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アパのテレワーク応援プランで実際に仕事をしてみた
2020年4月9日 08:30
先日「アパホテル、4泊5日1.5万円でテレワーク応援」という記事が掲載されて少し話題になっていた。新型コロナウイルスに起因する国内外の旅客の激減と東京オリンピックの2021年以降への延期など、ホテル業界に吹き荒れるかつてない逆風の中で、これを逆に活用した宿泊プランに非常に興味を惹かれた。
今回は5日連続滞在のプランではなく、テレワーク利用を前提とした日帰りプランではあるが、実際にアパホテル&リゾート東京ベイ幕張で仕事をしてみた体験記を紹介したい。
ホテル中層階からの眺望での仕事は快適
普段はモバイル決済などを中心に取材しているが、最近はインタビュー取材や説明会、各種打ち合わせなどもオンライン会議上で行なう機会が増えてきており、急遽オンライン会見用の個室を用意しなければならないことが多い。
聞き流しが可能な説明会に比べ、特にインタビューについては自分自身が長時間しゃべる必要があり、さらに途中の割り込みが厳禁ときている。アパが提供する新プランは願ったり叶ったりの提案ということで、自宅から一番近いアパホテル&リゾート東京ベイ幕張を試してみることにした。京葉線の海浜幕張駅から徒歩5-6分ほどの場所で非常に便利だ。電車が動いていなかったとしても、徒歩30分ほどで自宅に帰れる距離というのも安心感がある。
今回利用したのは「テレワーク応援 日帰りプラン」で、朝8時から夜7時までのデイユースでの利用が可能というもの。ホテルのフロントには朝8時過ぎに到着したが、通常のチェックイン時間ではないため自動チェックイン端末はすべて停止しており、有人カウンターでの対応を受けた(アパホテルは後精算の会計がない限りはチェックアウトは不要)。支払う金額は日帰り利用の料金の4,000円に、テレワークプランを適用した+500円で計4,500円。アパの会員カードがあれば面倒な宿泊票への記入がないためスムーズに入館できる。
滞在の際の注意点として、東京ベイ幕張で3棟あるビルのうち中央部のセントラルタワーしか現在稼働していないこと、また同ホテルには大浴場が併設されているが、営業時間が限られていることの説明を受けた。本来日帰りプランは大浴場を楽しむことも想定した「湯ったり日帰りプラン」という名称だからだが、今回は仕事をしにきているので特に問題はない。
今回割り当てられたのは50階建てのセントラルタワーの中層部にあたる25階の部屋。押さえたのはツインルームだが、これは机の配置が唯一窓側を向いているため。仕事に集中すれば関係ないが、合間合間に素晴らしい眺望が目に入ってくるのは目の保養になる。
ちょうど西向きの配置であり、目の前にはZOZOマリンスタジアム、幕張メッセ、イオンモール幕張新都心などが見える。昼過ぎまで日光が直接差し込まないので、それまではカーテン全開で作業が可能だ。また室内のシャワーとトイレが利用できるため、朝着の身着のままでホテルまで直行してから身だしなみを整えて顔出しのオンラインミーティングに参加することが可能だ。トイレが室内にあるというのも、他のコワーキングにはない特徴だ。
仕事環境に触れると、アパはすべてのホテルの部屋で電源とWi-Fiインターネット(場合によっては有線も)が完備されているため、作業環境的にはまったく問題ない。ただ、東京ベイ幕張はもともとビジネスホテル用として建てられたものではない関係か机がやや狭い。それでもノートPCとセカンドディスプレイを配置して作業できる程度には余裕があるので、当座の作業環境としては必要充分だと思う。
なお、このホテル館内にはコンビニやドラッグストアもあるので、気軽に購入して部屋に持ち込める。部屋には冷蔵庫があるほか、お湯を沸かすケトルやコーヒーセットも完備されているため、ちょっとした料理も可能だろう。とにかく籠もって仕事するのに必要充分な環境が揃っているのは大きい。
テレワーク応援プランはこうやって選択する
お得さで話題のテレワークプランだが、現在アパホテルのトップページにアクセスすると日帰りプランを案内するバナーがあり、これをクリックすると[専用の予約ページ]が出現する。テレワーク応援プランには「日帰り」と「5日連続」の2種類があるが、後者については予約の際に「4泊5日」で宿泊日時を指定すると、自動的に5日連続の料金が適用されるようになる。
注意点としては、すべてのアパホテルで利用できるわけではなく、また利用できるホテルであっても部屋数に限りがあるため、目的の日付を検索したうえで泊まりたいホテルがあるかを選択する形になる。
