いつモノコト

炭酸水はじめました。「ソーダストリーム TERRA」

ソーダストリーム TERRA。左は別売りの専用ボトル0.5Lサイズ

その日、私の上司はため息交じりにこう言いました。「わかってない。ダブチを食らい、ポテトをつまみ、コーラで“ゆすぐ”。コレだよ」と。てりやきバーガーセットを頼み、セットにホットコーヒーを選んだ私の組み合わせに、よほど我慢がならなかったのでしょう。しかし、過激な保守派の意見として聞き流すには惜しい、興味深いキーワードが含まれていたのも事実です。そう、「コーラで“ゆすぐ”」とは? 私も後にダブチコーラを履修し辿りついた結論ですが、このことの本質はつまり、油っぽくなった口内を炭酸でリフレッシュさせる、ということのようでした。

この夏に買った「ソーダーストリーム TERRA」は、家庭で簡単に炭酸水が作れる炭酸水メーカーです。すでにシリーズは有名ですが、TERRAは、2022年の2月から販売が開始されたもので、簡単に装着できる形状にした新型のガスシリンダーを採用しているほか、本体は電源不要でボタン操作のみで動作する、最もシンプルなモデルです。本体とガスシリンダー1本が付いたスターターキットは、ヨドバシ.comで15,400円でした。

電源不要、操作はボタンを押すだけです

買おうと思ったきっかけは、お風呂の後に希釈タイプのカルピスを飲むことが多く、炭酸水でカルピスソーダにして飲むということが増えていたからです。飲みたいと思う回数に比べて炭酸水のペットボトルを買う手間が煩わしく、ゴミが増えるのも気になっていたので、炭酸水メーカーで手軽に作ろうと考えました。

ソーダーストリームを導入してからは、当然ながら炭酸水のペットボトルを買うことはなくなりましたし、ちょっとしたドリンクを飲みたいと思っても、ソーダーストリームの炭酸水にシロップなどを入れて作ってしまおうと考えるようになり、コンビニやスーパーでペットボトルの炭酸ドリンクを買うこと自体が激減しました。

炭酸水メーカーの人気が出ていることで、炭酸水用のシロップは今、さまざまな種類が販売されています。ソーダーストリーム自体もラインナップしていますし、“クラフトコーラ”のシロップだけでも、代表的な伊良(いよし)コーラだけでなくいろいろなブランドが登場しています。先日訪れた東急ハンズではシロップコーナーも展開されていました。またシロップだけでなく、お酒に入れる用として売っているグレープフルーツやレモンといった濃縮果汁でもOKです。これらは甘さが控えめで、市販のソフトドリンクとはひと味違う、大人な炭酸ドリンクを作れます。

私は普段お酒を飲まないので、ハイボールを作るといった用途はなく、消費量は大したことはないと予想していたのですが、実際には想像していた以上に炭酸水を作って飲むようになりました。まず、朝の起きぬけや食事のお供には、冷水で作っただけの炭酸水を飲みます。冒頭のエピソードにもあるように、肉料理や脂っこい料理にも、炭酸水の口内リフレッシュ効果は相性抜群と感じられ、欠かせない存在になりました。お菓子のお供や、日中に一息入れる際には、コーラやジンジャーエールのシロップで炭酸ドリンクを作ります。

いずれも、炭酸水のペットボトルの買い置きや、ゴミが出ることを気にすることなく、好きなタイミングで好きな量を作れるというのが便利なポイントです。炭酸の強さも、強炭酸から微炭酸まで、気分に合わせて自由に作れるのもいいですね。

専用ボトルの取付口
斜めになっている取付口に専用ボトルを差し込みます
本体側に傾けて垂直にするとボトルがロックされます
ボタンを押すと炭酸ガスが注入。水位がぐんぐん上がってくるので、1秒ずつといったように細かくボタンを押して、合計の注入時間で炭酸の強さをコントロールします。トータルでも10秒とかかりません
微炭酸、強炭酸も好みに応じて作れます
ソーダストリームが販売しているシロップ
クラフトコーラを作ったところ
本格的にオーガニックな内容です

専用ボトルは複数を活用、ガスシリンダーは圧倒的コスト安

作った後の炭酸水は、ソーダストリームの専用ボトルに入れていても、やはり時間が経つと炭酸が抜けてしまいます。飲みたい量だけを、飲む直前に作る、というのがベストだと思います。“追い炭酸”もできますが、残っている炭酸の量や水の量が都度異なるため、仕上がりとしての炭酸の強弱をコントロールしづらく、追い炭酸で口が痛くなるほどの強炭酸水を作ってしまったこともありました。

私は一人暮らしなので、一度に作る量はそれほど多くはありません。本体に付属の1Lサイズの専用ボトルではなく、2本セットで売っている0.5Lボトル(ソーダストリーム専用、適量は450ml)を愛用しています。水道水を入れて冷やしておき、1本ずつ使うというスタイルです。ボトルが空になったらまた水を入れて冷やしておきます。

0.5Lサイズのボトルを追加で買いました。ブラシはいらなかったかも……

ガスシリンダーは60Lサイズが標準で、単純計算で500mlサイズのペットボトル120本分を作れます。1日1リットル前後を作っても2カ月は持つ形です。いつも強炭酸にして作っていると、作れる量は半分か2/3ぐらいになるイメージでしょうか。

ランニングコストについては、炭酸ガスの500mlあたりのコストは約18円と紹介されています。市販の500mlのペットボトルの場合、箱売りなどのまとめ買いでも1本あたり60円前後になるので、ランニングコストは圧倒的です。

製品のどの部分にもあまり不満はありませんが、唯一言及するとすれば、専用ボトルのキャップのデザインです。表面がツルッとしたデザインのため、キャップや手が少しでも濡れていると、とたんに滑って開けづらくなります。ここにはギザギザのディテールを加えて欲しいと思いました。

