング)」。

コクヨ イング ラテラルタイプ ローバック(133,760円)

「このイスの最大の特徴は座面が360度動くこと。ストッパーを外すと前後左右、自在に座面を動かすことができます。座面軸と背もたれは連動して動くのでどの位置で座っても快適です」

座面が自在に動くことで筋肉も動くため、緊張状態にならずにしなやかで柔らかい筋肉をキープできる。それが腰痛予防にも繋がるといわれています。

「足を組んだり、イスの上であぐらをかいたりと姿勢を変えることが多い方に人気があります。背もたれを使わなければバランスボールのように使えるので、体幹を意識しながら座ることもできますよ」

ヘッドレスト付きなどさまざまなタイプが揃うイングシリーズ。どれも座面が動く構造に

身動きがとりやすいイスとして最近注目されているのがイトーキの「バーテブラ03」。ワークチェアというとヘッドレスト付きなど背の高いものが多いですが、これは背が低くコンパクトなので身動きがとりやすく、家のリビングにも馴染むと好評です。

イトーキ バーテブラ03(76,890円)

「人間工学に基づいた快適な座り心地で、どんな姿勢で座っても身体に優しくフィットする人気のバーテブラシリーズ。『バーテブラ03』はこの機構をアップデートした新しいチェアで、軽くて動かしやすいところに魅力を感じている人も多いようです。通常のワークチェアはリクライニングした時に倒れないようにキャスターベースが広がっていますが、これはその必要がないのでとてもコンパクト。気軽に動けるので、長時間同じ姿勢でいることが少なくなるのではないでしょうか」

ワークチェアとしてはかなりコンパクトなキャスター

自宅で使うことを考えると、まわりの景観に溶け込むデザイン、コンパクトなサイズ感を求める人は増えているのでしょう。

「コンパクトながら機能性は高く、背中を傾けると座面がスライドしますし、右肘先端のダイヤルを回せば座面の高さも変えられます。ファブリックもワークチェアには珍しく素材感のあるものを採用しているので家に馴染みやすいですし、素材や色を変えられるのでご自宅の雰囲気に合わせて選ぶこともできます」

座面の高さを変えるダイヤルは隠れアイテムのように右の手元に

正しい姿勢は仕事中の身体をいたわる第一歩!

最後に、身体に負担をかけにくい「正しい姿勢」を伊藤さんにレクチャーしてもらいました。

「座面と背面のL字部分にお尻を深く入れ、5~10度くらい少しだけ後傾します。アームレストは肘が90度になるくらいのところにセット。パソコンなどの道具は前に置いてあるため腕を伸ばして作業することが多いと思いますが、腕を前に伸ばすと少し猫背になったり、背中が張ったりします。でも肘の角度を90度にして机に近づけば、自然とキーボードやマウスの位置に手が置けるんです。こうすれば胸が開いて深く呼吸ができるため、リラックスした状態で仕事ができます」

伊藤さんが見せてくれた「正しい姿勢」を参考にしよう

正しい姿勢は作業中の疲れを軽減する第一歩。その姿勢がとれるようなワークチェアを選び、自分に合うようにセッテティングをすることでテレワークも快適になりますよ!

WORKAHOLIC(ワーカホリック) 東京都中央区日本橋馬喰町2-7-15 ザ・パークレックス日本橋馬喰町 1階

なお、記事内の価格は10月1日時点の店頭価格です。