トピック

5カ月で10kgダイエット。スマートな機器でスマートに。面倒なことはしなくていい

スマートな機器の数々を駆使して効率良く減量しよう!

「楽してやせたい」というのはきっと人類共通の願いだ。体重を減らすために、身体にむち打つようなつらいトレーニングをしようと思う人はまずいない。おいしいものをお腹いっぱい食べることだって諦めたくないはずだ。できれば最小限の努力で、最大限のダイエット効果を得たいではないか。

しかし、何かを得ようとすれば、同時に何かを失うのが世の常である。体重減というご褒美をもらいたいのなら、その分のカロリーを消費するために、やはり激しいトレーニングで身を削るか、厳しく食事制限して摂取カロリーを抑えるか、あるいはその両方が必要だ。そんなことはわかりきっている。

でも、実はあともう1つ選択肢が残されている。それは「お金をかける」というものだ。なんだか生々しいのでもう少し穏やかな表現に言い換えると、「お金を使って最新のスマート機器を買い、使いまくる」ということである。あまり変わってないな。まあとにかく、ダイエットに関する優れた最新の知見やノウハウを、今やお金をかければスマート機器を通じて誰でも手に入れられるいい時代になっているのだ。これを使わない手はない。

在宅勤務が続いていた4月に一時78.1kgまで体重が増加していた筆者だが、そうしたスマートな機器の数々を駆使したおかげで、9月にはマイナス約10kg、67kg台にまで減量することができた。ポイントとなるのは「スマートな体組成計」「スマートな心拍計」「スマートなトレーニング機器」という三種の神器。コンセプトは「面倒なことは一切やらない」である。

4月の筆者(左)と、そこから5カ月で10kg減を達成した筆者(右)

果たしてどんな方法で減量したのか、僭越ながらそのコツみたいなものをここで披露したい。あくまでも個人的な体験に基づくものなので、信じるか信じないかはあなた次第。本当に正しく減量したいならプロのアドバイスに従っていただきたい。

・何はともあれスマホ連携できる「スマートな体組成計」
・消費カロリーの把握に「スマートな心拍計」
・毎日続けられる「スマートなトレーニング機器」
・意地でも続ける

何はともあれスマホ連携できる「スマートな体組成計」を買うべし

減量を目指すにあたって筆者が一番重要と考えているのが「現状の把握」である。これは主に、はっきり数値で目にすることができる体重のことだ。「自分の体重なんて知りたくない!」などと現実逃避している場合ではない。とりあえず体重を、毎日、できれば朝晩、必ず計測するのだ。さあ今すぐ!

毎日、できれば何度も、必ず体重計に乗ろう

なぜ毎日体重を測る必要があるのか。もちろん、減っていく(増えていく)体重を見て自信(危機感)につなげる意味もあるけれど、それよりも自分の体重がどのように変化するものなのかを知っておくことがここでは重要だ。毎日、あるいは日に何度も体重計に乗っていると、普通に生活しているだけでも体重はかなり大きく増減していることに気付くだろう。

たとえば筆者の場合、1日の間に1~2kgくらいは平気で増減する。そして一生懸命運動して瞬間的に2kg減らしたと思っても、生ビールをぐいっと飲んで夕食をとって寝て起きたら1.9kgは戻っていると思っていい。なんなら増えている可能性もある。以下で示した筆者の体重推移のグラフを見てみるとわかる通り、毎日減っては増え、減っては増えを繰り返している。ばらつきが大きくて本当の体重がよくわからなくなるが、しかし後で全体として振り返るとちゃんと減少に向かっていたりする。

筆者の体重の推移。上がって下がってを繰り返しながら徐々に右肩下がりになっている(赤は近似曲線)
1カ月間の体重の推移に注目すると一段と変動が激しく見える。それでも傾向としては減量していることがわかるだろう

だから、1日2日のごく短期間の体重の変化に一喜一憂しても仕方がない。毎日体重計に乗り、必ず記録に残して、ある程度長期間の傾向を知ることが長い目で見たときにモチベーション維持の意味でも大切になる(減っていればの話だが)。

