いつモノコト
小児科のオンライン診療を初めて使ったら、親の負担が激減した
2025年3月23日 10:31
子育てをしていて「あぁ……(絶望)」と感じてしまうシーンの1つが、子供が体調を崩した時。我が家の10歳の男子が、風邪をひいた時だ。
子供が風邪をひいた時は、主に妻ではあるが、筆者が近所の罹りつけの小児科へ連れて行くこともある。子供がいれば誰もが思うだろうが、診察してもらうにはなかなか苦労が伴う。
近所には小児科が2~3院あるが、基本は予約が必要。どこもウェブ予約でも当日の朝に受付開始ということが多く、9時ぴったりに更新ボタンをタップして予約をする……のだけれど、ここで少し手こずると、無情にも「本日の予約受け付けは終了しました」といった意味の文章が表示される。
子供はたいてい、近所で風邪やインフルエンザが流行っている時に発症するため、筆者宅と同じような親たちがスマートフォンを握りしめて待っているのだろう。そのため、すぐに予約がいっぱいになる。その予約の取りづらさは、人気アーティストのライブチケットを購入するのと似ているだろう。
さらに近所の罹りつけクリニックは、ウェブだけでなく開院10~5分前になると、クリニック現地で予約が始まる。実はこの約10分の間に、予約がいっぱいになっているのだと思う。もちろんそのことも知っているので、出勤時間を遅らせた妻か、リモートワーカーの筆者が、開院20分前くらいにクリニック前の行列に並びにいく。
朝からバタバタしながら予約の行列に並んだり、もしくはスマートフォンで予約を無事に取れたとしても、すぐに診察してもらえるわけではない。診察予定時刻が分かるわけでもないので、「あと何人(後に診察開始)です」というネットの予約確定画面を、何度も更新しながら待つことになる。
ここから本題。オンライン診療を初体験!
前置きが長くなってしまったがここからが本題。年末に息子が風邪をひき、初めてオンライン診療を使うことになった。本来子供の風邪は医療機関での直接診察が推奨されているが、今回はイレギュラーなパターンでオンライン診療を利用した。
昨年の12月27日(金)の朝に、息子がゴホゴホと咳込みながら起床。実はその数日前の23日(月)に発熱と咳、鼻水のために罹りつけ医に診察してもらい、処方された薬を服用していたが、治っていなかったのだ。
年末でなければ、もう少し様子を見たかもしれない。けれど年末のうえ、翌日は土曜日。「診てもらうなら今日しかないな」と思った。そこで月曜日に診てもらった時に、先生から「4~5日経ってもよくならなかったら、また来てください」と言われていたこともあり、その罹りつけのクリニックに予約した……つもりでいた。
そろそろかなと、改めて予約ページを確認した時に、予約されていないことに気がついた。これはもう今日は……ということは今年は、もう受診できないかもしれないと思った。
そこで初めてひらめいた。「オンライン診療をやってみよう」と。急いで「小児科 オンライン診療」などとネットで検索。いくつか表示された中から、「小児専門医在籍のオンライン診療サービス」という謳い文句の書かれた、「あんよ」というサービスを利用してみることにした。
結論を記すと、これまでの苦労はなんだったんだと思うくらいかなり便利だった。料金は、東京都が18歳までの医療費が無料なのもあり、診察から薬の処方、薬局で薬をもらうまでの全てが無料。決済などの必要がなくとても簡単だった。薬も、受診したその日に近所の薬局で受け取れた。
なお、今回使った「あんよ」が対応している地域は、東京都や愛知県、岐阜県、北海道など。医療費自己負担については、住んでいる地域によって制度が異なるため、詳細は公式サイトを確認してほしい。
また、医師によって一時的な自己負担が発生する場合があるようなので、これも公式サイトを確認してほしい。対応地域ではない場合でも、対応する同様のサービスは他にもあるだろう。今回の記事は、特に「あんよ」をすすめるわけではなく、オンライン診療サービスを初めて使った際のレビューを記していく。
予約から受診までのストレスが激減
使い方は、まず「あんよ」公式サイトから「タップしてLINE追加」ボタンをタップする。スマートフォンのLINEアプリが立ち上がったら、「あんよ」を友だちに追加。
診察の予約は、「先生から探す」か「症状から予約」するかを選べて、さらに診察時間から選ぶこともできる。それぞれの流れは異なるが、筆者は「症状から予約」の「鼻水、せき」を選んだ後に、画面に表示されたカレンダーの中から直近の時間帯を選択した。
画面が変わり、当該時間帯に診療受付している先生の顔写真と、予約できる時間帯がいくつか表示される。時間帯を選択したら、名前や保険証情報などを入力して予約は完了。
あんよのオンライン診療で必要なのは「保険証・子ども医療証(子ども医療費受給者証)」、「母子手帳」、それに保護者の「身分証明証(免許証など)」。これらをスマートフォンで撮影して、アップロードしていく。
