いつモノコト

手数料不要で送金できる「ことら」が便利だった

先日、友人と合同でイベントを開催したときのこと。イベント会場として借りたお店への支払いやイベントのために制作したグッズなどの費用は友人と割り勘することになったのですが、1人あたりの支払い額が数万円台と結構な金額になってしまいました。

普段、友人とのお金のやり取りはPayPayのようなコード決済を使うことが多いのですが、数万円単位の金額を数人分ともなると、使いどころが限られるコード決済よりは現金で受け取りたいというのが正直なところ。一方で銀行振り込みは小さい金額ながら手数料も発生するのでどうしたものか……、という時に友人から提案を受けたのが「ことら」を使った送金でした。

手数料無料でメールアドレスや電話番号で送金できる

ことらは、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行といった大手銀行が推進する送金サービス。送金に必要な手数料が無料というメリットに加えて、ユーザー同士ならメールアドレスや携帯電話の番号だけで送金できるという手軽さも魅力です。

昨年9月の開始当初は、対応銀行が少なかったようですが、最近は100以上の金融機関のアプリなどでことらが利用可能です。多くの銀行が対応している「ことら」ですが、銀行によって利用方法は異なります。筆者が持っている口座でもっとも簡単だったのが三井住友銀行で、すでに三井住友銀行のアプリが設定済みであれば、アプリからことらの設定が行えます。

三井住友銀行はアプリからすぐにことらが利用できる

一方、三菱UFJ銀行は別途「Bank Pay」というアプリが必要なのですが、このアプリは運転免許証などを使った本人確認が求められるなど、それなりに手間がかかります。

三菱UFJ銀行は別途「Bank Pay」アプリの設定が必要

また、ことらでは複数の銀行口座を設定でき、送金については複数の口座から行えますが、受け取りに設定できるのは1つのみ。筆者は今回三菱UFJ銀行で設定してから三井住友銀行を設定したのですが、受取口座が自動的に三井住友銀行に切り替えられていました。また、受け取りのために登録するメールアドレスや電話番号も1つのみです。

送金は相手の電話番号またはメールアドレスのほか、従来通り銀行口座を指定することもできますが、電話番号とメールアドレスのほうが圧倒的に手軽です。送金したい相手のことら登録が終わっていれば、電話番号やメールアドレスを入力すると口座名義の一部が表示され、あとは該当の金額を送るだけ。支店名や口座種別を細かく設定する銀行振り込みよりも簡単かつ短時間に送金できました。

送金方法は銀行口座、電話番号、メールアドレスの3種類
電話番号を指定したら金額と任意のメッセージを入力
送金完了

PayPayとは違う銀行送金ならではの使いやすさ

筆者は知人とのお金のやりとりは、PayPayなどのコード決済を使っていますが、これはお金を受け取る手間がかからないからというのが一番の理由です。また特にPayPayであれば、多くの人が使っているので、お互いが楽ということもあります。

飲み会の立て替え程度の金額であれば、コンビニや普段の買い物で使えるのでコード決済もさほど気になりません。ただ、数万円など大きい金額になるとコード決済で集めることには若干のためらいがあります。

その点、「ことら」はお互いが事前に設定している必要はありますが、スマホアプリから簡単に送金でき、手数料もかかりません。電話番号やメールアドレスで送金できるため、QRコードやIDを知っている必要があるコード決済に比べて、「対面していない時」の送金も便利です。

設定についても三井住友銀行のように、銀行アプリから簡単に送金できる場合はそこまで手間もありません。三菱UFJ銀行はBank Payで再度本人確認が必要なために手間がかかりますが、今後アプリに統合してくれれば、もっと便利に使えそうです。

「立て替えや割り勘はコード決済」が最近は普及してきましたが、各銀行アプリの対応が進んでくれば、今後は「ことら」を使った送金がもっとメジャーになりそうな期待を感じました。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。個人ブログは「カイ士伝