ただ、そうやって体重計測を続けていくにあたって、手作業でメモするのは全くおすすめしない。ハイエンドの必要はないけれど、ある程度高機能な、少なくとも上に乗るだけで自動でスマートフォンなどに記録が残っていくスマート体組成計を使うべきだ。

新たに購入したスマートな体組成計。オムロンの「カラダスキャン HBF-230T」

手作業は面倒だし、記録を忘れるうえにミスもしやすいから、というのもあるけれど、理由はそれだけではない。せっかく自動で賢くデータ化してくれるスマート体組成計というものが存在する、とてもいい時代なのである。余計な労力をかけずに済むならそれに越したことはないからだ。あくまでも狙いは体重の現状と傾向の把握であり、最終目的はやせることである。決して記録をつけることではない、ということを頭に入れ手おきたい。

とはいえ筆者の場合、減量に向けて取り組み始めた4月の時点で使っていたのは、スマートではない普通の体組成計だった。「今こそ室内サイクリング! 30日間Zwiftチャレンジでやせられる?」という企画を立てたものの、せいぜい記録を取るとしても1カ月だろうから、手作業でメモすればいいやと軽く考えていたのだ。

しかし10日ほどたったところでこれは不毛だと悟った。ExcelのSUM関数の結果を電卓で計算し直しているような不毛さだ。とても長く続けられるようなものではない。

さっさと見切りをつけてスマホ連携可能な体組成計を購入し、使いはじめた。

体重計に乗るだけでスマートフォンにデータ転送し、各種測定値を蓄積していく

そこで決断していなければ、おそらく1カ月が経過して企画が終わった時点で面倒くさくて減量チャレンジは断念していたと断言できる(ちなみに最初に使っていた旧体組成計と、新しく購入したスマート体組成計の間では約1.5kgもの誤差があり、上記企画では旧体組成計の値を採用することにした。そのため結局1カ月間は手作業での記録が必要になったのだが……)。

というわけで、面倒な手作業を避けて楽をするために、スマホ連携できる体組成計は絶対に必要。今すぐ電器屋さんなりECサイトなりに駆け込んでゲットしていただきたい。

消費カロリーの把握に「スマートな心拍計」も導入すべし

体重の増減には、基本的には消費・摂取カロリーが関係している(水分の出入りももちろん影響するが)。運動せずに食べまくれば体重は増えるし、逆に運動しまくって食べなければ体重は減る。質量保存の法則みたいなものだ。が、だからといってそんな極端なことは続けられない。実際のところ、運動すればその分食べたくなる(食べないとかえって不健康になる)し、全く運動しなかったら食べなくて済むという話でもない。

運動の後の一杯ほどうまいものはない

だから食べることはやめられない。そうだ、食べてもいいのだ! 健康のためには仕方がないんだから。その代わり、どれくらい運動してどうやってエネルギー収支をマイナスにするか、という話になってくる。要は、摂取するカロリーよりも消費するカロリーを1kCalでも多くできればいい。そうすればいずれやせることができる、はずである。

そういう意味で摂取カロリーと消費カロリーの両方を把握していくことはとても大事なのだけれど、筆者は、あえて摂取カロリーは無視してもいいと思っている。食べたいだけ食べていいということではなく、摂取カロリーをわざわざ記録する必要はないということだ。だって面倒くさいし。

だいたい1つ1つ口にしたもののカロリーを都度記録していくのに、一体どれだけの手間がかかるというのか。その分の消費カロリーも計算に入れたくなってくる。最終目的は体重を減らすことなのだ。先ほども言ったように記録することではない。みなさんも、きっと仕事や趣味で忙しいなかで、その合間に減量に励むはず。食事の記録に時間を費やすくらいなら、その分仕事や趣味や運動をすべきである。

