いつモノコト

身体がポカポカ、リクシルの“U字シャワーヘッド”を使ってみた

リクシル子会社のNITTO CERAが販売している、ユニークなU字型のシャワーヘッド「SHIN-ON」(しんおん)の実機に触れる機会がありました。非常に興味をそそられていたところ、リクシルから製品を提供して頂き、自宅に設置することができたので、簡単にレポートしてみたいと思います。製品の価格は32,780円、販路は公式オンラインストアのみです。

製品の概要は本誌のニュース記事で紹介しているので、そちらを参考にしていただき、本稿ではしばらく使ってみた使用感を中心にまとめます。

本当に身体がポカポカに

一番の関心は、製品の特徴として挙げられている「身体が温まる」という部分です。ここに魅力が集約されているわけですが、結論としては、事前に想像していた以上の効果を感じています。

製品紹介ページの写真では、特徴的な形状によって、背中から胸まで上半身にまんべんなくお湯が当たる様子が紹介されています。ただ、使う前は「じゃぁ下半身はどうなの? ちゃんと温まらないのでは?」と思っていました。

しかし実際に使って体感してみると、上半身に当たったお湯がサァーっと体の表面を伝って流れ落ち、結果として全身がお湯に包まれたような感覚になることが分かりました。シャワーが当たる場所も温まりますが、そこからの流水で全身が温められるという形です。

収納状態
使用時のポジション
水を出したところ。背中は“鈍感”なため、背中にあたる吐水は少し強めの勢いになっているとのこと
散水穴部は背中や胸など場所により吐水の種類が異なるなど細やかに設計されています

使う前は、下半身を温めるためにU字シャワーヘッドのポジションを移動させる必要があるのでは、と予想していたのですが、上記のように温かいお湯が足まで伝っていくため、少なくとも夏場の今はシャワーヘッドを2つのポジションで使う必要性は感じていません。

数分も使っていると、胸のあたりがポカポカとしてきて、心地よい感覚になります。さらに、シャワーを終え風呂場を出て落ち着くと、湯船で入浴した時のような“脱力感”に襲われます。リラックスできる椅子に座ってフルーツ牛乳でも飲もうものなら、気分はもう湯船で入浴した時と変わりません。

普段の使い方

使う時の流れを紹介してみます。洗髪や洗身はこれまで通りハンドシャワーで行ないます。U字シャワーヘッドは、ハンドシャワーのような向きの自由度はないので、石鹸の泡を洗い流すといったことはハンドシャワーで終えておきます。

一通り洗身を終えたら、設置した水流切替器の切り替えハンドルを回して、U字シャワーヘッド側からお湯が出るようにします。この時、ホースの中に冷たい水が残っているので、最初はU字シャワーヘッドを身体に当たらない向きにして出し、その後に最適なポジションにします。

水流切替器部分。グレーのホースが既存のハンドシャワー用です
自由回転型なので、筆者宅のユニットバスの配置では、表裏を逆にするとハンドシャワー用ホースの向きが自然になります。切り替えハンドルが裏を向きますが、操作は可能です

U字シャワーヘッドの高さは、アゴの高さぐらいが推奨位置です。シャワーヘッドの散水穴部には、二の腕やヒジのあたりに当たる穴もあります。腕にも温かいお湯が当たって指先まで流れ落ちていくようになっており、これも“全身がお湯に包まれる”感覚につながっていると思いました。

ただ、当然とはいえ、湯船につかって入浴した時の感覚を完全に再現できるわけではありません。基本的には立って使いますし、“足の裏”はちょっと工夫しないとお湯が当たりません。

また、水流切替器を設置する関係なのか、ハンドシャワー側でお湯を出す際の水圧が少しだけ下がります。筆者宅は元々強めだったのでちょうどよくなり、数日で慣れました。ハンドシャワーは高い水圧が好みという人は、水栓側で調整するか、水圧が高まるシャワーヘッドへの交換を検討する必要があるかもしれません。

夏でも使いたいポカポカ効果

夏場の今は、湯船につかって身体がしっかりとポカポカになるのが少しためらわれる季節です。一方で、一日中エアコンを効かせた部屋で過ごしたり、ついつい冷たい飲み物ばかり飲んだりしていると、身体が冷えていると感じることもしばしば。日中の過ごし方次第では、湯船は大げさだけど身体は温めたい、と感じることも少なくありません。

そんなとき、「SHIN-ON」を使った時のポカポカ効果は、ハンドシャワー以上、湯船未満と感じられ、夏の間はちょうどいい塩梅になっていると思いました。

湯船にお湯を張るときのように掃除や準備がいらないのも、とても気楽だと感じます。湯船にお湯を張ることに比べれば、使用する水量や給湯の費用は圧倒的に少なくてすむというメリットも大きいと感じます。

前述の“脱力感”が出てくるような身体の温まりは、あくまで個人的な感想の範囲ですが、入眠のしやすさにもつながっていると感じました。一般に、睡眠の質を高めるための方法のひとつとして、適度な運動に加えて、湯船につかる入浴も挙げられることが多いのですが、そうした睡眠関連の良い効果も期待できそうです。

「SHIN-ON」のU字シャワーヘッド
同梱品。筆者宅のユニットバスはTOTOの2020年製で、左下の水栓口変換アダプターは使いませんでした
取り付けの全体像。縦に伸びる「延長管」はオプション扱いですが、操作性を考えると付けたほうがよさそうです
ホルダーは強力な磁石で壁面に取り付けます
ホルダーを取り付けたところ
磁石なので取付箇所は自由。ただホースは1.5mと短めです。2mのホースが9月に発売予定とのこと

「SHIN-ON」は販路がひとつのみで3万円を超える価格と、ハードルは高めですが、本製品を取り付けてからは、ハンドシャワーだけですませていた時間が「ポカポカしてリラックスできる楽しい時間」に変わりました。身体が温まる効果もしっかりと感じられています。夏場でも手軽に身体をケアしたいという人にはおすすめではないでしょうか。

太田 亮三