この時に、これまでの子供の症状などを記して送っておく。筆者は子供が体調を崩すと、メモアプリにメモしているので、予約した日の1週間前からのメモをそのまま送った。また、数日前に罹りつけ医から処方された処方箋を、スマートフォンで撮って送った。
どう操作したのか忘れてしまったが、筆者は途中からパソコンのブラウザで入力していた。受診もパソコンで行なったが、スマートフォンのLINEアプリからでもできるはずだ(むしろ、それの方が一般的な使い方なのだろう)。
予約時間が近くなったら同サービスの画面を開いておく。時間になるとビデオ通話が始まり、受付スタッフが現れて、手続きの確認をする。ビデオ通話の要領は、Zoomで会議したりLINEなどでビデオ通話するのと同じ。この時に、子供の顔が保護者と一緒にしっかりと画面に映るように言われた。
そして、事前にアップロードした医療証や身分証明証(筆者の場合は免許証)を、保護者である筆者の顔と一緒に写したり、受付スタッフの方がよく見えるように一枚一枚、カメラに近づけたりした。
受付が終わると同時に、間髪入れずに小児科医の先生がビデオ画面に表示された。
「今はつらい?」などという息子への質問はあるが、「どうされました?」などの様子見のような会話はない。あらかじめ送っておいた症状の確認と、「どうしたいのか?」といった質問があり、こちらも端的に「まずは咳をとめたい」と要望を伝えた。
するとこの時の先生は「先日受診された際に処方されている薬を見た限りでは、咳にも効く、けっこう強い薬……どちらかと言うと大人っぽい薬が処方されていて、それ以上の薬はないんですね。これで咳が治まらないとなると、胸の音のチェックをしてみた方が良いかと思います。ただし、薬の方向性を変えてみようかなというのはあるんです。◎◎という薬を△△という薬に変えたら良いかなとは思っています。これはむしろ今まで飲んでいた薬よりも、強弱で言えば若干弱くなります。ただ、やはり◎◎という薬で治っていないというのは気になるので、対面診察をした方がいいということはお伝えしておきます。まぁでも明日(土曜)、罹りつけ医に行ければなんですけど……。今、流行っているなかで心配なのは、まずマイコプラズマ肺炎です。これに効くのが抗菌薬なのですが、これは対面での診察が必要なんです。なので、咳で眠れないという日が続くようなら、罹りつけでなくてよくて、咳が酷くなるようなら急患でもいいので、診てもらってください」といったような診察だった。
ほかに「鼻水をしずめる□□という薬はまだありますか?」と聞かれたので「まだ今日と明日分はあります」と答えると、「オンラインなので多くは処方できないんですけれど、そちらも出せる分は出しておきましょうか」といった流れだった。
医者とのビデオ通話にかかった時間は8分弱。なぜ2カ月前の診察の様子を、こうして詳細に書けるかと言えば、ビデオ通話は録画されて、今でも見直すことができるからだ。今回の息子の場合は、オンライン診療で薬を処方してもらった数日後には完全に咳が治まったので、見返すこともなかった。
だが、もしも症状が治まらなかったり悪化していたりしたら、動画を見返していたかもしれない。この点は、オンライン診療の……もしくは「あんよ」の良いところだと感じた。
診察後に、筆者は仕事に戻った。そして知らない間に診療明細書と処方箋がPDFで届いていた。薬は、近くの薬局で受け取る以外にも、郵送してもらうことも可能。筆者宅からは、自転車で2~5分で行ける範囲に、対応する薬局が3~4件あったので、一番近い薬局を指定した。
数十分後くらいに「指定された薬局に、処方箋で指定された薬が1点なかったので、違う薬局を指定し直してほしい」といったメールが届いた。改めて、息子が何度か使ったことのあるもう1つの薬局を指定。すぐに用意ができた旨の連絡が届いたので、取りに行った。薬局に着くと、すでに薬が用意されていて、15分後くらいには帰宅できた。
初めてのオンライン診療だったので、勝手が分からずにおろおろすることもあったが、終わってみれば親の負担はとても少なかった。
親の負担が激減する小児科のオンライン診療
今回受診して、今まで子供が風邪をひくたびに感じていた疲労感はなんだったんだ! というくらいに、気持ちの面でも時間の面でも負担が軽減できた。
ただし、オンラインで受診したから安心ということはない。しっかりと経過を観察し、症状が治らなければ他の医師の受診が必要になるだろう。それに、このあたりのことは「やっぱり診察は対面じゃないとダメでしょ」から「情報が漏れないか心配」などまで、とてもセンシティブな問題もある。
今回は一度かかりつけ医で受診した後の診療だったので感染症の疑いはなかったが、感染症の疑いがある場合は検査のために対面での診察は必要になるだろう。今回のように一度対面で受診しているといった場合や連休前で病院を受診できないといった場合のほか、普段もらっている薬をもらうだけ、という場合もオンライン診療はかなり便利なはずだ。
そのため、「初手でオンライン診療」というのは忌避感を抱かない人にだけ、おすすめするにとどめておく。でも本当にラク!