いつモノコト

自宅が映画館。サウンドバー「JBL Bar 5.0 MultiBeam」買ってよかった

コロナ禍の影響で自宅にこもる時間が増えたこともあり、自宅で過ごす時間の価値を高めよう、という思い立ち、JBLのサウンドバー「Bar 5.0 MultiBeam」を購入しました。価格は39,800円でした。

4Kテレビの高画質化で高音質化の意欲が高まる

サウンドバーを購入しようと思い立ったのは、何度もの抽選でやっと手に入れたPS5と、そのために新たに購入したLGの4Kテレビ「55NANO91JNA」がきっかけでした。

これまで使っていたフルHDのテレビに比べ、圧倒的に解像度が上がったのはいいのですが、結果として地上デジタル放送の画質が荒く見えるようになってしまったのです。我が家では容量優先で録画を「3倍モード」にしていたこともあり、せっかく4Kテレビを買ったのにテレビ番組を見ていると「画質がそこまでよくないな……」と思うようになってしまいました。

4Kの画質をもっと堪能したいという思いから、4Kテレビを購入してからはNetflixやHuluといったネット配信サービスを視聴することが増えました。地デジ放送に比べ、4K配信されている作品はさすがの美しさで、「これなら映画館行かなくても家で十分だな」という気持ちすら芽生えるほどでした。

一方、画質が良くなったことで気になり始めたのがテレビのスピーカー。もともとあまり音は気にしない派なのですが、せっかく映画館顔負けの高画質で映画を見られるのだから、もっといい音で映画を楽しめるといいな、という欲望がむくむくと顔を持ち上げ始めたのです。

ちょうどその頃、知人の家でサウンドバーを体験したことも後押しして、「せっかくテレビの画質が上がったのだから音質も良くしたい……」と、サウンドバーの購入を決意しました。

Dolby AtmosとWi-Fi対応で決断

サウンドバーの購入に際しては、弊誌の企画「買い物相談」の協力を得ながら、いくつかの要素に絞り込みました。

上記の記事にもある通り、我が家のテレビはHDMI 4ポートがすでに全部埋まっているため、サウンドバーのためにHDMIポートを使うのは難しい状況でした。そのため、サウンドバーを追加してもHDMIのポートを減らさずに済み、かつ最新の音声フォーマットにも対応できるい「eARC」対応が必須でした。

また、元々テレビをPS5のために買ったこともあり、PS5のスペックを最大限引き出せることも視野に入れていたのですが、いろいろと調べた結果これはかなり難しいことがわかりました。

理由はPS5の「120Hz」という仕様。前述のeARCと120Hzに対応しているサウンドバーは非常に少なく、しかも気軽に買えない値段の製品ばかりです。

ただし、よくよく調べてみるとPS5で120Hzに対応したゲームはまだまだ少ないことに加えて、120Hz対応のゲームはFPSなど筆者が余りプレイしないジャンルが中心、ということもわかりました。画質の高さで定評のあるFFVIIリメイクですら120Hzには対応していないため、おそらく筆者が120Hzを必要とすることはそうそう無いだろう、あったとしたらサウンドバーを使わずテレビから音を出せばいい……、と割り切ることにしました。

音質についてこだわりはないものの、Dolby AtmosやDTS:Xといった最新のフォーマットに対応しているとよさそう、ということでこれも条件に。金額としては、4、5万くらいまでは仕方ない、という予算を立てました。

ここまでの条件で筆者が絞り込んだのが、筆者が購入した「Bar 5.0 MultiBeam」と、ソニーの「HT-X8500」でした。

どちらも上記の条件は満たしていたのですが、細かな違いとしては、ソニーはDolby AtmosとDTS:Xに両対応した上で、独自のバーチャルサラウンド技術「Vertical Surround Engine」を搭載。「Bar 5.0 MultiBeam」はDolby Atmosのみ対応ですが、Wi-Fiを搭載しており、ChromecastやAirPlayにも対応しています。

どちらも非常に悩んだのですが、購入したテレビがDolby Atmosに対応していたことに加えて、我が家はスマートスピーカーを活用しているので、スマートスピーカー経由で音楽を聴いたり、スマートフォンからキャストして音楽を聴くのが便利そう、ということで「Bar 5.0 MultiBeam」を購入することにしました。

