キャッシュレス百景

第5回

スマホすら前時代! Apple Watchだけでエレガントな決済を by 白根雅彦

筆者が愛用しているApple Watch Series 4(アルミ/40mmモデル)

筆者はiPhoneをメインスマホとし、メインのパソコンはMac、複数枚のiPadを併用し、ほぼ一日中Apple Watchを装着しているという、自称「林檎界の住人」だ。当然、キャッシュレス決済手段としてはiPhoneやApple WatchのApple Payを使っているが、その中でももっともよく使っている決済手段は、なんといってもApple Watch内のSuicaである。

iPhoneやApple WatchのApple Payは、iDやQUICPay、Mastercardコンタクトレスなど、いくつかの決済手段が利用できるが、そのうちかざすだけで使えるのは、「エクスプレスカード」に設定されたSuicaだけだ。iDやQUICPayなどほかのカードは、iPhone/Apple WatchでWallet画面を表示させ、使うカードを選択しないと使えない。

Apple Watch上のAppe Pay設定画面。一番下の「エクスプレスカード」に設定したものだけが、無操作で利用できる

Wallet画面を表示させるのはサイドボタンをダブルクリックするだけなので、それほど面倒ではないが、しかしなんの操作も要らないSuicaとは大きな違いがある。

iPhone上のSuicaはほとんど使わず、Apple Watch上のSuicaだけを使っている。財布もスマホも取り出さず、手首をかざすだけで決済できるエレガントさは格別に便利だ。もはやコンビニでの支払いごときで財布やスマホを取り出すという行為は、なにか前時代的なものにすら感じられるようになった。

筆者はApple Watchを左腕に装着しているので、電車に乗るとき、右側に非接触リーダーがある改札は若干使いづらいのだが、身を翻しながら、エレガント(当社比)にApple Watchで改札にタッチする動作にもすっかり慣れてしまった。逆にコンビニなどでは左側にリーダーがあることが多いので、こちらは左腕に装着していると使いやすかったりする。リーダーの設置場所によっては、かなりムリ気味な体勢になることもあるが、しかしまったく使えないということはいまのところない。

Apple Watch上でのチャージ画面。ロック解除されていればかなり簡単にチャージできる

Suicaにはオートチャージを設定し、常時3,000円以上の残高がキープされるようにしている。しかも、いま使っているApple WatchはCellularモデルなので、iPhoneやWi-Fiがない環境でも、Apple WatchだけでSuicaにチャージできる。うっかり財布もスマホも持たずに全裸で外出してしまったときも、Apple Watchさえあれば松屋でご飯を食べ、ビックカメラで電池を買い、ユニクロでパンツを買うことができるわけだ。

幸いにも筆者は全裸で外出するようなミスをしたことはないが、ちょっとした外出で財布やスマホを持ち出さないことはある。たとえばゴミ出しのつもりで家を出たけど、そのままコンビニで買い物してご飯も食べるか、みたいなケースだと、財布やスマホを持っていないこともあるだろう。一方でApple Watchは起床後にすぐに着用するので、これを外出時に忘れることは滅多にない。ほぼ常に身につけているものだけで決済ができる、このエレガントさは何にも代えがたいものだ。

海外ではMastercardコンタクトレス。イギリスで便利だった!

海外ではApple Payに登録されたMastercardコンタクトレスも使っている。日本で発行されたMastercardの多くは、Apple Payに登録すると、Mastercardコンタクトレスとして使える。そして海外ではMastercardコンタクトレスが使える店舗が多い。

ドリー(の剥製)が居るスコットランド博物館の入り口にあった非接触決済の寄付金端末。隣には現金箱がある

たとえば昨年春に筆者がスコットランド観光したときは、使ったスーパーや飲食店ほぼすべてでMastercardコンタクトレスが使えた。イギリスでは一般的なクレジットカード端末の多くが、非接触対応に切り替わっているようで、エディンバラのスコットランド博物館の入り口には、非接触決済の寄付金端末が置かれているくらいだ(これもApple Watchから支払いできた)。ほかには昨夏に台湾に遊びに行ったときも、屋台などではムリだったが、ちょっとしたお店であればMastercardコンタクトレスが使えた。

「財布やスマホを取り出さず、Apple Watchだけで決済できる」というのも、海外では大きなポイントだ。海外の治安がやや悪い観光地などでは、財布やスマホは置き引きやひったくりのターゲットとなるので、なるべく取り出したくない。Apple Watchごとひったくられるかも知れないが、Apple Watchは外れる(脈拍が検出できなくなる)と自動でロックがかかるので、不正利用の心配は少ない。と言っても、Apple Watchが盗られること自体が痛いので、バンドはしっかりしたものを使いたい。

イギリスでよく見かけた決済端末。セルフレジとかにも置いてあるので、使い方に慣れておくと便利、といってもタッチするだけなのだが

イギリスのビアパブなど、カウンターで注文するたびに代金を支払う、いわゆるキャッシュオンデリバリー形式のお店でも、Apple Watchで決済できると便利だ。多少酔っ払っていても、Apple Watchだけで追加のビールを注いでもらえる(決済前に必ず金額を確認しよう)。財布やスマホと違い、タプタプに注がれたビアグラスに気を取られてカウンターに置き忘れる心配もない。

実は筆者はこれまで、銀行のキャッシュカード兼用のVISAクレジットカードをメインに使っていたのだが、Apple Watch上のMastercardコンタクトレスの便利さに気がついてから、楽天カードでMastercardを作成したくらいだ。VISAの非接触クレジットカードのpayWaveは、現在のところApple Pay対応していないので、対応Apple Watchを持っているけどVISAしか持っていない人は、Mastercardを新たに作るのもオススメだ。

新たに作った楽天カードのMastercard。「デバイスアカウント番号」はそれぞれの非接触決済方式の固有番号で、このカードの場合、QUICPayとMastercardの2つの番号が割り振られている
これまで使っていたキャッシュカード兼用のVISAクレジットカード。こちらはデバイスアカウント番号がiDの1つだけしか割り振られておらず、カード画像のロゴもiDのみ

白根 雅彦