ガスシリンダーは廃棄不可、交換が前提

ソーダーストリームは炭酸水を作る・飲むということをとても自由にしてくれますが、高圧ガスシリンダーを用いるという独自の仕組み故に、あまり自由にならない部分もあります。それほど深刻な話ではないですが、ガスシリンダーの取り扱いについては交換が前提で、一般家庭には馴染みのないスキームだと思います。

そのガスシリンダーの取り扱いですが、一般的なカセットコンロのガスボンベなどとは次元が違います。高圧ガスを封入した頑丈な金属製の容器で、これにはソーダーストリーム側に回収義務が課せられており、ユーザーは勝手に廃棄できません(廃棄すると高圧ガス保安法違反になります)。シリンダーはソーダーストリームからの貸与品という扱いで、ユーザーは中身のガス(二酸化炭素)を購入している、という形です。ガスが無くなった場合は、交換という形をとり、使用済みのガスシリンダーを返却すれば、新しいガスシリンダーを入手できます。

ソーダストリームで一般的な60Lサイズのガスシリンダーの場合、新規購入は1本3,780円、交換は2,160円です。普段のランニングコストは2,160円ということになります。ソーダストリームの使用をやめるなどしてガスシリンダーが不要になった場合は返却する必要がありますが、シリンダーの状態に問題がなければ300円が返金されます。

ここ最近、ソーダーストリームを取り扱っているお店は拡大しています。筆者宅から歩いていけるホームセンターでも取り扱われるようになっており、ガスシリンダーは、修理などを受け付けるサービスカウンターで販売しています。交換の場合は、使用済みガスシリンダーをこのサービスカウンターに持ち込む形になります。

なぜサービスカウンターかというと、前述のガスシリンダーの取り扱いに関連するものだと思いますが、店頭で入手する場合は、購入者の氏名、住所、電話番号を、ソーダーストリーム側が用意している台帳に記入する必要があるからです。これはガスシリンダーのシリアル番号と紐づける形になっているので、新規購入時だけでなく交換の際も毎回記入します。ひと手間かかりますが、毎週買うようなものではないのと、d払いなど店頭の決済方法がそのまま使えるので、今のところは店頭での交換・購入で済ませています。

ソーダーストリームの公式サイトでは、通信販売の形で複数本をお得にまとめ買いできるプランも用意されています。交換用のガスシリンダーも対応しており、手配するタイミングは好きに選べるようなので、家族でたくさん利用するという場合は検討してもよさそうです。交換は、配達時の箱を再利用して配達業者にその場で渡す形です。

炭酸水の利用が安定してきて、毎日欠かさずに作るようになったなら、ガスシリンダーは2本体制での運用がおすすめです。本体のスターターキットにはガスシリンダー1本が含まれていますので、私は追加でもう1本を購入しました。予備の1本が自宅にあれば、ガスが減ってきて作りづらいと感じはじめてから、好きなタイミングで取り替えられますし、使用済みのガスシリンダーを店頭に持ち込むタイミングも自由に調整できます。

ソーダストリーム TERRAは新型のクイックコネクト・ガスシリンダーを使います。ピンク色のラベルが目印です
ねじ込み式ではないので先端はすっきりしています。キャップは忘れずに外しましょう
指定の場所にセット
レバーを下げるとガスシリンダーが持ち上がり、装着完了。軽い力で簡単にセットできます

ガスシリンダーの重さで残量が分かる

ソーダストリーム TERRAは、電源不要で、ガス圧とボタン操作だけで動作するシンプルなモデルなので、慣れていない最初の頃は、ガスの残り具合の想像ができず、ガスシリンダーの交換時期が分かりづらいです。ガスが少なくなってくると、ノズルから空気は出るものの、勢いは弱くなり、炭酸水を作るのにいつもより時間がかかるようになります。

そこでガスの残量の判断材料になりそうなのは、ガスシリンダーの重量です。未開封の状態のクイックコネクト・ガスシリンダーは、実測で1,163gでした。内容量としてCO2が410gとラベルに記載されているので、CO2がなくなると753gになると考えられます。実際に、ほぼ使い切ったと思われるガスシリンダーの重さを測ってみると、745gで、近い値になりました。ガスシリンダーの重さを測ってみて、760gぐらいなら、炭酸水を作るのに普段の倍かそれ以上の時間がかかるようになっているはずです。750g前後になったら、交換してもいいタイミングといえそうです。

ソーダストリーム TERRAから採用されたクイックコネクト・ガスシリンダーは、従来のようなねじ込み式ではなく、指定の場所にセットしてレバーを下げるだけで簡単に装着できます。ボタンを押している最中とかの動作中でない限り、ガスシリンダーはいつでも取り外したり戻したりできます。レバー操作でサッと外して、重さをチェックして、すぐに戻すといったことが簡単にできます。

未開封の新品のクイックコネクト・ガスシリンダー。1,163gでした
ほとんど使い切ったガスシリンダーは745gでした

毎日作ってます

家でお酒を飲まないので、炭酸水メーカーで炭酸水を作るのは大げさかな? という考えもありましたが、実際に使い始めてみると、作ることも飲むことも、普段の生活の一部になってしまいました。ただの飲料水としても飲んでいますし、食事の際には炭酸水でないと物足りないと感じるほどになりました。いろんなシロップをそろえて、好みの味、好みの甘さ、好みの炭酸の強さで、必要なだけ作れる、というのも気に入っています。ガスシリンダーの交換はひと手間かかりますが、それを差し引いても、大きなメリットを感じられています。夏と冬では消費量が違いそうですが、ひとまずこの夏、大活躍しそうです。

太田 亮三