これは暴論だが、そもそも自分の摂取カロリーを正確に知る方法は存在しないと言っていい。お店で購入した加工食品にはカロリー表示があるし、ヘルスケアアプリでも一般的な食材・メニューの摂取カロリー量がデータベース化されているから、そこから算出することは可能だろう。でも、同じ炒め物でも油のさじ加減1つでそれも全く当てにならなくなるわけで、素人の自分が料理なんかした日には正しいカロリー量なんて知りようがないのでは、というのが筆者の考えである。

ただし、体重減だけが目的ではなく、筋肉をつけたいとか、競技で勝ちたいとか、バランス良く栄養補給してもっと健康になりたい、ということであれば話は別だ。しっかり記録を取りつつ、食事や栄養のことをもっと深く考えていく必要があるだろう。でも、こと体重を減らすということについて言えば、摂取カロリーの記録はしなくてもいいと考える。面倒なことはやらずに済ませるのだ。あくまでも筆者の個人的な見解である。

食品にはカロリー表示されていることが多いが、これを1つ1つ記録していくのは難儀すぎる

さて、その一方で、運動時の消費カロリーは絶対に知っておくべき数字だ。

なぜなら、そのときの運動がどれだけ体重減に効果があるのか、それを客観的に知ることができるほとんど唯一の目安となる数字が消費カロリーだから。自分では気を失いそうになるほど頑張ったと思っても、消費カロリーにしてみると全然大したことがない運動量だったりする。

運動のつらさというのはその時の体調によって変わるわけで、消費カロリーを感覚的に判断するのは困難だ。「これくらい消費しただろう」という思い込みで続けると、むしろ時間を無為に消費するだけになる。

その消費カロリーの算出のために必要になるのが心拍計だ。ランニングアプリやサイクリングアプリなど、多くのアクティビティトラッカーでは心拍数が消費カロリーを算出する係数の1つとなっている。心拍計を使うことには他にもいろいろメリットはあるけれど、減量を目指すという目的においては「消費カロリーがわかるようになる」ことが一番大事なポイントだ。

スマートな心拍計、Wahooの「TICKR FIT」

心拍計があることで、毎回運動をするたびに、体調によらない客観的な消費カロリーの数値がわかるようになる。目標としている運動量に達しているかどうかに気付けるので、足りなければもっと運動しなければとか、食事の量や質をどうすべきかとか、そういう判断ができるようにもなる。

腕などに巻いて運動すれば心拍が計測され、アクティビティトラッカーで消費カロリーが算出されるようになる

もっと言うと、毎日一定のカロリーを消費して、毎日の食事量(摂取カロリー)を一定に保っている限りは、体重の増減の傾向も一定になるはずだ。原理的には。そこで体重が減っていく程度のカロリーを毎日消費するように運動量を調節すればいいのである。すごく簡単! 究極的には、ちょっと今日は食べ過ぎたなあと思ったら、その分運動して消費カロリーを積み増せばいいだけ。いやあ、実にシンプル!

ところで、スマートな心拍計には腕時計型やバンド型などいくつかのタイプがあり、自分が取り組みたい運動に合ったものを選ぶことになる。筆者の場合は「Zwift」というソフトウェアを使った室内でのバーチャルサイクリングをメインに取り組んだので、Zwift(PC版)が対応するBluetoothとANT+で接続可能な心拍計「TICKR FIT」を使用した。

毎日続けられる「スマートなトレーニング機器」を取り入れる

ここまで「スマートな体組成計」と「スマートな心拍計」をおすすめしてきたわけだが、これらがあれば必死に頑張らなくても自然と体重は減っていくんだな! いつも通り食べてもいいし、面倒くさいこともやらなくていいんだな! と思っただろうか。

それは大間違いである。そこそこ運動して、普通に食べて、数字を把握し続けているだけでやせられるなんて、そんな甘い話はない。それだったらとっくにみんなガリガリっすわ。

