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高輪ゲートウェイシティを見てきた 多彩な最新ロボ・仕掛け・展示が楽しい
2025年3月25日 21:22
高輪ゲートウェイ駅直結のエキマチ一体の「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」が、3月27日にまちびらきを迎える。プロジェクトを推進するJR東日本は、報道および関係者向けに見学会を実施した。
高輪ゲートウェイシティは、将来構想を含めると約13ヘクタールに及ぶ新しい街。複合棟「THE LINKPILLAR(リンクピラー) 1 NORTH/SOUTH」「THE LINKPILLAR 2」、文化創造棟「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」、住宅棟「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE」の4街区で構成される。現在進められている4街区を合わせた区域面積は約9.5ヘクタール、延床面積は約845,000m2で、駅直結のまちとしては国内最大規模になるという。
3月27日にはリンクピラー1や駅前広場が開業するほか、高輪ゲートウェイ駅が新改札やエキナカ店舗などを含めて全面開業する。リンクピラー1の敷地面積は約38,000m2、延床面積は約460,000m2。階数・高さはNORTHが地上29階・地下3階・約161m、SOUTHが地上30階・地下3階・約158.68m。
まちの開発コンセプトとして「GlobalGateway」を掲げ、「100年先の心豊かなくらしのための実験場」として新たなビジネス・文化が生まれ続ける街を目指すとしており、リンクピラー1でも「環境」「モビリティ」「ヘルスケア」のテーマで実証実験・研究開発を実施する。
また、商業施設「NEWoMan(ニュウマン)高輪」を、リンクピラー1 NORTH/SOUTHおよびリンクピラー2の3棟にまたがる形で展開する。まちびらきにあわせて一部ショップが先行開業し、秋にはリンクピラー1の区画が開業、26年春にリンクピラー2の区画が開業する。
駅前広場は自動走行モビリティで移動可能
高輪ゲートウェイ駅の改札は、高輪ゲートウェイシティの2階レベルで、改札を出てすぐの場所はシティの駅前広場「Gateway Park」となっている。駅の南改札がリンクピラー1 SOUTH、従来よりあった北改札がリンクピラー1 NORTHの目の前に位置する。Gateway Parkの敷地面積は約6,500m2。
Gateway Parkでは街の回遊に無料で利用できる、最大3名まで乗車可能な自動走行モビリティを展開する。現在はリンクピラー1のみの開業となるため移動範囲は限られているが、全体開業により街の中の移動範囲も広くなるため、有用性が格段に向上するものと思われる。また、ロボットによるフードデリバリーサービスも展開する。
自動走行モビリティの管理はGateway Park内に設置されたArea Information&Mobilityで行なっており、どこを走行しているかなども確認している。
Gateway Park内に、エマニュエル・ムホー氏が手掛ける、100色のインスタレーションでこの街を表現した「100 colors」最新作、100 colors no.53「100色の道」を展示。また、ムホー氏とコラボレーションしたARコンテンツも展開する。
そのほかGateway Parkには、高輪ゲートウェイシティオリジナルノベルティの無人販売を行なう「Gateway Studio」がある。
Gateway Parkを南側に進んだ場所では、3月27日から7月31日までの期間限定で、アートと音楽を体感できるナイトミュージアムバー&クラブ「ZERO-SITE Takanawa Gateway」を展開。日本初導入となる「DANLEY SOUND LABS」のサウンドシステムやキネティックアートを見どころとしている。
ニュウマン高輪先行開業ショップとして、リンクピラー1 SOUTHの2階にブルーボトルコーヒー、NORTHの2階にニコライ バーグマンが出店。ニコライ バーグマンはフラワー・カフェ・スクール・リビングという4つのテーマが1つにしたスタイルで展開する。
なおニュウマン高輪は、リンクピラー1 SOUTH/NORTHの1階から5階、NORTH 28階と29階の「LUFTBAUM」、リンクピラー2の2階と3階で展開する。
