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ホンダ、無人水中翼小型ボート「ウミエル ASV」

ホンダは、同社の新事業創出プログラム「IGNITION(イグニッション)」発のスタートアップ「株式会社UMIAILE(ウミエル)」を設立。高速で水上を自律航行し海洋情報を収集する小型無人ボート「UMIAILE ASV」を販売するほか、UMIAILE ASVにより収集した海洋生態系や地質などのデータを分析・提供する事業を4月から開始する。

従来の有人船舶による海洋観測は、船舶の建造や運航にかかるコストが膨大で、観測頻度・密度を高めることが難しかった。UMIAILEは、開発したUMIAILE ASVにより海洋観測の高頻度化・高密度化を目指す。

UMIAILE ASVは、水中翼を採用した独自の船体姿勢制御技術により、水上を高速で自律航行する小型無人ボート。日本近海のような潮の流れが速い海域でも安定して海洋観測ができる。動力は電動モーターで、船体上面のソーラーパネルで発電し、長時間の観測も行なえる。

UMIAILE ASV(プロトタイプ)

センサーやカメラ、ソナーなど、目的に応じた観測機器を搭載することで、風・波浪・潮位などの海象情報や、海洋生態系、海洋地質などの海洋データを収集可能。例えば、地震が多発する日本近海の海底地殻変動を高頻度に観測することで、地震のメカニズム解明と今後想定される南海トラフ巨大地震などに対する防災・減災に貢献する。また、海洋生態系の調査やブルーカーボンの定量化などにも活用が期待される。

UMIAILE ASV通信イメージ
活用事例:海底地殻変動観測

GNSSを活用し、海上でも自己位置を正確に測位しながら、事前にユーザーが設定したルートを自律航行可能。多数のUMIAILE ASVを観測エリア一帯に配置することで、高頻度・高密度の海洋観測を可能にする。

UMIAILEは、4月からUMIAILE ASVによる日本国内の大学や研究機関向けデータ提供事業を開始し、2030年以降は海外展開も視野に入れ事業拡大を目指す。

UMIAILE 代表取締役CEO 板井 亮佑氏