いつモノコト

VRゴーグル「Oculus Quest 2」をゲット。“無料”だけでも堪能できる

Oculus Quest 2

VRゴーグルの「Oculus」を購入しました。最新モデル「Oculus Quest 2」の価格据え置き(37,180円)、容量増加(128GB)の戦略にまんまと乗せられたわけです。ただ、IT機器としてVRゴーグルは気になる存在。以前は10万円超が当たり前でしたので、性能が向上して4万円弱は破格です。

VRゴーグルって何に使うの? パソコンがないと使えないの? と思った方、購入前は筆者もそんな感じでした。今回はOculus Quest 2を3カ月使って、わかったことをお伝えしたいと思います。

そもそも「Oculus Quest」って何?

「Oculus」は、米Facebook Technologies(フェイスブック・テクノロジーズ)が開発するVR関連製品のブランド名です。「オキュラス」と読みます。Oculus = VRゴーグルと考えてもらってもいいと思います。

Oculusシリーズの初代「Rift」が2016年に登場、その後「Go」「Rift S」「Quest」「Quest 2」と続いています。「Rift」が発売された2016年は“VR元年”とも呼ばれ、ゲーム業界のほか、学術用途としてもVRゴーグルが注目されていました。

2021年10月、Facebook Technologiesの親会社である米Facebookは、社名を「Meta」に改名。Oculusの公式サイトのロゴも「Meta Quest」に変更されています。

Oculusの公式サイトの左上のロゴは「Meta Quest」に変更された

改名後、Metaは「メタバース」へ年1兆円投資することを発表しました。同社では「同じ物理的空間にいない人々がともに創造し、探求することのできる仮想空間」がメタバースと定義し、「オンラインで過ごす時間をより有意義なものにすることを重視する」としています。公式情報ではありませんが、Oculus(日訳:目、眼球)は、仮想空間を見る「目」ということでしょう。

基本セットはVRゴーグル本体と左右のコントローラーです。本体は付属のUSB-Cケーブルを使う充電式、コントローラーには単三電池を1本ずつ使用します。前モデルより小型化されているものの、本体の重量はそれなり。バッテリー駆動は2時間程度で少ないという声もありますが、正直2時間も装着していたら首が疲れます。

本体の重量は、約544g。それなりに重い

ひと言で「VRゴーグル」といっても、いくつか種類があります。パソコンで動作するアプリを表示するタイプ(PCVR)、ゲーム専用機に接続するタイプ、スマートフォンをセットしてVRコンテンツを再生するタイプ、そしてゴーグル単体でVRコンテンツを楽しめるタイプです。

“ゴーグル単体”でも楽しめて、“PCVRゴーグル”としても使えるのが「Oculus Quest 2」の特徴です。ただし、Facebookアカウントは必須。持っていなければ無償で作成可能です。

Oculus Quest 2を単体で使う

まずは単体で使ってみます。初回起動時は、Facebookアカウント、Wi-Fi、安全な範囲(ガーディアン)の設定が必要。以降は電源ONですぐに「仮想空間」に入れます。

最初に表示されるのが「ホーム」です。ここが「仮想空間」の自分の部屋になります。奥行きがあり、見回せば視点も変わり、歩き回ることも可能。設定で模様替えもできます。

仮想空間の自分の部屋となる「ホーム」。好みで変更可能
見回して視点を変えられる
歩き回ることも可能

「ストア」からアプリを入手しないと始まりません。とりあえず目に付いた無料のアプリを入手しました。手軽に“VR体験”するなら、YouTube VRがおすすめです。最近では「360°動画」のコンテンツも増えてきており、空中撮影されたVR映像は本当に空を飛んでいる気分で若干酔います。

アプリは「ストア」から入手する
ダウンロードしたアプリは「アプリ」から起動する
YouTube VRで360°動画を再生した様子

なお、AmazonプライムビデオやNetflixなどのアプリなら、部屋が狭くても大画面で映画を楽しめるのが○。寝転がって鑑賞すれば首も痛くなりません。また、有料のタイトルの多くにデモ版が用意されており、課金しなくてもVRを堪能できます。

