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運転しない歴18年の男、車を買う:脱ペーパードライバーへの道(1)

免許証を取得して以来、ほぼ運転をしていなかった男性(著者)が、ペーパードライバーからの脱却を目指す短期連載です。車を購入してから、家族を乗せてドライブに行けるだけの運転技術を身に付ける(予定)までの姿をお送りします。

現在、46歳。免許はあるけれど、クルマは「持たない・運転しない・憧れない」の3ない運動で生きてきました。カーボンオフなライフスタイルを追求してきたとか、ミニマリズムにかぶれてる、とかではありません。単純に維持費含め「金がかかる」から。

ローンで買うとか駐車場が月々おいくらとか、燃費がどうとか、ハイオクって何だとか、クルマにかかる費用がハンパないと感じていました。現代の若者はクルマに乗らないという風潮の先駆けと言ってほしいぐらいです。クルマにウン百万もかけるなら、ほかのことに使った方がいいと、今でも思っております。豪華客船の旅の方が魅力的に感じてしまいます。

そもそも免許取得が20代後半で、かれこれ18年ぐらいほぼ運転していません。そんなクルマにほとんど関心のなかったわたくしが、40代半ばにして「クルマを運転すること」を決意しました。理由は、さすがに今、クルマに乗らなければ一生運転できないと思ったから(ペーパーコンプレックスがあるまま死ぬ)。そして、高齢の両親に何かあったときにクルマがあった方がいいから。さらに、そろそろ子どもたちが遊んでくれなくなる年頃にさしかかるので、気ままに出かけるの楽しそう、と思ったから。

本当は子どもが小さい頃にクルマでいろいろと連れてくのが良きパパでしょうけども……遊んでくれなくなった子どもたちも「クルマで行くぞ!」と言えばついてくるんじゃなかろうか、という淡い期待もあります。奥さんはまったく関心なさげですが。

運転をしていないのでもちろんゴールド免許

とにかく駐車場を借りて、クルマを買ってしまう

と、いうことで決意はしましたが、さてどうするか。まずは決意が揺らがないよう、駐車場を借りてしまいます。マンションの駐車場は空きがないので近くの野ざらし駐車場の管理会社に電話します。数カ所空いていて「どこを選んでもOK」とのことですが、どこが駐めやすいのか、などわかりません。が、1区画だけ「角」だったのでそこに決定です。

借りた駐車場

なんとなく、両隣によそ様のクルマがあるより、片一方だけの方が車庫入れにしくじってぶつける危険性が半減すると思いました。使いやすさよりも事故を想定する気持ち、ベテランドライバーの方にはわからないかもしれません。まぁ、結果として「角」を選んだのが間違いでもありましたが。

管理会社からは駐車場を借りるための書類が送られてきて、指定されるママに著名したりハンコを捺したりするのですが、ここで先方から問いかけが。「車庫証明はどうしますか? ご自身で申請しますか、ウチで用意しますか?」と。車庫証明が必要なことはなんとなく知っていましたが、具体的なことはわからないので即答で管理会社にお任せです。たしか数千円の手数料がかかりましたが、その程度の費用でコトが前に進むならお安いもの。

無事、駐車場を借りることになりましたが、余裕を持って1カ月先の使用開始日にしておきました。その間に近くの教習所で「ペーパードライバー教習」を受けようと考えていたのです。が、考えを改め、教習の前にクルマを買ってしまうことにしました。買えば乗らざるを得ないでしょう。これこそ大人買いです。駐車場もクルマ購入も、自ら逃げられないよう追い込んでのこと。

ただし、いきなり新車を買うほどの余裕はありません。100万単位で費用捻出なんて思いつきでできません。なので中古車を買うのですが、世の中には中古車屋がたくさんあり、なんならネットでも買えるそうです。しかしながら、予備知識がまったくないので恐ろしくてアクセスできません。と、そんなことをいろいろと検索していたら「中古車を扱う店のなかでもディーラーが安心」な感じがわかりました。さっそくディーラーにGOです。

クルマ選びの基準は、歩いて買いに行けること

普通は欲しいクルマや好きなメーカーのディーラーに行くのでしょうが、三菱自動車のディーラーに行きます。なぜなら駅の近くで歩いていけるから。クルマを買いに行くのに自転車で行くのはためらわれました。かすかな自尊心です。若者ではないので、仲間のクルマに乗ってワイワイ物色しに行く、なんてことはできません。ひっそり徒歩。

家から歩いてディーラーへ向かう(本人による再現イメージ)

担当してくれたのは20代半ばぐらいの青年です。恥を忍んでとりあえず洗いざらい話をすると、意外にも真摯な対応。「とにかく安い方がいい」というあまり良客とはいえないオーダーに対しても熱心な雰囲気。ちょっと来てよかった瞬間です。

クルマ選びは、繰り返しになりますが安い方がいいので自動車税もお得な軽自動車一択です。で、流行の背が高い、室内が広いのがいいなーなんて言ってると、人気があるから非常に高価なのですね。中古車なのに100万円のラインを平気で超えていきます。中古車に100万以上の大金をつぎ込むのはちょっと……などと言っていると出てきました。今回、見事購入にいたった軽自動車「三菱 i(アイ)」が。全然背が低いし、室内も狭そう。でもかわいいので決定です。ペーパーおじさんの初めて買うクルマがまるっこい三菱アイなんて、自虐にもほどがあります。

購入した軽自動車 三菱アイ

購入費用は70万円! お試し価格として安いのか、高いのか。

関東のディーラーなら運んでこれるということで、あちこちの在庫から何台か見繕ってもらいました。そのなかでも「ターボ車にしておくべき!」という青年の主張にのっとり、2013年式(走行距離約5万キロ)の三菱アイ・ターボにしました。ターボ車がどのようにいいのかもちろんわかりません。「ラク」だとのことです。何がラクなのか……説明されてもピンときません。

走行距離は約5万km

ペーパーなので試乗もせず、車両の状態も確認せず、青年を信頼してドーンと一括現金払いです。車両価格が60万ちょっと、消費税やそのほかの諸費用が10万ほど。つまり、車検証や自賠責保険とか、それらの申請費用ですね。こちらとしては役所で住民票を出してもらうだけの手間でした。ちなみに軽自動車は印鑑証明や実印は不要とのことで、何かとお手軽な仕組みになってるようです。

とにかく、車両価格に諸費用、消費税で70万円を少し超えてしまうのですが「端数はサービスです!」ということでぴったし70万円のお買い上げとなりました。必要性があるわけでもなく、なんとなくノリで始めてしまったペーパードライバー克服への道。70万円という価格が安いのか、高いのか、今の時点ではなんともいいようがありません。

なお、保険は青年が営業をかけてきた見積もりをはねのけ、ネット保険のチューリッヒです。保険選びも初めての人にはかなり難しいハードルでしたが、各社でネット見積もりしてみると、なんとなく保険商品の内容と価格の差みたいなのがわかってきます。安い中古車に車両保険は要らない、という情報も多く見られましたが、いきなり自損事故で大変なことになる可能性もなきにしもあらずなので、念のため入っておきました。

保険は自力でチューリッヒを選択

と、今回は、愛らしい6年落ちの三菱アイを無事に購入したところまで。次回の「出張教習って何?」に続きます。