エキナカでDJイベント
高輪ゲートウェイ駅構内にも新店舗や新たなスペースが開業する。
店舗は南改札側にて、改札階となる2階改札内にエキナカコーヒースタンド「MAISON CLASSIC CAFE」、改札外の3階にシュークリーム工場「MAISON CLASSIC FACTORY」、エキナカラウンジ「MAISON CLASSIC SALON」がオープンする。
また、改札内に芝生空間「Eki Park」を新設。用途に応じたレイアウト変更が可能で、イベントにも対応する。「エキナカDJイベント」の開催も計画している。
また、改札外でイベントスペース「マチアイ」を展開。「マチとマチの出アイ(会い)」「マチへのアイ(愛)を語る」をテーマに日本全国の魅力発信を行なう体験型イベントを定期的に実施する。
高輪ゲートウェイ駅改札では「Suicaタッチトリガー」を導入。タッチトリガーとはSuicaタッチのタイミングをリアルタイムに活用できるサービスで、改札機の入出場の瞬間をリアルタイムで検知し、駅・鉄道利用者にサービス提供が可能となる。見学会では、高輪ゲートシティアプリとの連携によるタッチトリガーのデモが行なわれた。
歩行者動線の壁一面で歴史を展示
1階の駅側のエリアには、交通広場を新設。また、観光情報発信拠点「TAKANAWA GATEWAY Travel Service Center」が設置される。ここでは完全キャッシュレスによるチケッティングサービスを提供するとともに、高輪ゲートシティと東日本エリアの各地域を結んで旬の情報を発信するなど、旅のきっかけとなるコンテンツを用意する。また翻訳ディスプレイなど、訪日外国人でもスムーズに利用できる設備を充実させている。
1階の、駅から建物を挟んで逆側にある歩行者動線「高輪リンクライン」には、開発が進められる中で明治初期に構築された高輪築堤の一部とみられる構造物が出土したことから、築堤にまつわる歴史資料を展示している。
また、鉄道がもたらした暮らしの変化、未来のモビリティの姿をARで体感できるプログラム「TAKANAWA LINK SCAPE」を提供する。
リンクピラー1の1階、大階段脇には空飛ぶクルマの1/3モックアップを展示。航続距離約400kmのASKA社「ASKA A5」で、2028年の商用開始を目指している。JR東日本では、高輪ゲートウェイシティ発着のプレミアム国内観光を提案する。
歴史や未来を表現した期間限定イベント
リンクピラー1の6階では、「未来へつながる 鉄道とまちづくり展」を、参加費無料で3月27日から6月28日まで開催する。約150年前から現在に至る鉄道・暮らしの変遷や、高輪ゲートウェイシティのまちづくり、鉄道の未来について展示している。
映像や写真、模型による展示のほか、タッチパネルで見たい時代を選びながら地図や航空写真を見比べられるディスプレイも設置されている。
リンクピラー1 地下2階のホールCでは、無料シアター「未来体験シアター」を、3月27日から6月28日まで開催。26年春のグランドオープンから先の未来を、映像とストーリーで体験できる。楽曲はオルタナティブロックバンド「羊文学」がシアターのために書き下ろした曲「未来地図2025」。
スタートアップをサポートするビジネス創造施設「LiSH」
リンクピラー1 NORTHの6階には、ビジネス創造施設「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars' Hub(LiSH)」を設置。ディープテック分野など100社以上のスタートアップをサポートする人材や支援制度を揃え、広域スタートアップエコシステムの拠点になるとしている。
個室やコワーキングスペース、ベースラボ、水圏ラボ、植物ラボ、微生物ラボなどのシェアラボを備え、さらに街全体を実験場として活用できる。また、ファイナンス面からも社会実装を支援するためのファンドを設立している。
重点テーマは環境・モビリティ・ヘルスケアで、東京大学やシンガポール国立大学などのアカデミズムの先端的な「知」、KDDIやマルハニチロ、伊藤園などの産業界、スタートアップのアイデアを掛け合わせ、新しいサービス等が生まれる場になることを目指す。
そのほか高輪ゲートウェイシティでは、KDDIが提供するソリューションを、街全体のリアルタイムデータ、ブース設置等によるシミュレーションを分析して、イベント等に活かす。