ミニレビュー
石こうボードの壁に写真や書類を留められる コクヨ「壁につけるマグネット」がイイ!
2024年1月23日 08:20
部屋を整理整頓するにあたり、地味に悩ましいのが「壁を活用しにくい」ことではないでしょうか。テーブルや床に散らかりがちな書類を壁に貼っておきたい、というような単純な欲求であっても、意外とスマートな解決方法が見つからなかったりします。
たとえば真っ先に考えられる手段は画鋲で貼り付けることですが、ほとんどの住宅は壁に石こうボードが用いられており、素材が脆いために同じ場所で抜き差しを繰り返すのには向きません。壁に棚やフックを取り付けるとしても、賃貸住宅だと基本的に釘やねじなどによる穴開けは厳禁ですし、DIYしやすい持ち家でも石こうボード相手だとひと手間必要になってきます。
マグネットなら取り付け・取り外しを繰り返すこともできて便利ですが、石こうボードの壁だと当然ながらくっつきません。結局は冷蔵庫の扉が終着地点となって、大量の書類で埋めつくされてしまったりします。
そうした悩みを解決してくれそうなのが、2023年11月に発売されたコクヨの「壁につけるマグネット」。石こうボードの壁にもマグネットがくっつくようになるアイデア商品です。どんな感じで使えるのか、コクヨから製品を提供いただき、筆者の自宅で試してみました。
専用ホッチキスで頑丈に固定できる
「壁につけるマグネット」は、住宅で一般的に用いられている石こうボードの壁にマグネットをくっつけられるようにして、そこに書類や写真などを挟んで固定できるようにするアイテムです。本来はマグネットがくっつかない石こうボードですが、本製品ではシンプルな仕組みでそれを実現しています。
「壁につけるマグネット」は主に3つのパーツからなります。透明なプラスチックの「ベースシート」、粘着テープが貼り付けられた「金属プレート」(補助板)、そして「マグネット」があり、最初にベースシートをホッチキス針で壁に固定し、その上に金属プレートを貼り付けるだけ。そうすればマグネットを自由に取り付け・取り外しできるようになります。
ホッチキス針を使って壁に固定するアイテムとしては、若林製作所の「壁美人」シリーズがよく知られています。細い針なので画鋲よりも壁に開く穴が小さく、不要になったときに撤去しても穴があまり目立たないというメリットがあります。それでいて意外と耐荷重も大きく、実用性の高いものです。
今回のコクヨの「壁につけるマグネット」もそうしたメリットを備えつつ、これから使い始める人により親切な商品構成になっているのが特徴です。
具体的には「はじめてセット」というパッケージを用意しており、マグネットやベースシートなどの基本パーツと一緒に、固定用のホッチキス本体が付属しているのです。
ホッチキスは、見た目はごく一般的な形のコンパクトなサイズ。ホッチキス針は十分な量が最初から充填されています。このホッチキスを使ってベースシートを壁に固定するわけですが、ちょっと面白いのが、より頑丈に固定できるようにする「アタッチメント」があること。
通常は壁に対して垂直にホッチキス針を差し込むことになりますが、アタッチメントをホッチキスに装着し、それを壁(ベースシート)に押し当てると、垂直よりも少し角度が付いた斜め方向に針を差し込めるようになります。これによってベースシートが一段と剥がれにくくなるようです。
商品構成としては、丸型のマグネットとプレート(シート)が3つずつ含まれる「はじめてセット(A)」、丸型のマグネット4つとバー状のプレート(およびシート)2本が含まれる「はじめてセット(B)」があり、その他に各形状のマグネットやプレートの単体パッケージ、専用ホッチキスのみのパッケージも用意されています。マグネットについては丸型の他に、上に写真などを立てかけられる長いバータイプも用意されています。
書類だけでなく紐状のものも留めておける
今回試したのは「はじめてセット(A)」(1,000円)と「はじめてセット(B)」(1,800円)の2つ。一方は丸型のベースシートとプレート、もう一方はバー状のプレートと形は異なりますが、いずれも壁に固定するにあたり特に迷うところはなく、説明書の指示通りに進めれば数分で作業は完了します。細いホッチキス針ではあるものの、4~8カ所をホッチキス留めするため、かなりがっちりと壁に固定されるので安心です。
ホッチキス針で固定されたベースシートは、その上から被せるようにして貼り付ける薄い金属プレートに完全に隠れるので、見た目はずいぶんとスタイリッシュ。ここに写真や絵はがきを留めておくとなかなかにオシャレな感じです。丸型のマグネットは溝が入っているので、ネックストラップなど紐状のものを引っ掛けておくのにも使えます。
ただし、少なくとも丸型マグネットの磁力はものすごく強いというわけではありません。たとえばA4コピー用紙なら5枚くらいまでが1つの丸型マグネットで固定できる限度となります。ベースシートと金属プレートはしっかり固定されているとはいえ、厚みのあるもの、重量のあるものを留めることはできず、あくまでも写真1、2枚、もしくは書類数枚を貼り付けるのに便利に使えるもの、と考えておくと良さそうです(バー状のマグネットはもう少し重量のあるものを留めることが可能かもしれません)。
視界に入りやすいと部屋の雰囲気や仕事効率が変わる
筆者はいろいろ考えた末、リビング近辺と仕事部屋の2カ所の壁にマグネットスポットを設けて、常に飾っておきたい写真、または処理が間近な仕事関係の書類を留めておくことにしました。
紙書類の整理整頓にももちろん役立ちますが、目に付きやすい壁に気軽に何かを貼り付けられることにも大きな意味があると感じます。写真を飾ると室内の雰囲気が明るくなったように思えますし、仕事部屋では目線の高さに近い、視界に入りやすいところに書類があるため、必要なタスクをうっかり忘れてしまうことも減ります。撤去して他の場所に移動したくなったとしても、さほど手間がかからず、しかも開いた穴が目立つこともないのはうれしいところです。
筆者宅は持ち家なので、壁に穴を開けたりするのも家主である筆者の自由ではあるのですが、それでも壁が穴だらけになるのはできるだけ避けたいもの。その意味でも、壁のダメージを抑えつつ簡単に壁をマグネット対応にして整理整頓を図れる「壁につけるマグネット」は、価格がお手頃なこともあり、コストパフォーマンスの高いDIYだな、と思いました。