定番のジェットコースターゲーム「Epic roller coasters」。座っているだけなのに乗り物酔いする不思議
フィットネスアプリ「FitXR」。無料のステージだけでも十分に疲れる

PCVRゴーグルとして使う

Oculus Quest 2を「PCVRゴーグル」として使うには、パソコンのスペックがある程度求められます。詳しくは、サポートページを参照してください。有線ケーブルが必須のように読めますが、無線接続の「Air Link」で不具合はないと思います。パソコンとOculusが同一のネットワークにあれば利用可能です。

同一ネットワーク上のパソコンを選択して「Air Link」を起動することで、Oculusを「PCVRゴーグル」として利用できるようになる

パソコンと接続した際の「ホーム」も用意されており、別荘地のような雰囲気です。本稿執筆時点で部屋自体は変更できませんが、家具の配置はカスタマイズ可能です。

接続中のパソコンの「デスクトップ」を表示することもできます。物理的なスペースから解放されて、複数のウィンドウを並べて操作するのはサイバーパンクな印象です。しかし、VRゴーグルを装着して従来のパソコン仕事をするのは厳しいと思います。Oculus本体の重量もあり、肉体的に疲れます。

PCVRで接続した場合の「ホーム」画面
複数のウィンドウを表示して操作するのは便利そうに思えるが……

Oculus Quest 2をPCVRゴーグルとして利用するなら、一度は試して欲しいのが、Google Earth VRです。ただのストリートビューと侮ってはいけません。頭の動きに伴って視点が変わるのは、これぞVRという体験です。見知らぬ土地を散策していると“VR旅行”も遠くない未来と感じさせます。

「Google Earth VR」で上空から街に降り立つ新体験を試して欲しい
自由に歩き回れる

また、Oculus Quest 2をPCVRゴーグルとして使う場合、Oculusのアプリとして提供されていないサービスやゲームなども楽しめます。VRコンテンツの開発者がアプリを公開するSideQuestやパソコンソフト・ゲームの大手販売のSteamなどから入手したコンテンツをOculusで利用可能です。

「ストア」で配信されない非公式アプリが試せる「SideQuest」
パソコンソフト・ゲームの大手販売の「Steam」
無料のゾンビゲーム「Propagation VR」の没入感がすごい。怖くてプレイできない人もいると思う。提供元のYouTubeチャンネル

ビジネスツールとして使える?

Facebookアカウントとの紐付けにより、Facebook上の友人とのチャットや通話も簡単。Oculus上での“友だち”も同様です。しかし、わざわざOculus Quest 2を装着してチャットや通話をする必要はないですよね。

今後、Metaが推していくのは「Horizon Workrooms」でしょう。Oculus単体で利用可能、仮想の会議室に集まった複数人でミーティングできるのです。

使い方は、SlackやTeamsなどのグループウェアと同じく、主催者の用意する“ルーム”にログインして参加する方式です。Oculusを持っていなくても、Webカメラでの参加も可能です。

仮想のホワイトボードを使ったプレゼンテーションが可能。操作しているパソコンの画面をミーティング内で共有することもできます。

Horizon Workrooms
ミーティング時のイメージ。仮想のホワイトボードを使ったプレゼンも可能

実は、Oculusは専用のコントローラーを使わなくても操作できます。Oculus本体の周囲に配置されたセンサーにより、自分の「手」が認識されて画面内に表示されます。スクロールやクリックなどは可能ですが、使い勝手はそれほどでもありません。次世代の「Oculus」にてセンサーの精度が向上すれば、仮想空間内での自在な操作が可能になりそうです。

自分の「手」を認識させて、コントローラーを使わずに仮想空間の操作が可能

最近は家電量販店の体験コーナーやネットカフェ、ゲームセンター、観光施設など、手軽にVRゴーグルを体験できるスポットが増えてきています。興味はあるけど購入は迷っているという方は、一度試してみてはいかがでしょう。

伊井タカシマ