トピック
写真が下手だけどいい感じに”物撮り”したい。スマホ編
2022年5月3日 09:30
記者という職業柄、自分で写真を撮ることが多いのですが、恥ずかしながらあまり得意ではありません。記者になるまでカメラに興味を持ったことがなく、文章を教わる機会はありましたが、カメラは手つかずのままこれまでやってきてしまいました。
筆者の場合、家電や食品などの商品を撮影する機会が多いのですが、こうした商品撮影は「物撮り(ぶつどり)」と呼ばれています。
しかし先日、レビュー用に撮った物撮り写真が全然格好良くならず、さすがにこのままではいかん、と思い直すことがありました。そこで、写真家・ライターの武石修さんに「写真をいい感じに撮るコツを教えてください……」と相談。自分が撮った写真のどこがダメなのかを指摘してもらいながら、写真のコツを教えてもらいました。
今回対象としたのは静物のみ。目標は、ガジェットや小物を「いい感じに撮れるようになる」ことです。
また作例撮影用のカメラは、自前のカメラで教わりたいことも沢山あるのですが、複雑に設定できるカメラを使う前に、まずは被写体の置き方や光の使い方など基本的なところから学ぶために、より操作が簡単なスマホを使うことにしました。
課題1.カメラ
はじめに武石先生からお題として出してもらった被写体が「カメラ」。何も教わらず、自分なりに格好良く撮ってみました。それがこちら。
なかなか良い感じに撮れたと思い武石先生に見せたところ、複数のご指摘が。どうやら全然ダメなようです。
・色味が正しくない
・ホワイトバランスを調整して正しい黒色に近づける
・カメラは機種名のロゴも見えて、全体の形がわかるように撮る
・存在感が出やすいグリップが奥になるように、反対のアングルから撮る。高さももう少し上にする
被写体の歪み……! 確かに、言われてみれば私が撮った写真はレンズが大きく写っていて正しい形になっていません。武石先生によると、スマホのカメラはもともと広角に作られていて、被写体に寄って撮ると歪んでしまうとのこと。被写体から離れ、ズームを望遠側にして撮ることで正しい形で撮れるそうです。
色味に関しては、ホワイトバランスが合っていないので、もしスマホにそういったモードがあるなら、ホワイトバランスを調節してみましょう、とのことでした。筆者のスマホカメラには、ホワイトバランスやISO感度などを調節できるプロモードがあったので、今回はそれを利用。
オートモードだと、ホワイトバランスは周囲の色に影響されやすいので、カメラの下に白い紙を敷いて、ホワイトバランスの数値を動かします。色味は好みもありますが、今回は物撮りなので肉眼で見た被写体の黒色と同じになるように調節しました。
課題2.プロジェクター
次に被写体として選んだのがプロジェクター。以前、レビュー用に撮影する必要があったのですが、どんな角度から撮ってもキマらなかったという苦い思い出があります。
今回は、当時の状況を再現するために、先程習った「離れてズーム」を使わずに、まずBefore写真を撮りました。それがこちら。
・ホワイトバランスはOKなので今回はズームとアングルのみ工夫する
・被写体とレンズの高さを同じにするため真横から撮る
・スマホ画面にグリッドラインを表示させると真っ直ぐ撮りやすい
・右側から自然光が入っているので、プロジェクターのレンズを右側にすると細部まで写しやすい
こちらもズームを使わず、寄って撮ったので歪んでいました。今回はズームに加えて、スマホカメラにグリッドラインを表示させることでより整った形で撮れるように工夫します。
スマホによりますが、筆者の機種ではカメラの設定画面からグリッドラインを表示できました。被写体の縦のラインとグリッドラインが平行になるように調節し撮影します。
また筆者は撮影するときにスマホ本体を前に傾けがちだったので、被写体とレンズが平行になるようにスマホを真っ直ぐ持つように意識しました。
Before→After
Before→Afterがこちら。Before写真は中途半端な高さから撮ってるので、なんとなくぼんやりとした印象。
一方、真横から撮ったAfter写真はしっかりアングルが決まっています。形もしっかり円筒状になっていて歪んでいません。今回の目的である「いい感じに撮る」が果たせて何よりです。
被写体に使った、円筒状のプロジェクターを撮るコツをもう1つ教えてもらいました。先の例では真横から撮りましたが、上部を写したいときも被写体から離れてズームが有効とのこと。
Beforeの被写体に寄って撮った写真は、上部は写っていますが下部がかなりすぼまって形がかなり歪んでいます。
Afterは離れてズームで撮ったので、上部も写しながら下部はすぼまっておらず正しい形になりました。なお課題1同様、Afterでも手前に少し影が写っています。影を消す方法まで進んでしまうと複雑になってしまうので、こちらについては後ほど触れます。
課題3.マスクケース
3つめの被写体は「マスクケース」。雑貨屋で可愛い! と思って購入し、スマホで撮ってみたものの、可愛さが全然伝わらない写真が撮れました。自分が撮ったときと同じ状況を再現し、撮影したBefore写真がこちらです。
・照明の光が写り込んでいる
・下に消しゴムなどを置いて角度をつけると光が写り込みにくくなる
武石先生によると、平べったい被写体を撮るときに便利なのが消しゴム。下に敷くだけで角度がついて、照明の光が映り込みにくくなるそうです。
消しゴムは小・中・大、サイズの違うものを3つくらい用意しておくと、適宜使い分けられます。
課題4.ワイヤレスイヤホン&ケース
最後の課題はワイヤレスイヤホンとケースです。課題1と2で学んだので、被写体から離れてズームで撮りました。形は歪まずに撮れたと思いますが、暗くて色味もイマイチな気がします。もうちょっと自力でなんとかできそうな気がしますが、一旦ここで武石先生に見てもらいました。
・色味が正しくない&暗い
・手前の影が濃い
・ホワイトバランスを調整。露出(明るさ)を上げる
・レフ板で影を軽減する
左右の余白は、マスクケースで学んだように斜めに配置して軽減します。また、Before写真はオートモードで撮っていたので、ホワイトバランスと露出を調整するためにプロモードに切り替えました。
ホワイトバランスは、課題1のカメラと同様に、被写体の下に白い紙を敷いて数値を調整。露出は、カメラの設定画面にある「EV」をプラスにすると明るく、マイナスにすると暗くなります。
筆者のスマホカメラでは、EVに関連する「シャッタースピード」や「ISO」といった項目も個別に調整できますが、これらを操作するとなるとさらにややこしくなるのでここでは割愛します。
さらに、手前の影を軽減するためにレフ板も作成しました。レフ板は市販の製品も沢山ありますが、ダンボールとコピー用紙があれば自作できます。今回はダンボール2枚を使い、自立&折りたためるレフ板を作成。
被写体の雰囲気に合う敷物を活用する
今回はオフィスのラウンジで撮影したので、背景に困ることはあまりありませんでしたが、自宅などで被写体の雰囲気に合う背景が見つからないときは、敷物を活用するのもオススメとのこと。
敷物は、100円ショップで売っている布やランチョンマットなどでもOK。最近はダイソーやセリアなどの100円ショップで、「フォトジェニックシート」という背景シートも売っているようです。複数持っておけば、被写体の雰囲気に合わせて変えられるので良さそうですね、
筆者の場合、レビュー写真用に教わりましたが、それ以外にも物撮りをする場面はあると思います。使わなくなったものをフリマアプリで売るときや、ランダムで引き当てた推しキャラ以外のグッズをSNSで取引するとき、新しく買ったコスメのパッケージが可愛いときなど、さまざまな場面で「ちょっといい感じの写真を撮りたい」ときにぜひ活用してみてください。