ミニレビュー
ほしい機能が全部ある。ブックマークアプリ「Raindrop.io」
2022年1月25日 09:15
行ってみたいラーメン屋の紹介ページをたしかに保存しておいたはずだけど、どこだったっけ? iPhoneのSafariのブックマークか、PCのChromeのブックマークか、いやPocketで「あとで読む」したのか……。ブックマークの管理が難しいと思っていたのは筆者だけでしょうか。その問題を解決してくれたサービスをご紹介します。
それは、「Raindrop.io」というブックマークアプリです。公式のWebサイトには "All-in-one bookmark manager" (「全部入りのブックマークマネージャー」)と謳われています。キャッチコピーに違わない充実した機能があります。
ブックマークのフォルダ分け・タグ付けから、ブックマークのリストをWebページとしてほかの人にシェア、外部サービスと連携して「YouTubeで『高評価』した動画をブックマークとして追加」なんて高度なことまで、ひと通りの機能がそろっています。
これらの機能はすべて無料で、ブックマーク、フォルダ、利用デバイス数のいずれも無制限です。月額約400円の有料プランでは、ブックマークの全文検索などさらに高度な機能が使えます。
拡張機能はChrome、Safari、Firefox、Edge、Operaといった主要ブラウザに対応。iOS・Android向けのアプリ、Windows・macOS向けのデスクトップアプリも用意されていて、ブラウザ間・OS間の同期に対応しています。公式サイトは英語ですが、サービス自体は(翻訳が微妙に不自然な部分もありますが)日本語で利用できます。
コレクションとタグでブックマークを整理
Raindrop.ioでは、ブックマークは「コレクション」(フォルダ)と「タグ」で整理することができます。上の画像で左側に「本」、「ライフハック」、「テキスト」……と並んでいるのがコレクションです。
「本」のフォルダにあるブックマークの一番上には「#SF」のタグがつけてあります。検索窓に「#SF」と入力するか、そのタグをクリックすると「#SF」のタグがついたブックマークを検索できます。「本」コレクションだけでなく「映画」コレクションにあるブックマークも検索できています。
また、コレクションごとに表示の仕方を変えることができます。デフォルトは「リスト」表示ですが、Webサイトのサムネイルを大きく表示したい場合は「カード」表示にするなど、使い分けることで閲覧しやすくなります。
なお、コレクションは「グループ」としてまとめられます。ややわかりにくいですが、たとえば下の画像では「Personal」(グループ)→「本」(コレクション)→ブックマークという入れ子構造になっています。
ブックマークをシェア
たとえば忘年会に使うお店の候補や、旅行先で行きたい場所、あるいは業務の参考となるページなど、Webサイトをリストにしてシェアできたら便利な機会があります。
Raindrop.ioでは、コレクション単位でブックマークをシェアできます。上のスクリーンショットは、筆者がコレクションの閲覧用URLを発行してシェアしたページです。メールアドレスを入力して招待すれば、閲覧だけでなく編集も可能なリストとしても共有できます。何人かで共同作業したいときに便利です。
YouTubeの「高評価」を自動でブックマーク
IFTTTやZapierといった、サービス間を連携するサービスを使えば、たとえば「YouTubeで高評価した動画を自動でRaindrop.ioのブックマークに追加する」といったことが簡単にできます。
たとえば、IFTTTのRaindrop.ioのページでは、「いいねしたツイートをブックマーク」とか「Raindrop.ioでブックマークしたらPocketに送る」といった連携が用意されています。
試しに、YouTubeで高評価した動画が自動でブックマークされるよう、IFTTTで設定してみます。これは「Save liked YouTube video to Raindrop.io」という連携で実現できます。
画面の指示に従って操作を進めると、連携の設定画面が表示されます。どのコレクションにブックマークするか、どのタグをつけるかといった設定ができます。ここでは、「面白い」コレクションに「YouTube」のタグをつけてブックマークすることにしました。
「Save」ボタンを押すと連携が有効になります。ためしに、動画を高評価してみました。すると、設定通りRaindrop.ioの「面白い」コレクションに「YouTube」のタグがついた状態でブックマークされました。
簡単に連携を設定できました。IFTTTではほかにも、RSSやPinterestなどとの連携も用意されています。Zapierではより柔軟な組み合わせが可能です。腕に覚えがある人なら、公開されているRaindrop.ioのAPIを使って、自由自在にブックマークを扱えます。
月400円で使えるアーカイブ機能。404でも大丈夫
筆者はRaindrop.ioの「Pro」プランを利用しています。Proプランは、月額396円(年額3,697円)です。無料でも今までご紹介したような多くの機能が使えますが、ある機能のためにお金を払っています。
それは、アーカイブを保存する機能。ブックマークした瞬間に、そのページのデータを自動で取得。クラウド上にあるサーバにアーカイブを保存してくれる、という代物です。
インターネットにある情報は案外はかないものです。「あの記事を読み返そう」と思ったときに表示される、無慈悲な「404 Not Found」の文字に悲しくなった経験は、誰しも持っているのではないでしょうか。もうそんな悲劇とはおさらばです。
実際に動作をお見せするため、Webページを用意しました。Raindrop.ioでブックマークしてからサーバを削除しました。サーバを削除すると、当然「Not Found」と表示され、閲覧できなくなります。
しかし、アーカイブは残っています。Raindrop.ioからコピーをブラウザで開くと、きちんとブックマークに追加した時点のページが表示されています。
さらに、DropboxやGoogle ドライブにデータをバックアップすることも可能です。「至れり尽くせり」という言葉が似合います。
ただし、アーカイブは必ず取得できるわけではなく、Webサイトの設定によっては複製できないことがあります。個人的な経験から言えば、そうした設定をしているWebサイトは数%です。
かゆいところに手が届くProの機能
もうひとつ、Proプランの大変便利な機能として全文検索があります。通常は、ページのタイトルとタグを検索できますが、全文検索ならブックマークしたWebサイトとPDFの中身まで検索対象になります。日本語の検索も問題ありません。
ほかの課金機能として、コレクションのなかにコレクションを入れ子にして追加できる「Nested collections」がありますが、筆者は「グループでいいのでは……?」と感じて、使いこなせていません。
「全部入りのブックマークマネージャー」に嘘はない
Raindrop.ioは、今回ご紹介した以外にもさまざまな機能があります。記事を執筆するためにドキュメント(英語)を読んだところ、初めて知る機能がいくつかありました。
機能の多さに圧倒されてしまうかもしれませんが、複雑すぎるということはありません。基本的な機能はわかりやすく操作できて、かつ高度な機能を求めるユーザーのニーズにも応えられるサービスです。
ブックマークサービスなので、安全性やプライバシーを気にする方もいるかもしれません。公式サイトには "We keep your data safe, never sold." (「あなたのデータを安全に維持し、決して売りません」)と記されています。もちろん謳い文句に過ぎませんが、ソースコードも公開されており、一定の信頼に足ると筆者は考えて利用しています。
Raindrop.ioは、自分だけの情報保管庫になりえます。ブックマークの管理にお悩みの方は、一度試してみてはいかがでしょうか。