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1本は持っておきたい高級ボールペン。パーカー・ペリカン・ウォーターマン

年度が変わる春は節目の時期。新しく社会人になる人、異動により新たな生活が始まる人、そして特に変化がない人も、気合いを入れて新年度を迎えるために高級ボールペンを持ってみてはどうでしょう。使う機会が多いボールペンを高級なものに変えるだけで気分が変わりますし、社会人としても箔がつくものです。そこで今回は渋谷ロフトで高級筆記具売場を担当する日本万年筆の金子由佳さんに、最近の売れ筋や賢い選び方について話を聞きました。

「選ぶ際に重要なのは、とにかく見た目です。自分が気に入った、かっこいいと思う商品から試し書きをして、インクの書き味、バランス、手にしっくりくるフィット感などを確かめながら絞っていくのがいいと思います。高級ボールペンは海外製が人気ですが、日本製と比べるとペン先がやや太めで最低でも0.8mm。アルファベットを基準とした作りになっています。ブランドによって様々な書き味がありますので、必ず試し書きをしてくださいね」

日本万年筆 渋谷ロフト店チーフ 金子由佳さん

この他、お客様からはブランドの認知度などを聞かれることも多いそうですが、最終的にはファーストインプレッションで選ぶ傾向にあるとのこと。やはり、見た目は一番のポイントとなるようです。価格は1万円以下から4万円以上のものまで、幅広くラインナップされています。

渋谷ロフト 高級筆記具売場

誰が持っても外さない老舗ブランドの代表作

たくさんの商品が美しくディスプレイされた売場の中で、人気、おすすめの商品を金子さんに選んでもらいました。まず紹介してくれたのは、1888年に創業した英国王室御用達ブランド、PARKER(パーカー)の商品。

「おすすめは1940年代に誕生した名作『パーカー51』の復刻モデルです。現代の仕様に進化していて、今までのパーカーとは違うモダンなカラーバリエーションが一番の魅力。樹脂と金属という異素材を組み合わせているため重心がやや上になりますが、手の大きい男性ならバランスも気になりません。書く時にカシャカシャと音がするのもヨーロッパ的でこの音に高揚して購入される方もいらっしゃいます」

パーカー51(各8,800円)。カラーは手前からブラック、ミッドナイトブルー、ティールブルー、バーガンディ

ドイツの老舗、Pelikan(ペリカン)も知名度が高いブランドのひとつ。なかでも売れ筋はサイズ展開をしているペリカンの代表作「スーベレーン」シリーズです。

「ストライプ柄の部分は樹脂でできていますが、職人が手作業で黒い部分とカラーの部分を繋ぎ合わせてスライスしたものを使っているため柄の配分や継ぎ目の雰囲気が1本1本すべて違います。その独特な風合いにも高級感を感じられますね。高級樹脂のため、ほどよい重さがありバランスも良好。自分の好みによってボディの色だけでなく長さや太さが選べるのもこのシリーズの特徴です」

ペリカン スーベレーンシリーズ。手前はやや太めでツイスト式のK600 グリーン ストライプ(33,000円)、奥は細めでノック式のK400 レッド ストライプ(22,000円)

品格が漂うモデルは、持つ姿もかっこいい

パリを拠点とするWATERMAN(ウォーターマン)は、「書く宝石」と言われるエレガントなモデルが揃うハイブランド。金子さんが紹介してくれた「カレン」は、「おしゃれを損なわない」というコンセプトでつくられているそうです。

ウォーターマン カレン ブラック・シーGT(22,000円)

「船の舳先をイメージした流線型のフォルムが特徴的な1本です。高級感と比例した重さがあり、ずっしりとくる感じですが書き心地が良く書き疲れもありません。スーツやシャツのポケットに刺しても下の生地が見えるよう、クリップの中心に穴が空いたオープンウィンドウクリップを採用しているのもウォーターマンの特徴です。クリップが開く仕様になっていて服の生地を傷めずに済むなど、細かな工夫が本当におしゃれでビジネスマンへの優しさを感じます」

海外製としてはペン先が細い0.8mmを採用していますが「紙に当たる部分はもう少し細い」と金子さんが言う通り、試し書きをしてみると数値よりも細いように感じます。太さの表記は参考に留めて実際に書いた印象を大切に選ぶのがいいようです。

エレガントなボールペンといえば、スイスのブランドCARAN d'ACHE(カランダッシュ)も外せません。1953年に誕生したコレクション「エクリドール」は鉛筆からヒントを得た美しくシャープな六角形のフォルムを守り続けています。