運動にはむしろ本気で取り組まなくてはいけない。そうしないとカロリーは消費できないんだ。長い年月をかけA5ランクの和牛のサシのように身体の隅々にまで入り込んだ脂肪なんだよ。軽い運動でなんとかなるわけがないじゃないか。激しく運動するんだ。その日の仕事がまだ終わっていなくても、1日たりとも欠かせない大事な趣味があっても、何があっても毎日運動するのだ。しかも限界まで、へとへとになるまで力を出し切らなければいけない。好きに食べながらやせたいんだったらなおさらである。とにかく全力でやるしかない。

汗なのかヨダレなのかわからない汁を大量に発散しながら全力を出し切るべし

しかしだ。全力を出し切るような運動を毎日続けられるかと言えば、まあだいたいは挫折する。最初は様子見程度で、徐々に身体を慣らしていって負荷を高めていく、みたいな方法もあるのかもしれないが、それだってよほどのモチベーションがなければ続かないだろう。少なくとも筆者がランニングでなんとかしようとしていたときはそうだった。2日くらいは続けられても、その後1週間、2週間は平気でサボってしまう。体重は減るどころかむしろ増えていく。

なぜサボってしまうのか。原因を考えてみると、その運動自体を楽しめないというのもあるけれど、もっと大きく関係しているのが「時間」ではないか。

運動する「時間の確保」もそうだが、それよりも「時間の自由度」が低いのが問題だ。たとえば屋外ランニングだと真夏の暑い時期は日中を避けたいので早朝や夜間に限定されてしまう。荒天時も走れない(走りたくない)。それに加えて、通勤したり仕事したりする時間も考えると、なかなかランニングするタイミングがない、というのが実際のところだ。そういう走らない言い訳を自分の中で正当化する理由を探しやすい、というのも問題である。

もともと筆者はランニングでなんとかしようとしていたが、いまだ習慣化には至っていない

なので、運動する時間の確保はともかく、「時間の自由度」を上げることが問題解決の糸口になるはずだ。じゃあどうするのか。目の前にトレーニング環境を整備すればいいのである。在宅勤務しているなら、仕事をしているその自宅に、いつでもすぐに使えるようトレーニング機器をセットしておくのだ。簡単に片付けられるようにしてはいけない、据え置きするのである。

ランニングが好きならルームランナーを置けばいいし、筋トレが好きなら部屋ごとトレーニングジムにすればいい。筆者の場合は、部屋の広さや追加でかかるコストを考慮しつつ、より楽しめて、安全に、効率良くカロリー消費できると思われる運動として、バーチャル室内サイクリングソフト「Zwift」を選び、それに連動させるスマートなサイクルトレーナーとしてWahooの「KICKR」を導入した。

Wahooのスマートなサイクルトレーナー「KICKR」
仕事机のすぐ目の前に据え置きしている

30日間Zwiftチャレンジでやせられる?【前編】

30日間Zwiftチャレンジでやせられる?【後編】

室内サイクリングマシン最高峰「KICKR BIKE」がカッコいい。“勝ちきる”人の最強バイク!

Zwiftは、KICKRにセットした自転車のペダルを踏むことで、オープンワールドチックな3D空間を自転車で走り回ることができるというもの。その空間で表現されている勾配に合わせてKICKRの負荷がリアルタイムに変化し、まるで本当にサイクリングしているような感覚を味わえるのが特徴だ。

ゲーム感覚で楽しめて、落車することがないため安全で、外の天候に左右されることもない。設置スペースも自転車1台分+α程度で済むから、さほど広くない仕事部屋にも置くことができ、自転車にまたがればすぐに走り出せる。

自転車のペダルを踏むことで仮想の3D空間を走り回れる「Zwift」

自分がこれで10kg減量できたからこそ言うのだが、バーチャル室内サイクリングは体重減を目指す人には特におすすめである。ただ自転車に乗ってペダルを踏むだけでいいんだから。1日に1時間、そう、たった1時間だけでいい。足がちぎれそうになって心拍がレッドゾーンに突入し、もうこれ以上踏めない、というところまで追い込むだけでいいのだ。それで1日に消費すべきカロリーのノルマはだいたい達成できる。

