いつモノコト

とにかく楽しい! スターバックスの「タンブラー割引」

スターバックスのタンブラー割引はいいぞ

国内最大手のコーヒーチェーンと言えば、スターバックスでしょう。なんと1,800店舗以上あるそうで、繁華街や郊外型モールに出かければ大抵お目にかかります。

そうした出店規模の追求の一方で、店舗体験の強化に努めているのもスターバックスの興味深いところです。つい先日、筆者はスタバ歴25年目にして初めて、タンブラー(カップ)の持ち込みに挑戦してみました。これが思いのほか楽しいというか実利があるというか……。とにもかくにも感動したので、その顛末をご紹介したいと思います。

「タンブラー部」で遊んでみたくてカップ持ち込みに挑戦

手持ちのカップを持参すると、買った飲み物を入れてくれて、しかも割引してくれる。

この「タンブラー割引(カップ割引)」の制度は、スターバックスが日本上陸した1997年当初から運用されているそうです。筆者も制度の存在自体は知っていたのですが、一度も利用したことはありませんでした。仕事場から歩ける範囲にスターバックスの店舗がある訳でもなく、またスターバックスに行くという確証もないのにカラの水筒を持ち歩くのは、どうも憚られる。それが本音でした。

そんな筆者がタンブラー持ち込みにチャレンジしたのは、スターバックスの公式サイトやアプリ内で展開されている「タンブラー部」というコンテンツがきっかけでした。

「タンブラー部」のウェブサイト

タンブラー部

これは「スターバックス リワード」という会員制プログラムに登録を済ませ、かつ独自電子マネー「スターバックス カード」による決済でタンブラー割引をうけると、回数に応じて画面内のクマが成長していくというもの。2023年5月31日スタートしたばかりです。

スターバックス リワードには、この他にも「マイストアパスポート」というデジタルスタンプラリー風コンテンツも用意されていて、これがまぁ楽しいのなんの。その派生版にあたるであろうタンブラー部でも遊んでみたい! そんな気持ちから、チャレンジした訳です。

ちなみに、タンブラー割引の金額は20円(消費税別)。もちろん嬉しいのですが、タンブラー持ち歩き派に転換するほどのモチベーションには、繋がっていませんでした(生意気で申し訳ない)。あくまでタンブラー部が、心変わりのきっかけです。

レシートに「カップ値引」の記載があります

ロゴ入りボトル(355ml)を購入。トールサイズの飲み物にピッタリ

タンブラー部に挑戦するにあたって、形から入るのも大事であろうと、スターバックスのロゴ入りカップを購入しました。「ステンレスミニボトルホワイト355ml」という製品で、お値段は4,200円。持ち歩きの都合上、蓋のないタンブラーでは困るので、水筒のように蓋をしてきっちり密閉できるボトルであることが必須でした。結果として、保温・保冷の効力もあります。

「ステンレスミニボトルホワイト355ml」。どんなカップでも持ち込み割引はうけられるそうですが、やっぱりロゴ入りのほうが色々都合がいいだろうと、買ってしまいました

ちなみに、スターバックスは店舗によって扱っているグッズが若干違います。もしお買いになる方は近場を何軒か回って、好みのカップにアタリをつけたほうがよいでしょう。

もちろん、手近にあるボトルやタンブラーをそのまま持ち込むのもOKとのこと。ただし、その場合は容量を確認してみてください。というのも、筆者がよく飲むドリップコーヒー(いわゆるフツーのコーヒー)のトールサイズは、容量が350mlだそうで、最低限でもそれだけ入るカップでないと困ってしまいます(=入りきらない)。

お店のスタッフの方も、カウンターでカップを受け取ると、底面の注意書きなどで内容量を確認してくれます。とはいえ、買い手側もボトル容量を把握したおいたほうがスムーズです。なお、その他サイズの具体的な容量は、ショートは240ml、グランデが470ml、ベンティが590mlです。

内容量によっては当然入りきらないので注意!
355mlのボトルにトールサイズのドリップコーヒーを入れてもらうと、こんな感じ。縁のかなりギリギリまで注がれています

    【スタバのサイズ別容量】
  • ショート:240ml
  • トール:350ml
  • グランデ:470ml
  • ベンティ:590ml

蓋を外してから、カウンターでカップを渡そう

注文できるメニューは、フラペチーノ含めた原則すべての飲み物。ただ筆者はドリップコーヒーばかり頼んでしまっております。2杯目のおかわりが「スターバックス リワード」登録者なら110円/108円になるOne More Coffee特典に魅力的過ぎるので……。そうそう、One More Coffeeでの注文にはカップ割引が効かないので、あしからず(つまり、店内飲食なら88円ではなく、110円)。