また、単純に日帰りプランのページで予約しただけだと「テレワーク応援」のプランは選択できない。最初のページでホテルと日付を選択し、次に表示されたプラン選択画面を下にスクロールすると、通常の日帰りプランに「テレワーク応援」の名称がついたプランが出現する。これを選択した状態で画面を上の方へと戻すと、それまで最大で午後12時までしか指定できなかったチェックイン時間が朝8時まで指定できるようになる。これで最大11時間のデイユースが利用可能になるため、朝ホテルに到着したら、夜の退出までたっぷりと仕事が可能だ。
今回、テレワーク応援プランが提供されるようになった経緯についてアパホテル広報に聞いたところ、「アパホテルでは全店、日中の時間帯を活用して日帰りプランを販売しており、テレワークにも活用していただけるように、朝8時から19時まで最大11時間客室を利用できる日帰りプランを新たに販売開始しました」という。
5日連続プランについても同様で、「5日間連続での利用限定で、チェックイン当日朝8時からチェックアウト日の夜20時まで利用可能なテレワークに最適なプランになっています。月曜日のチェックインであれば月曜日の朝8時から金曜日の夜20時まで利用可能です」ということで、集中して作業場所を確保したいというニーズを満たすものとなっている。
現状で、テレワーク応援日帰りプランの提供期間は3月25日から5月31日まで、5日連続プランは4月2日から5月29日となっている。なお5日連続プランについては途中の客室清掃は1回のみとなる代わりに、料金は1万5,000円からということになっている。また余談だが、現在アパホテルでは連泊すると「アパ社長カレー」がもらえるキャンペーンを6月30日まで限定で実施しているが、5日連続プランはこの対象になるため、もれなくアパ社長カレーが入手できる。
実際にユーザーからの反応について同社広報では「ご利用頂いているお客様からは、自宅よりも集中できる、ネット環境が整っていて仕事がしやすい等の声を頂いております」と説明しており、概ね好評のようだ。
緊急事態宣言後のテレワーク環境探し
昨今の新型コロナウイルス感染拡大にともなう情勢から日本でもテレワーク(リモートワーク)が推奨されるようになり、会社の方針として「基本、出社はなし」ということで業務形態を切り替えるところが増えている。特に4月7日からは全国7都府県で緊急事態宣言が発令され、その動きはさらに強化されている。
一方で、「自宅でテレワークする場所がない」ということで困っている方も少なくないはず。「一斉休校で子どもが家にいるので落ち着かない」「夫婦ともテレワークなので作業場所が足りない」など理由はさまざまだが、筆者の場合は自宅に介護中の親を抱えており、家にいると頻繁に声をかけてくるためまったく仕事が手に着かない。
フリーランスということもあり、普段日中は赤坂にあるアークヒルズライブラリという共有スペースで作業をしているが、ここは音声会話ができるブースに20分の時間制限があり、最近増えているZoomやTeamsなどのオンラインミーティング用途に使えないという問題があった。そこで最近見つけたのがJR東日本が運営している「Station Work」というサービスで、専用のブースを15分間250円で利用できる(今年3月までのキャンペーン期間中は15分間150円だった)。
確かに便利で快適ではあったが、割と1回の利用金額がバカにならないという不満もあった。通常のミーティングの時間が60分、オンラインミーティングでは接続時のトラブルなどを考慮して90分を確保しているが、機材のセットアップと片付けを考慮して前後合わせて15分のマージンを確保しており、予約する際の時間は105分で設定している。
キャンペーン期間中は1,155円だったのでまだ我慢できたが、これが4月以降は1,925円と一気に倍近くなり、少なくとも週に3-4回は双方向ミーティングが発生することを考えると、そのコストもけっこうな負担だ。しかも普段の作業場所からStation Workのある駅までの移動も計算に入れなくてはならず、そのロスも大きい。その点、アパのテレワーク応援プランは日帰り利用でも料金的にはお得だと思う。
1日作業場所を確保できるので、そのまま仕事をしていれば時間が無駄にならない。特に、緊急事態宣言が発令されてアークヒルズライブラリが閉鎖されるというアナウンスがあった以上、筆者は仕事環境がなくなってしまった。それを考えれば、今回のテレワーク応援の5日連続プランも非常に魅力的であり、特に締め切りやミーティングの重なる時期を狙って予約を入れることで、作業を効率よく進められるようになるのではと思う。
自宅からも近く、移動を抑えられ、人ごみも避けられる。今後数カ月先か、まだまだ続くと思われるテレワーク環境探しの旅だが、その点で有力な選択肢が出現したことは非常にありがたい。