孤独に自分1人きりで走るわけではないので、モチベーションも維持しやすい。Zwiftでは世界中のサイクリスト(Zwifterと言うらしい)が常に誰かしら走り回っており、一緒に楽しく脚を削り合える。ミートアップと呼ばれるイベントレースにも積極的に参加しよう。レースではなぜかみんな速く走るし、置いて行かれると寂しいと思って意地になって争うので、直前に食べたものを吐きそうになるくらい追い込めるからすごくおすすめだ。

最近ではフランスを模した新しいコースが追加された。世界遺産のモン・サン・ミッシェルを眺めながらポタリングできるかと思えば、1,500m以上を登り切る屈指の山岳ルートもあって、二度と坂道なんか登らねえぞと心に固く誓うくらいボロボロになることもできる。

世界中のサイクリストたちとバーチャルレースで競う。みんなチートなんじゃないかと疑いたくなるくらい強い

とまあ、毎日とっても楽しく苦しく続けられるスマートサイクルトレーナーを使ったバーチャルサイクリングなんだけれど、Zwiftを選ぶことのメリットは他にもある。1つはサイクリングを終えた後、消費カロリーとともに「TSS(トレーニング・ストレス・スコア)」という数値が表示されるのだ。これは、その運動による身体への負荷の程度を数値化したもので、ものすごくざっくり言えば「どれだけ頑張ったか」の目安になるものだ。

走行後には「TSS」が表示される。画面右上に見える数字がそれ

減量に向けてこうしたトレーニングを毎日続けていくにあたっては、とにかくがむしゃらに頑張ればいいというものではない。やりすぎれば身体を壊して休まざるを得なくなり、かえってデブ味が増すことだって考えられる。身体に無理させることなく、毎日万全の体調で、欠かさず運動することが大切だ。その際に、このTSSという数値が参考になる。

TSSは、150以下であれば翌日に疲労が残らない運動、とされており、それ以上の数値だと体力回復に数日かかることがある。なので、毎日続けるなら150以下に抑えるのが無難だろう。とはいえ、150というのはかなりハードかつ長時間の運動をしない限り超えることはない。1時間きっかり全力でペダルを踏み続けて、やっとTSSが100に届くかどうか、というレベルである。せいぜい60~70もいけば消費カロリーのノルマ的には十分なはずだ。

しかし、いくらゲーム感覚で楽しく走れるZwiftであっても、決まったルートを走っているだけでは次第に飽きてくる。そんなときは目的に応じて選べるワークアウトにチャレンジしたい。ワークアウトでは始める前にTSSがわかるので、消費カロリーの見当をつけやすいのが利点。しかも現在の自分の体力に合わせて、ギリギリ達成できるかできないかの絶妙な負荷を与えてくれるトレーニングメニューが多数用意されている。

Zwiftのワークアウトでは始める前にTSSの目安がわかる

自分の能力に見合った、減量に効果的なトレーニングメニューを考えるのは素人には難しいが、Zwiftのワークアウトであればそこも丸投げできてしまうわけだ。スマートなサイクルトレーナーと、スマートに考えてくれるバーチャルサイクリングソフトがあれば、あとはペダルを踏んでいるだけで勝手に体重が減っていくのである。ありがたい。

どうやって意地でも続けるようにするか

スマートな体組成計と心拍計、トレーニング機器などを自宅に揃えたうえで、騙されたと思って1カ月でいいから続けてみてほしい。「気が向いたらやる」のではなく、走る時間をきっちり決めておくのがベターだ。たとえば仕事のある平日は17時にいったん区切りをつけ、(もしくは区切りがつかなくても無理矢理)そこから必ず1時間ペダルを回す、という風に決める。何があっても時間になったら乗るのだ。その方が仕事にもメリハリがつく(たぶん)。