One More Coffeeって、皆さんどれくらい使ってますか? 筆者はヘビーに利用しております

実際の買い方ですが、カウンターに並ぶ前に蓋・内蓋の類はすべて外しておきましょう。中身がカラの容器だけをお店の方に渡して、「コレに入れてください」とお願いすれば、あとは割引処理などはお店の方がやってくれます。

ともあれ、カップを店員さんに預けても、会計進行中の数十秒~数分の間だけは、蓋をカウンターに置くなり手で持つなり、なんらかのコントロールをしなければなりません。それに、レジを離れて歩き出す前に素早く蓋を付けないといけなかったり、色々考えておくことはあります。このあたりはスーパーでマイバッグを初めて使ったときのような戸惑いがあるかも?

筆者が購入したボトルは、このようにねじ込み式の蓋と、差し込み式の内蓋が付いています。飲み物を入れてもらっている間は、自分で管理して、ボトルを受け取ったら素早く装着しましょう

実際に試して分かった、カップ持ち込み3つのメリット

実際にカップ持ち込みを試してみて、発見は色々ありましたが、個人的には3つのポイントに集約できると思います。具体的にご紹介しましょう。

1.飲み物を飲むだけだったら、ごみ箱へ足を運ばなくてもいい

まずカップ持ち込みによって、紙ごみ・プラスチックごみが削減され、省資源に繋がるのは大前提です。スターバックスも環境配慮企業として、その点を強くアピールしています。

ただ、いち消費者としますと、ごみ削減よりもまず先に、「ごみ箱へ足を運ぶ機会が減る」のが、体験として大きいよう思います。

例えばスターバックス店内でコーヒーを1杯飲むだけ、その他の食事類は買わないとします。着席してコーヒーを味わう。そして飲み終わったら、紙カップをごみ箱へ捨てにいくか、店内用マグカップを所定の位置へ戻すのが普通でした。

トールサイズの紙カップ(右側)との比較。この分のごみが減りますし、ごみ箱へ足を運ぶ回数が減るのも、ちょっとした優越感なんです

多くの場合、ごみ箱や食器下げ台は店内の分かりやすい位置にありますが、初めての店だと分かりづらかったり、店内が混雑していてごみ箱への導線が狭かったり、場合によってはごみ捨てで順番待ちが発生したりします。

筆者は「食事を食べずに1人でコーヒーだけ飲む」比率がかなり高いこともあり、結果的にごみ箱へ立ち寄る機会がグッと減りました。ほんの数歩か数十歩、歩く量が変わるだけではあります。しかし改札の通過が紙切符か交通系ICカードで体験が違うように、なにか根本的な差を感じてしまう。これがカップ持参で初めて味わった感覚であり、最大の収穫でした。

2.飲みきれなかった時に、“気軽に”持ち帰れる

スターバックスで飲み物を買って、店内で飲み始めてみたものの、意外と多くて飲みきれなかったり、あるいは、急な電話で店をすぐ出なければならなかった時、どうしますか? 紙カップではカバンに入れることもできず、もったいないけれど捨てる。その選択肢しか事実上ないはずです。このストレスが密閉式ボトルなら完全解消します。

こうした“途中持ち帰り”は、ドライブ中にスターバックスに立ち寄るようなシチュエーションであれば、難ない話です。しかし密閉ボトルさえあれば、駅のスターバックスだろうがオフィスビルのスターバックスのだろうか、飲みきる覚悟がなくても気軽に注文できてしまう。来店頻度が増えてお店側も嬉しい! ……まぁ、ここまでいくと、スターバックスの術中にハマっている気がしなくもありません(笑)

密閉ボトルならドライブ中でも電車移動時でも、望むタイミングで気軽に持ち帰れます

3.密閉ボトルなら数時間経っても冷たい or 温かい

これも意外な発見でした。保冷・保温対応の密閉ボトルなら、コーヒーを入れておけば数時間は冷たさ・温かさが持続します。つまり、ペットボトルに比べて、買ったときの温度が長続きするのです。言うまでもないことですが。

