いつモノコト

三井住友「ナンバーレスカード」に切り替えた。この上ない安心感

クレジットカードの未来型を思わせるカードが2月1日に登場しました。その名も「ナンバーレスカード」。なんと、カードの表にも裏にもカード番号や有効期限が印字されていないというのです。カード番号などが見えないため、盗み見される心配がないというのが最大の特徴となっています。

カードを利用するための情報が一切ナシ

このカードを発行したのは三井住友カードで、正式な名称は「三井住友カード(NL)」。かねて同社のクレジットカードを使っていた私は、変更手数料がかからないこともあって早速ナンバーレスカードに乗り換えることにしました。変更手続きはすべてWebサイトで行なえ、10日ほどで新しいカードが送られてきました。

会員情報の記載がない非常にスッキリしたデザインに。Mastercard版も選べます
裏面にサインを書いて使うのはこれまでと同じ

実は、この三井住友カード(NL)にはもう1つ大きなメリットがあります。それは年会費が永年無料ということ。同社の基幹カードとしては、初めてのことだそうです。そのぶん、ショッピング補償が省略されていますが、私の場合はあまり困らないと考えました。今まで使っていた「三井住友VISAクラシックカード」は年会費が1,375円で、これが節約できるのはありがたいところです。

切り替え前まで使っていた三井住友VISAクラシックカード。長年親しんだ「パルテノン神殿」ともお別れです

ナンバーレスカードにも海外旅行損害保険は付帯していて、最高2,000万円となっています。また利用枠は最大100万円です。

ナンバーレスカードの基本デザインは、2020年2月に登場した「次世代カード」と同じです。このカードも表にはカード番号や有効期限の記載がありませんでしたが(カード名義のみ記載)、裏面にカード番号、有効期限、セキュリティコードなどが印字されていました。ですから、依然としてカード情報の盗み見の心配はあったわけです。

(参考)2020年に登場した次世代カード

そこでナンバーレスカードを改めて見てみると、まず表面には会員情報は何も記載がなくなりました。裏面はカード名義、サイン欄、発行日、カスタマサポートページのQRコードくらいとなり、とてもスッキリしたデザインになりました。

表にしろ裏にしろ、決済に必要な情報がむき出しで記載されているのは安全上どうなんだろう? という漠然とした思いがあったのは正直なところ。とりわけ3~4桁と短いセキュリティコードが平文(暗号などになっておらず直読できる)で載っているのは、ネットショッピングが広まるにつれて疑問に感じるようになっていました。その点ナンバーレスカードなら、例えカメラで盗み撮りされてもそれをもとに不正使用はできないはずで、ユーザーとしては安心感を覚えます。

充実の専用アプリが使い勝手を高める

店頭での使い方はこれまで通りで、変わりはありません。暗証番号が設定されている点も従来と同様です。店頭の端末が対応していれば、カードをかざすだけで良いVISAのタッチ決済(またはMastercardコンタクトレス)も可能です。

では、ネットショッピングなどでカード情報の入力が必要な場合はどうするかというと、「Vpass」というスマホアプリで確認する仕組みになっています。新規ユーザーはVpassアプリでカードの登録が必要となります。しかし、私のように以前からのユーザーは新しいカードが既に登録された状態になっていました。

VpassアプリのログインにはIDとパスワードが必要ですが、指紋認証やFace IDにも対応しているので、すぐにカード情報を参照することができます。

Vpassアプリ。指紋認証などにも対応
利用額の履歴やポイントも確認できます。ポイントは前のカードから引き継がれていました
ナンバーレスカードの肝であるカード情報の表示画面
利用可能額も確認できます

同じ端末でECサイトにカード情報を入力する際には、Vpassアプリと切り替えが必要。これまでのように、カードを見ながら入力ということはできないので少し面倒かもしれません。もっとも、財布などからカードを取り出す手間がないので、それはそれでメリットといえそうです。

Vpassアプリには、カードの決済を制限できる機能も付いています。もしカードを紛失したら、取り急ぎここでロックできるので心強いと思いました。

カードに利用制限をかけることができます
試しにすべての利用を制限したところ。「解除する」を押すと、直ちに制限がなくなります
利用制限はカテゴリー別に設定することも可能です

カードとスマホを同時に紛失するケースを考えると、スマホのロック解除とVpassアプリのログインをクリアしないとカード情報が見られないわけですから、店頭でのカードを使った暗証番号不要の少額決済を別にすれば、ナンバーレスカードのほうがECサイトで不正利用ができない点で有利でしょう。今回試した限りでは、Vpassアプリは操作せずにしばらく経つと強制的にログアウトされました。

なお、Vpassアプリの各ページでスクリーンショットを撮影しても、保存された画像は真っ黒でした。これは、マルウェアなどが勝手にスクリーンショットを撮って送信してしまうリスクに対応したものと思いますが、この辺りも良くできていると感じた次第です。記事中のスクリーンショットは、カメラで画面を撮影したものです。

ポイント還元はコンビニ重視

ポイントサービスとしては、SMBC(三井住友銀行)グループ共通のポイントサービス「Vポイント」に対応しています。基本は200円の決済で1ポイント(0.5%)が加算され、1ポイント=1円相当で買い物に使用できます。特にセブン-イレブン、ローソン、マクドナルドでタッチ決済した場合は、最大5%の還元となります。コンビニをよく利用する人は注目でしょう。

昨今のクレジットカードはポイント還元率競争のきらいもありますが、その点では本カードは高還元率のブランドが限られ、少々見劣りするかも知れません。ポイント獲得を重視したい人は国内では別のカード併用する一方、例えば海外では安全性の高いナンバーレスカードで決済する、といった使い分けも良さそうです。

あらかじめ決めた利用額に達すると通知が来るサービスも

クレジットカードは、キャッシュレス決済の中ではもはや古参なのかもしれませんが、歴史があるだけに世界的に普及しているだけではなく、ネットショッピングでも依然として欠かせません。そのクレジットカードに、現代文明の利器であるスマートフォンを組み合わせることで、高いセキュリティと利便性をもたせたのが今回のナンバーレスカードだといえるでしょう。

既にいくつかのナンバーレスタイプカードが内外で登場していますが、このタイプが近い将来の主流になるのではないかと思わせるほどメリットを大きく感じました。カード番号がズラッと並んだ象徴的な面構えも過去のものになるのかも知れませんね。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。