想像以上の効果。自宅がまるで映画館に

実際に導入してみての感想は期待以上。音にこだわらない派だと自分では思っていたのですが、サウンドバーで聴く音は本当に自宅が映画館になったと感じるほどでした。

家を映画館にするという意味では、本当に大事だったのは画面よりも音だったのかもしれない、と思ったほどです。

テレビの前に設置したところ

音質を確かめるために、Netflixで配信されている「ROMA」という作品を視聴してみました。この作品はフランスの日常を撮影したもので、爆音ではなく日常の小さな生活音が丁寧に収録されています。この音をサウンドバー経由で聞くと、まるで自宅のリビングがフランスにつながっているかのような感覚を覚えるほど、現実そのままのような体験ができました。

本体上部にボタン

映画以外でも音質の向上ははっきりわかります。バラエティ番組でもMCの声がいままでよりはっきりと伝わるようになり、テレビ番組も臨場感を持って楽しめるようになりました。

購入時にこだわっていたDolby AtmosやDTS:Xへの対応は、ネット動画を見るぶんにはほとんど気にする必要がありませんでした。というのも、動画配信サービスでDolby AtmosやDTS:Xに対応したコンテンツはさほど多くなく……。

また、普段あまりBD/DVDを買わないので知らなかったのですが、BD/DVDは基本的にDolby AtmosやDTS:Xのどちらかにしか対応していないようです。珍しくディスクを購入した「TENET」のBDはDTS:Xには対応しているものの、DolbyはDolby Digital 5.1で、Dolby Atmosには対応していませんでした。

とはいえ素人の耳ではDolby Digital 5.1でも十分に高い音質で、その後購入した「エヴァンゲリオン Q 3.333」は、どちらでもなくリニアPCM収録でした。もう素人の耳で判断できるレベルではなかろう、と割り切ることにしました。

PS5との組み合わせは割り切りが必要。Wi-Fi対応も想像ほど利用せず

一方、何度も登場するPS5の利用については接続で工夫が必要でした。というのも接続の構成によっては音声の遅延が発生してしまうためです。

具体的には、PS5とテレビをHDMIで接続し、テレビの音をサウンドバーに出すようにすると音の遅延が発生してしまい、実際にプレイしていても若干もたつきを感じます。PS5とサウンドバーを接続し、前述のeARCを利用して映像をテレビに出力すると音の遅延は抑えられますが、サウンドバー側が60Hzまでの対応なので、120Hzはそもそも利用できないことになります。

ただし、前述の通り筆者は120Hz対応のゲームをそもそもプレイしないことと、実際に接続構成を比べてみると、テレビ経由で音を出力したときはゲームプレイに影響が出るほどの遅延が発生したので、ゲーム体験を優先した構成を選択することにしました。

Bar 5.0 MultiBeamの特徴であるWi-Fi対応も、買ってみるとほとんど使うことはありませんでした。テレビや映画を見るには非常にいい音に聞こえるのですが、Spotifyの音楽を流したところ、テレビの音ほどの違いは感じられず、普段使っているスマートスピーカーでも十分に思えてしまったからです。

音質面ではいろいろと想定外のことも多かった「Bar 5.0 MultiBeam」ですが、購入してみて便利に感じたのは前面のディスプレイ。ここには電源オンオフ時の起動メッセージや現在の音量、どの音声モードなのかが表示されるため、サウンドバーの状態を一目で確認できます。

本体前面で音量や現在のモードが確認できる

我が家はデジタル機器が多数接続されているため、何かトラブルが起きたときに原因を特定するのも一苦労なのですが、「Bar 5.0 MultiBeam」はステータスがすぐに確認できるため、音がうまく出ていないときの問題特定把握がとても楽になりました。

サウンドバー導入で動画の視聴環境が大幅に向上

音響関連の知識があまりなかったこともあり、購入までいろいろと悩んだサウンドバー選び。いま振り返れば細かいところまでこだわらなくてもよかったのかな、とも思いますが、導入したことで動画を見る体験は大幅に向上、テレビでネット動画をたくさん見るようになりました。

また、サウンドバーを購入した直後にBE:FIRSTをきっかけとして音楽熱が高まり、普段ほとんど買うことがなかった音楽関連のBlu-rayなどを購入するようになったこともあって、テレビの音質を高めたのは非常にいい結果でした。

FIRST" One Man Show -We All Gifted.-(Blu-ray)

テレビの高画質化以上に映画館のような体験を高めてくれたサウンドバー。サウンドバーはスマートフォンやテレビのような頻繁なモデルチェンジも起きにくいこともあり最新モデルを待たずに現行の製品を買っても満足度は高いのではないでしょうか。家でネット動画をたくさん見るという人はサウンドバーの導入を是非ご検討ください。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。個人ブログは「カイ士伝