ペットボトル飲料は気軽にどこでも買えるメリットがありますが、しかし買ったときの温度は30分もすれば失われます。保冷・保温対応のボトルは風袋も重さもペットボトルと比べて不利ですが、温度保持という価値は圧倒的。それこそカップ持ち込みで買ったホットコーヒーを車に置いておき、数時間経ってもまだほんのり温かかいのです。実際コレを体験するのは、なんとも言えぬ喜びでした。

ペットボトル飲料も確かに便利ですが、やはり保温・保冷性能はボトルに勝てません

密閉ボトルなら、街歩きはもちろんドライブにもピッタリ! これからも使い続けます

冒頭でも触れましたが、カップ持ち込みを実際に試すまでは「スターバックスに行くまで、カラの容器を持ち歩くのがなんか無駄じゃん?」と思っていました。確かにそうなのですが、前述の3.のメリットは、ペットボトル単体では逆立ちしても実現しません。それこそ寒い日に出先でコーヒーを飲むと予想できるなら、カラのボトルを持ち歩いた方が、より長時間に渡って温かさを享受し続けられるでしょう。

「ボトル洗うの面倒でしょ?」 そうです。それは否定できません。ですが1.~3.のメリットが全て同時に受けられるので、総計すればボトル洗いの面倒さは軽く乗り越えられます。

「なんだかんだいって、お店の人も面倒くさがるんじゃない?」 これは明確に否定できます。さすがの接客品質と言いますか、これまで6~7店舗でカップ持参を試してみましたが、どこでもスムーズに対応してくれ、店の奥の店長に「これ、どうやるんですか?」と聞きにいくような場面には遭遇していません。

タンブラー部のコンテンツもなかなか愉快。クマの成長だけでなく、毎月1つずつ、スターバックスの店舗豆知識がアンロックされていくのもゲーム的でなかなか楽しいです。

「タンブラー部」を進めていくと、このようにクマのビジュアルがどんどん楽しくなってきます
カップ持ち込みをした月ごとにカードがアンロックしていく仕組みも。スターバックス豆知識コラムが読めます

環境意識がそこまで高くはない筆者が、カップ持ち込みするのには照れもありました。そこからちょっと勇気を出してチャレンジしてみますと、単純に快適だし、楽しいし、紙カップとはまた異なる利便がある。だからカップ持ち込みをするし、続けられる。環境問題だけではない──こんな心境に今は変わりました。

筆者はいまや、最寄りのショッピングモールへ車で出かける時はほぼ100%の確率でボトルを持参するようになりました。電車での外出時は、その率がやや落ちて6~7割ほど。でも、駅のベンチで温かい or 冷たいコーヒーをほんの一口だけ飲めるのって、結構イイ体験ですよ。ホームの自販機で紙カップのコーヒーを買うのとは全く意味が違います。

もちろん、全ての人にカップ持ち込みが最適ではないでしょう。特にモバイルオーダーを使いまくっている方との相性は、悪いと言わざるを得ません。どうにか上手いかたちで、モバイルオーダーとカップ割引の同時適用が実現して欲しいですが、短期的には難しいでしょう。

ですが、少しでも興味がある方は、筆者のような使い方はもちろん、自家用車にカップを置きっぱなしにしておくのも、意外にアリではないでしょうか。洗ったカップを車に置いておくだけなら荷物になりません。立ち寄った施設にスターバックスがあるときだけカップを持ち出し、帰り道に飲むコーヒーを買うところからはじめてみては?

持ち歩くカップとしては、密閉型の保温・保冷対応ボトルが絶対にオススメです。ただしコーヒーを一度入れてしまうと、どうしても香りが移ります。水・お茶類のボトルとは分けた、コーヒー専用のボトルがあるといいでしょう。

この先、色々な情勢変化もあるでしょうが、カップ持ち込みを今後も続けようと決心する筆者でした。

皆さん是非一度、カップ持ち込み試してみてくださいね
森田秀一

1976年埼玉県生まれ。学生時代から趣味でパソコンに親しむ。大学卒業後の1999年に文具メーカーへ就職。営業職を経験した後、インプレスのウェブニュースサイトで記者職に従事した。2003年ごろからフリーランスライターとしての活動を本格化。おもな取材分野は携帯電話、動画配信、デジタルマーケティング。「INTERNET Watch」「ケータイ Watch」「AV Watch」「Web担当者Forum」などで取材レポートを執筆する。近著は「動画配信ビジネス調査報告書 2021」(インプレス総合研究所)、「BtoB-EC市場の現状と販売チャネルEC化の手引2020」(共著、インプレス総合研究所)。