ミニレビュー
新しいKindle発売。専用端末の良さを手ごろな価格に凝縮
2019年4月11日 08:20
Amazonの電子書籍端末「新Kindle」が発売された。8,980円(税込)とリーズナブルな価格で、Kindleシリーズのエントリーモデルと位置付けられるが、明るさ調整可能なフロントライトを搭載するなど、機能は充実している。
Kindleシリーズは、上位機種のKindle Paperwhite(税込13,980円~)やKindle Oasis(同29,980円)も展開されている。いずれも電子ペーパー(E-Ink)がコントラストの高いE-Ink Cartaとなるほか、Oasisは7型とディスプレイサイズが大きく解像度が300dpi、Paperwhiteは6型で300ppiとなる。
新Kindleは6型ディスプレイで、解像度は167ppiとなるほか、電子ペーパーもCartaではない。また、フロントライト用のLEDの個数が4個(Paperwhiteは5個)になるほか、防水機能が省略される。ストレージメモリが4GBのみ(上位機種は8GBもしくは32GB)という点も上位モデルとの主な相違点といえる。
しかし、電子書籍リーダーとしての基本機能は網羅されており、「1度の充電で数週間利用できる」というKindleシリーズならではの特徴も備えている。短時間ではあるが、新Kindleを試用した。
手に持ちやすいサイズ。ホーム画面の変更
パッケージは縦長のコンパクトなもので、同梱品は説明書とUSBケーブルのみとシンプル。
本体の外形寸法は160×113×8.7mm。重量は174g。背面がラウンドしており、片手でも持ちやすい。文庫本より軽く、手に持った時のバランスもとても良い。
電源を入れるとホーム画面が表示される。新Kindleにあわせてホーム画面のデザインもアップデートされ、購入した本だけでなく、Kindle UnlimitedやPrime Readingなどの読み放題サービスを含む読書履歴に基づいて、次の本を提案してくれる。
'18年のPaperwhiteでも似たようなホーム画面だったが、読書履歴に紐づいたKindleストアのオススメをより強化し、「次の気になる本を検索」などの画面が追加されたようだ。気に入った本は、Kindle上から購入できる。
個人的には、スマートフォン(iPhone)、Fireタブレット、iPad、Kindle Paperwhite(2013年モデル)など、複数デバイスでKindle本やマンガを読んでいるものの、本の購入時にはPCやスマホを使う。Kindleでほしいものがそのものズバリで表示されたら買うかもしれないが、表示(描画速度)が遅い電子ペーパーで本を探すのはやや億劫には感じるので、あまり好みの表示ではない。ただ、日替わりセールなどにすぐにアクセスできるのは便利かもしれない。
また、[設定]-[端末オプション]-[詳細設定]-[ホームとライブラリ]から[ホーム画面の表示]を[オフ]にすると、ストアのオススメや読書リスト(Wishlist)の表示をオフにできる。シンプルな電子書籍ビューワーとしてKindleを利用する場合は、ここを選べば、購入した本(マイライブラリ)だけの表示となる。
必要十分な機能がリーズナブルに
ページ送りは十分に高速で、引っかかり感はない。筆者のPaperwhite(2013年モデル)は、ページ送りが遅いこともあって、最近は帰省時など年数回しか起動していない。そうした、古いKindleユーザーは、この動作速度だけでも購入検討に値すると思う。
新Kindle最大のセールスポイントであるフロントライトは、24段階で明るさを調整できる。自動調整には対応しないが、暗い寝室や日が差し込む電車内とか、用途にあわせて調整できる。
上位機のPaperwhiteとの一番の大きな機能差が埋められ、Kindleの活用シーンを確実に広げてくれる重要なアップデートだ。
機能を見るだけで、8,980円という価格は十分に安いが、Amazonデバイスは大型セール時などに値下げされる機会も多い。そうした機会に買い求めるのも良さそうだ。
Paperwhiteとの価格差は約5,000円。防水、メモリ容量、解像度などが大きな違いとなる。マンガを大量に持ち歩きたい(マンガのまとめ表示にも対応)、とか、自分のライブラリを全て1台に収めたいという人には新Kindleの4GBという容量は心もとないかもしれない。しかし、画面の見やすさや使いやすさ、そしてバッテリ駆動時間など、読書専用端末ならではの魅力をリーズナブルな価格に収めた、ちょうどよい入門機だ。