「エクリドールの日本限定『ビクトリアン』は女性らしいイメージですが、カランダッシュファンの男性に人気で、当店の男性スタッフも愛用しています。柔らかな曲線の彫刻がエレガントで、手元を美しく魅せてくれます」

カランダッシュ エクリドール 日本限定ビクトリアン(28,600円)

「カランダッシュ エクリドールからもう1つ、マットな黒の塗装に赤いラインが入った『レーシング』はビジュアル重視で選ばれる1本。エクリドール初のブラックボディは車の塗装に使われる黒色クロムメッキ加工が施されているため衝撃にも強く、よっぽどのことがない限り塗装が剥がれることはありません。モータースポーツからインスピレーションを受けてつくられたモデルはかっこよく、男心をくすぐるようです」

カランダッシュ エクリドール レーシング(26,400円)

エクリドールシリーズはノック式ながらノック音が静かなつくりなので、ノックをカシャカシャ押してしまうクセがある人にもおすすめ。さらに、インクはカランダッシュの独自規格であるゴリアット芯を採用。途切れやかすれがなく書き出しもスムーズなので、粘り気が強い海外製インクの中でもサラサラタイプで書きやすいと好評です。

コンセプトが面白い個性派ブランドにも注目

最近は定番やエレガントタイプとはまったく違う、ユニークなコンセプトの商品に手を伸ばすお客様が多い、と金子さん。具体的にはどのような商品が注目を集めているのでしょうか。

「アメリカのブランド、fisher(フィッシャー)のスペースペンシリーズは『宇宙で使えるペン』として話題になっています。ノック式の『アストロノート』は、宇宙飛行士が実際に使用しているモデルなんですよ」

フィッシャー アストロノート CH-4 クローム(9,900円)

スペースペンの一番の特徴は特殊なインク。従来のボールペンは重力でインクがボールの先へと流れていきますが、スペースペンはリフィル内部に封入された窒素ガスの圧力によってインクがペン先に流れる加圧式。そのため上向きで書いても、無重力でも、水中でも、極寒でも灼熱でも場所を選ばずに書くことができるのです。

「加圧式なのでボールペンを使う時にイライラしがちなかすれや途切れも起きにくいです。キャップ式でコンパクトタイプの『ブレット』も人気で、別売りのクリップをつければポケットに挿すこともできます」

フィッシャー ブレットシリーズ。手前はAF-600 アメリカンフラッグ、奥はSH-600B スペースシャトル(各7,700円)

もう一つの注目ブランドは、ドイツ南部で100年以上木工製品をつくり続けているe+m(イープラスエム)。木軸を採用したボールペンは経年変化を楽しめるのが魅力です。

「人の手の油分などによって握るほどに木軸が変化し、オリジナルの1本に育てることができるボールペンです。木工職人がすべて手作業でつくっているので品質が高く、なんとも言えない温もりがあります。木目や色合いが1本1本違うので、その時の『出会いを楽しむ』という特別感も味わえる商品です」

イープラスエムのラインナップ。木の種類により色もさまざま(6,600円~45,000円)

ウォールナット、チェリー、メープル、ゼブラノウッドなど多彩な木でつくられるイープラスエムのボールペン。長く使い込むことで風合いが増し、より愛着を持って使えるのはこのブランドならではです。

アフターケアにも対応しているので長く使える

高級ボールペンは高価なだけに、なるべく長く使いたいもの。壊れてしまったり、使い心地が悪くなったりしたらぜひアフターケアサービスを活用して欲しいと金子さん。

「メーカーによりできることは異なりますが、クリップが壊れた、取れてしまったなど細かく対応してくれるところも多いので修理しながら大事に長く使い続けて欲しいと思います」

ボールペンを長く大切に使うための注意点などはあるのでしょうか。

「ペンケースに入れる時は、ペンシース(1本刺しのペンケース)に入れると他のペンとこすれ合うことがなく、長くきれいな状態を保つことができます。優しく扱うことが塗装の剥がれや壊れることの防止に繋がるので、心掛けていただきたいところです」

高級なボールペンを使えばワクワク感があり、高価なものを使っているという満足感や見た目のかっこよさも得られます。いいペンを持つことで気分も変わると思いますので、この春からはぜひ高級ボールペンを取り入れて、仕事への意欲を高めていきましょう。

渋谷ロフト(東京都渋谷区宇田川町21-1)

なお、記事内の価格はすべて渋谷ロフト販売価格(3月9日時点)です。