自宅から遠いオフィスに通勤していると難しいところもあるが、朝起きたら、もしくは帰宅したらすぐに乗る、絶対に乗る、意地でも乗る、ということにしてもいい(集合住宅や家族がいる場合は騒音には気を付けたい)。むしろZwiftが仕事の1つだと考えるべきだ。やせれば本業にもいい影響がある(たぶん)。

でもって、SNSに自分がバーチャルサイクリングしている様子を投稿していくのもおすすめしたい。筆者はペダルを回す姿を毎週のようにライブ配信して「見られている」というプレッシャーをかけた。誰かが自分を監視していると思うと、やらざるを得ないという気持ちになるのだ(視聴している人が実際にいるかどうかは関係ない、考えない)。

ライブ配信してあえて他人の目にさらすことでプレッシャーを自分に与える
ときにはWahooからKICKR BIKEをお借りして環境に変化をつけたり

「1時間」としているのには筆者なりの理由がある。

全力でやるべし、と煽ったものの、のんびり低負荷で2時間、3時間とだらだら運動をしても全力の1時間と変わらない消費カロリーにすることは不可能ではない。ただ、平日にそれほどの時間を割くのは多くのサラリーマンには無理な話ではないかと思うのだ。だから1日1時間にぎゅっと凝縮する。その程度ならなんとか時間を捻出できるのでは?(実際にはシャワーなり休憩なりでプラス30分~1時間は取られるけれど)

とはいえ全力で毎日続けた筆者は、最初の2週間ほどで例えようのない、しかもいつまでも回復しない脚の筋肉痛に悩まされた。1~2カ月もすればその状態が当たり前と思うようになったものの、悪化しすぎないよう適宜休息日を設けることも大切だ。どうにかして根性で1カ月続けることができれば、自転車に乗ることが習慣化し始めているので、以降も日課として続けていきやすくなる。

2~3カ月もすると目に見えて体重が減っているはずで、今度は元に戻りたくないと思うのと同時に「休むことが罪」と感じるようになり、半強制的に1日のルーチンとして運動を続けられる。このへんでわりと疲労もピークを迎えてくるので、筋肉の疲労回復のためにプロテインを飲むべきでないか、と考え始める。効果のほどは定かではないが、気休めであっても1ミリでもいいから疲れを取りたい、と思ってしまうのである。筆者は今や毎日愛飲している。

筋肉疲労の回復にはプロテインが効果的かもしれない

室内サイクリングで減量することのデメリットも……

5カ月間、ほとんど室内サイクリングばかりで、ろくに外出していなかったことによる明らかなデメリットもあるにはある。まれに外でランニングすると、一発で脚が筋肉痛になり、膝にダメージを負うようになってしまったのだ。完全に自転車特化の身体になってしまい、歩く力、走る力が退化したことを実感する。室内サイクリングだけで全く外を出歩かない生活というのもよろしくない。屋外ランニングやウォーキングもほどよく取り入れるべきだろう。

また、減量だけを目的にしてきたせいか、体重減にともなって体力(パワーや持久力)が落ちてきているようにも感じられる。5カ月間でマイナス10kg、1カ月平均マイナス2kgペースの減量はおそらく過剰というわけではないが、ただ減量するだけでは他の部分への影響も少なくない。減量するだけでなく自転車で速く走りたい、体力をつけたいとも考えているなら、もっと緩やかに減量するようにして、食事にも気を付けながら体力、筋力アップを図った方が良さそうだ。

そういうこともあって、筆者としては減量のための室内サイクリングは終わりにし、この10月からは体重を維持、もしくは少し増やすことを考えつつ、どうやってパワー改善を図るかに取り組み始めている。順調に体重が減っていくのがわかるのもうれしいが、体力が向上していっているかどうかをはっきり数値で把握できるのも、スマートな機器類を使っているからこそ。体重減の目的を果たした後でも大いに活躍してくれるはずだ。

ダイエットに取り組んだ全期間の体重、体脂肪率、BMIの推移