小寺信良のくらしDX
第6回
ソーラーパワーで高騰する電気代に対抗
2023年8月30日 08:20
昨年のブラックフライデーのおり、以前から気になっていた太陽光発電に挑戦してみようと、EcoFlowのポータブルバッテリー「RIVER 2」と、折り畳み式110Wソーラーパネルを買い込んだ。この顛末については家電Watchで記事になっている。
元々はキャンプなどの時に、テンポラリ的に使用するようなセットである。ただこれだけ投資してキャンプの時だけというのは勿体ないので、ベランダに常設して、小規模だが自家発電を行なっている。冬場の太陽でも、昼間に仕事で使うぐらいの電力は得られるので、日差しの強い夏場ならもっと発電できるだろうを思ってきた。だが実際には全然上手く行かなかった。
冬場の太陽は、ピーク時でも真上には来ない。このため、マンションのベランダでもよく日が入り、ベランダの窓際のほうに架台を作って立てかけておくだけで、ピーク時には80W、少なくても60Wぐらいは発電できた。朝は9時頃から、夕方は4時頃まで発電できるので、1日7時間ぐらいは発電できている。
だが夏場は太陽の位置が高い。そうなると、太陽光は上階のベランダの影に隠れてしまい、ベランダにはほぼ日が入らなくなることに気がついた。
太陽光発電さえしなければ、良くできた設計である。だが太陽光発電で、夏の方が発電できないというのは納得いかないところである。そこでベランダの張り出しギリギリのところまでパネルを出すことで、どうにか発電できるところまでは漕ぎ着けた。だがそれでも冬場の発電量には遠く及ばない。
ソーラーパネルは、全面に均等に光が当たらないと、極端に発電量が落ちる。一部が影に隠れているだけで、本来得られているはずの発電量の1/3から1/10ぐらいになってしまう。従って夏場で発電できるのは、午前11時から夕方4時ぐらいまでである。しかも太陽光を全面に当てるために、パネルの角度をかなり立てているので、入射角が良くない。そうなるとピーク時でも40W程度しか発電できず、仕事で使用する電力量を賄うまでにはならなかった。
ソーラーパネルをもう1枚追加
ソーラー発電なんて戸建てに住む人がやるもので、マンション住まいではそもそも無理だったのかも、と諦めかけていた時、家電WatchでALLPOWERSのフレキシブルソーラーパネルの記事を見つけた。折り畳みできない1枚パネルだが、8月31日まで早割キャンペーンとして約16,000円で買えるという。Amazonでもクーポンにより、同価格で購入できる。
1枚でダメなら2枚でどうだ! という力技である。うまくいかなくても、これぐらいの価格なら諦めもつくだろうと、買ってみた。
複数枚のソーラーパネルの接続方法は、並列つなぎと直列つなぎがある。直列つなぎはパネルのプラスとマイナスを接続、余ったプラスとマイナスをバッテリーに繋ぐだけなので、接続はシンプルだ。だがこの方法では、2つのパネルに同時に日光が当たる必要がある。片方に日が当たらないと、そちら側のパネルが単なる抵抗になってしまい、結果的に発電容量が減ってしまう。
一方並列つなぎは、2本を1本にマージするケーブルが2本必要になるが、片側に日が当たらなくても、1枚だけで通常の発電量が得られる。筆者宅では上階のベランダの庇の関係で、東側から少しずつ日が当たってくるので、並列つなぎが妥当であろうと考えてケーブルも購入した。
届いたソーラーパネル「SF100」は、横約1m、高さ約58cmで、EcoFlowのパネルよりも幅が狭いが背が高い。ポイントは2.4kgという軽量さだ。EcoFlowのパネルは1枚で約4kgある。折り畳みや可搬機構が入っているせいもあるが、3箇所で折れ曲がってしまう4kgの平たい板を持ち上げてまっすぐに設置するのは、なかなか骨が折れる。どのみち常設するのであれば、折り畳みであるメリットがなく、軽量でまっすぐな板の方が扱いやすい。
この2枚を並列つなぎにして、発電を開始したところ、平均で90W、ピーク時には100Wぐらいの発電量が得られるようになった。念のために単体での発電量を図ってみたが、EcoFlowが30W程度なのに対し、ALLPOWERSのほうは60Wぐらいの発電量となっている。さらに低照度時の特性もよく、曇りでも20Wぐらいは発電する。EcoFlowは曇りだとゼロなので、全然いい。
EcoFlowのほうはすでに9カ月間、毎日直射日光と風雨にさらされていることもあり、特性がかなり劣化しているのかもしれない。折り畳み型はテンポラリ的に使用するもので、常設には向かないということだろう。常設するなら、やはり専用パネルということか。
仕事で使う機器の合計電力は60Wぐらいなので、平日昼間に100W近く発電できると、消費しながらも蓄電できる。むしろ発電しているうちに積極的に電気を使っていかないと、午後3時頃にはバッテリーがフル充電されてしまって発電が止まるという勿体ない事になる。
8月末までのセールということで、本日ALLPOWERSの「SF100」をもう1枚追加発注したところだ。これが届いたら同じ特性のパネルで2枚態勢にし、EcoFlowのほうは持ち出し用として車に積んでおこうと思っている。
電気というのはコンセントに繋げばいつでも好きなだけ使えて、いつどれぐらい使うのかは気にしないというのが普通だ。だが自分で発電するようになると、発電効率を考えて電気を使うようになる。それは単純に節電するのとは違い、使えるときにどれだけ集中して使ってしまうかという話で、方向的には真逆の考え方になる。
今年の猛烈な暑さは、10月まで続くそうである。そうなればエアコンを動かす期間も延びるわけで、どこかでつじつまを合わせなければならない。自家発電は初期コストはかかるが、電気代が高騰している今では、かなり回収期間は短縮される。筆者の住む宮崎県ではすでに6月からエアコンはフル稼働だが、7月の電気代は1万7千円程度であった。
年間の実績で見ても、ソーラーパネル設置以降は昨年よりも使用量が下がっている。元が取れるのはもう少し先になるが、イライラしながら節電するより、これまでと同じペースで生活ができるというメリットがある。
発電はアナログだが、最新の技術を使ってくらしを変えるというのも、一種のエクスチェンジである。今後は家庭用発電も、太陽光だけではなく風力など別の方法が出てくるだろう。先物買いではなく、技術的安定性やコストメリットを考えながら、導入していきたい。