いつモノコト

デザインに惚れたが実用性も高し ホーローのやかん「アムケトル」

野田琺瑯 アムケトル

ここ最近の我が家ではハンドドリップでコーヒーを淹れることが以前より増え、ちゃんと沸騰したお湯を用意したい、というシーンが多くなりました。そこで、デザインに惚れ込んだホーロー製のやかんを入手してみたところ、なかなか実用性も高いアイテムだったので紹介してみたいと思います。価格はAmazon.co.jpにて5,280円でした。

ここ数年、湯沸かしに気楽に使える電気ケトルばかり使っていて、やかんの出番は激減、シンク下の奥に仕舞い込んだままになっていました。最近は温度調整ができる電気ケトルに買い替え、最初からすこし低めの温度で使いたい時にも重宝しています。

ひと昔前にはよくハンドドリップでコーヒーを淹れていましたが、最近また淹れるようになっています。こだわりのひとつとして、沸騰したお湯を小さなハンドドリップ専用の細口ケトルに移してから淹れるのですが、この注湯時の最適な温度は92℃とされています。ところが我が家では、電気ケトルで沸かしたお湯をドリップケトルに移すと90℃を下回ってしまうケースが多く(今は冬季ということもありますが)、ドリップケトルに移すまでに、可能な限り温度をロスしない熱湯を用意したいと思うようになりました。

それはつまり、やかんでお湯を沸かせ、ということなのですが……せっかくなので(?)新しいやかんを探してみたところ、野田琺瑯のホーロー製のやかん「アムケトル」を見つけました。

一般的に、ホーロー製のやかんはオシャレなデザインに振ったものが多く、ホーローケトル=レトロでおしゃれ、というイメージが定着しているのではないでしょうか。縦に細長いものなどをよく見かけますし、私も昔持っていたことがあるのですが、取っ手が溶接だったり側面にあったりすると本体の熱が伝わったり炎で熱されたりして素手で持てなくなるなど、ちょっと扱いづらいと感じることがありました。

野田琺瑯のアムケトルは、本体とフタがホーロー製のやかんです。2013年ごろから販売されているようです。容量は2リットルで、見た目の雰囲気よりたくさん入る印象です。

まずなんといっても、そのデザインに惚れました。上部の段々になった部分に少し懐かしい雰囲気を感じますが、レトロ路線とも違う、直線基調のスッキリとしたシルエットで、妙に安定感のあるデザインです。

ハンドルとフタのつかみは樹脂製で、熱くならず素手で持てます。直線とアールの組み合わせが本体のデザインとマッチしていますし、持った時に指の腹があたる部分は丸く膨らんだ形状で、指にフィットしやすくなっています。この樹脂パーツ部分は、プロダクトデザイナーの柴田文江氏によるデザインとのこと。

ハンドルとフタのつかみは樹脂製で、握りやすくなっています

ホーローの特徴は、デザインと実用性のどちらにも活かされています。ステンレス製やアルミ製のやかんは基本的に金属の質感そのままの製品がほとんどですが、ホーローは鉄などの金属の基材にガラス質の釉薬を焼き付けるので、さまざまな色にできます。私が買ったのはホワイトですが、アムケトルにはほかにもレッド、ブラック、ブルー、グリーンとラインナップされており、どれもキッチンやコンロまわりで抜群の存在感を放つカラーになっています。

ホーローの実用面での特徴は、表面がガラス質のため、金属臭などの臭い移りが発生せず、繊細な香りを楽しむ飲み物にも使いやすいということです。ガラス質であることから、茶渋などの汚れにも強いという特徴もあります。加えて、ホーローは熱伝導効率が高いのもポイントです。私が使っていた安価なステンレス製のやかんと比較すれば、かなり早くお湯を沸かせます。

やかんとしての基本的な部分もよくできていました。フタには内側にストッパーが設けられており、正しい位置にセットすれば、やかんを大きく傾けてもフタが落ちてくることはありません。注ぎ口の形も巧妙で、想像していた以上に、細く注ぐ、ゆっくり一定に注ぐ、といったコントロールがしやすいです。

フタのストッパー
注ぎ口は湯量のコントロールがしやすい絶妙な形です
内側のホーローは紺色の仕上げ。注ぎ口は縦長になっています
アムケトルは日本製です

これまで使っていた安価なステンレス製のやかんに劣る部分もわずかにあります。まず重量はこの製品で1kgあり、やかんとしては重めの部類です。もうひとつは、上記にもある表面がガラス質という点で、強い衝撃には耐えられません。これはホーロー製品すべてに共通することで、普段の利用で気にするレベルではありませんが、仕舞う際に落としてしまった、というようなケースでは「凹んだだけで済んだ」ではなく、破損してしまう可能性があります。

アムケトルは、存在感抜群のカラー、無臭・防汚、高熱伝導といったホーローの特徴をしっかりと活かしながら、飽きのこないデザインやフタのストッパー、コントロールしやすい注ぎ口など、やかんとしての実用性もしっかりと備えた製品でした。ホーロー製品の製造は人の作業も多いため安い製品ではありませんが、アムケトルを買ってからは電気ケトルの出番が激減するほど、気に入って使っています。キッチンまわりのアイテムにこだわりがある人にはオススメできるアイテムではないでしょうか。

太田 亮三