西田宗千佳のイマトミライ
第44回
iPadが大活躍。ビデオ会議で花開くサービスと機器の新しい可能性
2020年3月16日 08:15
テレワークやビデオ会議、ビデオカンファレンスが増えている関係もあってか、その種のニュースに事欠かない。そうしたサービスのプラットフォーマー同士の競争も激化している。今回は、そうしたプラットフォーマー同士の競争について語ってみよう。
ビデオ会議・ビデオカンファレンスでiPadが大活躍
ビデオカンファレンス・ビデオ会議などのインフラは多数あるが、特に今追い風が吹いているのは、Zoomだろう。専用アプリもあるがウェブからでも簡単に使えるハードルの低さ、ホワイトボードや質疑応答用の「挙手」などといった機能面の良さがポイントだろう。取り扱い事業者も増えてきており、この状況の中で「伸びる」企業のひとつといえる。
筆者も使っているが、Zoomに限らず、ビデオ会議やビデオカンファレンスでは、PCを横に置きつつiPadでコミュニケーションしたり、視聴したりするのが便利だ、と感じる。筆者の場合会見などで使うことも多いが、スクリーンショットを残しやすく、メモや他の作業をPCで平行して進めやすいのもポイントだ。
PCでマルチ画面、というやり方もあるのだろうが、あえて機器を分けることで安定感を持続しやすいこと、機器を持ち運んで外で視聴する際にも環境が変わらないことなどが利点だ。実は筆者は、自宅ではなくコワーキングスペースを仕事場代わりに使っている(理由は気持ちの切り換えだ)こと、取材や出張で移動が多く、メインの仕事機器がノートPC+iPadであることなどから、このスタイルがとてもやりやすい。
特にZoomの場合、ビデオ会議中には共有画面に「注釈」を入れる機能がある。ペンで画面に注釈を書き込んでいくものなのだが、iPadの場合、Apple Pencilが使えるのでその辺もやりやすい。同じことはWindowsのペン対応端末にも言える。筆者のWindowsマシンはSurface Laptop 3なので、もちろんペン対応。「絵を描くのじゃない限り、PCにペンなんて使い道がない」という人もいるが、文字じゃなくこういうホワイトボード的な機能では、ペンのある端末の方がありがたい。
どうやらビデオカンファレンスはiPadで、というのは私だけではない模様で、友人でライターの石野純也さんも、同じような環境である。彼の場合にはよりスマホを多く使っているようだが。
「ビデオ会議専用ハード」はブレイクするか
PCとは別にビデオカンファレンス・ビデオ会議用の機器を用意する、というニーズは、かなり広がる可能性がある。
3月10日にはレノボから、Microsoft Teams専用の端末である「ThinkSmart View」が発表された。
レノボ、8型タッチ液晶搭載のTeams専用端末「ThinkSmart View」
面白いと思ったのは、この機器が、同社の発売したGoogleアシスタント対応の「スマートディスプレイ」とそっくりであることだ。
10.1型スマートディスプレイ「Lenovo Smart Display M10」を実機レビュー
海外のサイトからスペックを調べると、さすがに「ThinkSmart View」は、スペックがずいぶん強化されているようだ。だが、中身は同じAndroidベース。「ThinkSmart View」の方が、スタンドアローンのAndroid Qで動作する端末になっている形である。同社としては、すでに開発した機器のデザイン・金型をうまく活用し、専用端末を仕立ててきた、ということだろう。うまいやり方だ。
とはいえ、価格は49,000円とちょっと高め。実のところ、iPadなどのタブレットをミーティング専用端末として買った方がコスパはいいのでは……と思わなくもない。安定的であること、一括納入と管理に向くことなど、マイナスというわけではないが、個人で買うには若干躊躇する。
本当は、低価格なEcho ShowやGoogle Nest Hubなどのスマートディスプレイがビデオ会議端末にできればいいのだが、そうはいかない。タブレットの需要は教育用もあってか増えており、筆者がオンラインで調べた範囲では、iPadの納期も、3月14日現在で「3月末から4月1日以降」と、いつもよりずいぶん長めになっている。
リモートワーク補助端末としてなら、Androidの低価格なタブレットを選ぶ手もあるだろう。
「新型コロナウィルス問題解決後」もイベントがオンライン化していく未来
個人的にもうひとつ注目しているのは、VR空間的なカンファレンス・サービスだ。
日本では「クラスター」が先日大幅アップデートを行ない、スマートフォンへの対応を発表したのが大きい。イベント・カンファンレンスであれば、オンラインでの開催も難しくなくなってきた。
もちろん、本物のイベントのような「盛り上がり」には欠けるし、反応を登壇者にどう返すのか、という問題もある。だが、「1対多」的なパターンであれば、もはや動画であってもVR的なものであっても、サービスとして提供できる時代であるのは間違いない。
だとすれば、人と企業のコミュニケーションのあり方として、「1対多については、オフラインイベントではなくオンラインを軸にする」ことが、新型コロナウィルスによる混乱が落ちついた後でも一般的になるのではないか。
いわゆる「イベント」として楽しむものや、実際に「モノ」が関わる話については、結局リアルイベントが継続されるのだと思うのだが、「そうでなくてもいい」という価値観がより広がる可能性があるし、そこに適合したサービスは今がチャンスなのだろう。
ZoomやMicrosoft Team、クラスターといったサービスからは、そうした未来の姿が想像できる。
この辺の可能性や課題については、現在、いろいろな企業や識者に取材を行なっている最中だ。本連載を含め、色々な記事で断片的にではあるが、取り上げていきたい。