ミニレビュー
手首で測るオムロンの血圧計を使って1年強 コスパもよくおすすめ
2024年3月2日 09:30
家庭用の血圧計には、大きく分けて3つのタイプがあります。1つは病院などでも多く見られる、上腕式でリングに腕を通すタイプ。2つめは同じく上腕式で、ベルト状の腕帯を巻きつけるタイプ。そしてもう3つめが手首に巻くタイプです。
今回紹介するオムロンの「HEM-6231T2」は、3つめ、手首に巻くタイプの血圧計です。発売されたのは2022年11月で、その直後に購入したため、使い始めてから1年3カ月になります。
今回はこの製品について、ほかの仕組みとの違いや、この製品ならではの特徴について紹介します。
わざわざ「手首式」を購入した理由とは
筆者は数年前まで、リングに腕を通す上腕式の血圧計を使っていました。機能的に不満はなかったのですが、腕を通すリングが大きすぎるせいで場所を取りすぎること、また当時の製品にはスマホ連携機能がなかったことから、同じ上腕式でも腕帯を巻きつけるタイプで、かつスマホ連携機能を搭載した製品に、数年前に買い替えた経緯があります。
そうした中で今回、新たに手首式を購入したのは、遠征する機会が増え、家族と共用する腕帯タイプとは別に、個人で使えて持ち運べる血圧計が必要になったという理由によるものです。
まあそもそもの発端は、ここ数年で血圧がかなり上がり、数日間の遠征中も血圧を測らざるを得なくなったという、根本的な問題があったりします。
使い方は至ってシンプルで、手首に巻いてテーブルの上に肘をつき、「測定/停止」ボタンを押すことでカフが膨らんで血圧および脈拍の測定が始まり、十数秒後に完了すると値が表示されるという流れです。
血圧計としては至って普通の使い勝手で、後述するスマホ連携機能を使わなければ、特に取扱説明書を読まなくても使えてしまいます。
実際に使って驚いたのが動作音が静かなことです。電子式血圧計と言えば、測定の開始時や終了時にアラートで知らせたり、またエアの吸入音や排出音がそれなりにするのが普通ですが、本製品は驚くほど静かです。隣で家族が就寝中でも、起こすようなことはまずないでしょう。
一方でパーソナルユースを想定したモデルゆえ、ユーザの切替機能がないのも特徴です。筆者のように、出張や遠征で個人が持ち歩くという用途にはぴったりですが、家族で併用するならば、上位の「HEM-6233T」のほうがよいでしょう。ちなみにメモリーは90回分、つまり1日1回の測定で3カ月分が保存できます。
「手首式はデータは不正確」は過去の話
さて、手首式の血圧計は、一般的に上腕式に比べて値にズレが出やすいと言われます。筆者が数年前に当時の製品で試した範囲では、姿勢によって血圧が上下ともに20~30mmHgはズレるのが当たり前で、購入を見送った経緯があります。
しかし今回の製品は、肘を曲げた角度が不適切であればエラーを表示する機能を備えているほか、測定中に動いたり、カフの巻きが緩かったりするとアイコンで知らせてくれるため、極端におかしな値が出ることはありません。
また、スマホアプリにデータを転送したあとに、警告付きのデータが残っていた場合、アプリ上で簡単に削除できますので、グラフ表示にも影響を与えません。
ただ一般的に電子血圧計は、本来の値よりも若干高めに出る傾向があり、その点については本製品も例外ではないように感じます。そのため病院などで測った血圧と本製品で測った血圧を一緒くたに比較するのではなく、本製品のデータだけで値の変動を見たほうが、使い方としては正しいように感じます。
スマホでデータ管理。血圧変動のグラフも作成できる
さて話が前後しますが、本製品の特徴として、スマホアプリと連携する機能を備えています。これはスマホとBluetoothで通信を行ない、測定データを取り込んで管理する機能です。
これを使えば、血圧の変動を年単位で記録できます。全自動で取り込んでくれるわけではなく、スマホのロックを解除してアプリを起動しておく必要はありますが、慣れてしまえば許容範囲です。
ところで血圧は生活時間帯によっても大きく変動することから、血圧の推移をグラフで正しく表示するには、測定は毎日ほぼ決まった時間、例えば「就寝直前」や「夕食前」など決めて行なう必要があります。本来ならば生活リズムを読み取り、比較にふさわしい時間帯のデータだけを使ってグラフを生成してくれればよいと思うのですが、現状そうした機能はありません。
本製品の連携アプリには「かんたん血圧日記」なる機能があり、これを使えば血圧の測定値を「午前」「午後」で分けて保存できるのですが、こちらについても、その一方だけをピックアップしてグラフ化する機能はありません。また「午前」「午後」以外の区分に変更する機能もありません。このあたり、アプリの進化も期待したいところです。
コスパもよくおすすめできる製品 液晶だけは難あり
以上のように、個人で使うには非常に使い勝手がよい製品で、かつ実売1万円ちょっととリーズナブルなこともあり、おすすめであることに間違いありません。ただ、もう少しなんとかならなかったのかと思うのが、液晶画面の視野角の狭さです。
筆者が知る限り、オムロンのヘルスケア製品は、体重計にバックライトがなかったりと、何かしら表示周りのコストを削っている印象があるのですが、本製品もその例に漏れず、液晶の視野角が驚くほど狭く、ほぼ正面からでないと測定結果を見ることができません。
測定完了後に結果を見るだけならば問題ありませんし、また周囲から覗き込まれずに済む利点もなくはありませんが、天井の照明が反射して正面からは画面が見づらく、角度を変えて見ようとすると今度は液晶側の問題で見えないとなると、少々行き過ぎのような気もします。後継モデルが出る暁には、ぜひ仕様を再検討して欲しいところです。