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5秒で全身18カ所をサイズ測定。接客なしのワコール3D計測が人気のワケ
2021年12月22日 09:00
立っているだけで3サイズから二の腕、太ももなど体の18カ所のサイズを自動計測してくれるワコールの「3D smart & try(スマート アンド トライ)」というサービスが、女性の間で話題を集めています。
利用料は無料で、計測時間はなんと5秒。普段なら測りにくい体のさまざまな部位のサイズを知れることや、接客不要で店員さんに計ってもらう必要がないことなどが人気の理由になっているそう。
現在は、東急プラザ表参道原宿店、大丸心斎橋店、福岡の岩田屋本店など、全国のワコール直営店19店舗で展開されています。今回、このサービスを試しながら、導入の理由やどんな使われ方がしているかなどを伺い、女性から支持を集める理由を探りました。
たった5秒の計測。自分の体の3Dデータを見せてもらえます
「3D smart & try」は、全身18カ所を計測する「3Dボディスキャナー」と、計測データや悩み別にAIによるオススメ商品の提案を組み合わせたサービス。
計測時は店員さんに声を掛けて、あとはすべてセルフで行なえます。計測室で専用の使い捨て下着を着用し、ショーツは自分が着用しているもののまま、靴下やストッキングなどは脱ぎます。アクセサリーを外し、首回りの計測の邪魔にならないように髪をまとめたら計測台へ。
計測室にはモニターがあるため、案内に従えば迷わず使えます。マットの足形に足をあわせ、両側のバーを握って腕を伸ばした状態で計測。計測中はバーを握ったままにしますが、計測時間は約5秒なので、あっという間に終わりました。
計測後はブースから出て、店内のタブレットで結果をチェック。たった5秒の計測で、バストやウエストだけでなく首周りや股下、腕の長さなどもわかるので驚きです。18項目のサイズデータと、オススメの下着サイズなどは印刷して持ち帰れます。
このほか自分の体の3Dデータを、店内のタブレットから確認可能。タブレットでは、バストからウエストに掛けての傾斜はどれくらいか、左右のバスト間の距離といった体型の特徴も診断してくれます。
3Dデータはぐるぐる回転させられるため、いつも鏡で見ている正面からの自分の姿だけでなく、後ろからみた姿、ちょっと下からみた姿、斜めからみた姿など、様々な角度でチェック可能。
ちなみに筆者は、実際にビジュアル化された自分の後ろ姿を見て「思った以上にぷよぷよだな」と現実をつきつけられました……。数字で見るよりも直感的にわかるため、「このぷよぷよした背中をすっきりさせる下着はあるかな?」と、下着選びの際に自分がどんなものが欲しいのかを具体的に把握できます。
計測と結果確認に掛かる時間は15分ほど。この後販売員さんからの接客を希望する場合のみ、下着選びの相談などもできます。
ちなみに体型診断の元となるデータは、サービス導入までのモニター計測と、ワコール人間科学研究所での計測データを利用しています。
このワコール人間科学研究所では長年に渡り人間のボディサイズのデータを手計りで集めてきましたが、3Dボディスキャナーを導入したことでデータ量がはるかにアップ。年代問わず、さまざまな体型のデータが集まりやすくなったという側面もあったそうです。
アバター接客は通常接客よりもお客さんの口数が増える
東急プラザ表参道原宿店では、全国でも2店舗しかないアバター接客「Ava.Counselingパルレ」も導入。
これは、3D smart & tryで取得したデータを元に、アバターと会話をしながら自分の悩みや好みなどを相談して下着を選べるというもの。アバターの「中の人」は販売員が担っており、リアルタイムでリモート操作しています。
顔を合わせずに個室で下着のプロが相談に乗ってくれるということで、通常の接客よりもアバター接客のときのほうがお客さんの口数は増えるそうです。予約制で1回50分なので、皆さんじっくりと相談でき、50分でも足らないくらい盛り上がることもあるとのこと。
実際に体験してみると、個室で話すという安心感から、より詳しく自分の悩みを相談できます。また、店舗で接客を受けているときは、他のお客様が待っていないかなど、周りのことが気になってしまいますが、アバター接客は予約制のため、「この時間は私が相談してよい時間」と、集中して相談ができました。
アバター接客はコロナ禍以前から取り入れていましたが、非接触で接客ができるので、現在は感染リスクを低減できるといったメリットも生まれたそうです。
また、アバター接客を担当する販売員は店舗ではなくオフィスに出勤しています。「今後はビューティーアドバイザーを配置できない地域での接客補完や、遠隔接客という観点から働き方改革も視野に入れています」と、3D smart & try/Ava.Counselingパルレ担当者は話します。
なんて太っ腹! 計測&相談だけで帰ってもOK
サイズの計測をした後は、その場で下着の相談・購入することもできますし、自宅に帰ってからワコールウェブショップでの購入も可能。気になった商品やオススメアイテムの情報は印刷して持ち帰れるので、品番がわからないといったことも防げます。
この取材で一番気になったのは「3D smart & tryを使ったあと、購入しなくてはいけないのか?」ということだったのですが、答えはNO。買わなくてもいいんですって! 体型の計測だけして帰ってもOKなのだそう。
同社広報によるとワコールは、「買い物はお客様のペースで」「どこのワコールで購入いただいてもよい」という方針。だからこそ、計測だけして検討する人も歓迎なんですね。
「自分を知りたい」「自分のペースで選びたい」に応えるサービス
下着を選ぶ時は、試着や計測をしなくてはいけないと分かっていますが、販売スタッフに自分の体型を見られる恥ずかしさや、試着する手間などを考えると、個人的にはなかなか気軽にはいけませんでした。コロナ禍になり、接触・対面などが気になると余計です。
今回体験したサービスは、「ストレスなく自分に合った下着を選びたい、買いたいというニーズから誕生しました」(同社担当者)とのこと。
実際、計測は簡単だし、「流行」や「人気だから」ではなく、自分の体型にあったアイテムを選べるということで、ストレスのない買い物体験でした。
「一般的に新人スタッフとベテランの販売スタッフでは接客知識などにばらつきが出やすいものですが、3D smart & tryは機械が計測し、AIによる商品提案などを使った接客がメインなので、販売スタッフの経験による接客の違いが起きにくいのも特徴です」(同社担当者)
SNSなどで話題になったこともあり、20代30代といった若い世代の来店のきっかけにもなっているとのことでした。
「ご自身のカラダの変化に敏感で興味関心が高い方は、頻繁に足を運んでいただいており、お友達やご家族に紹介して一緒に来店される方もいます」
最近は骨格診断や、自分に似合う色を診断してもらうパーソナルカラーなどが人気ですが、「自分にあったもの」「自分のことをもっと知りたい」というニーズを持っている人が増えています。
ワコールでは3D smart & try導入店舗で、3D計測と専門のアナリストに骨格診断をしてもらえるイベントを開催したところ、申込みが殺到しあっという間に予約が埋まったとのこと。イベント後は「自分の体型を客観的に知ることが出来て嬉しい」「今後の洋服選びの参考にしたい」といった声があったそうです。
現在、一部の店舗では3D smart & tryの利用のみでも予約制になっているので、興味のある方は予約状況を確認のうえ体験してみてください。自分の知らない自分を知れて面白いですよ!