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LUUP、GPS活用で危険走行を防止 キックボードは全員「再受験」

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モビリティシェアサービスの「LUUP」は、安全対策の強化に向けて、電動キックボードの交通ルールテストの内容強化を行なう。具体的には、電動キックボードの全利用者向けに交通ルールテストの再受験を5月1日から課すほか、利用者の危険行動を検知する「LUDAS(ルーダス)」に基づく警告・ペナルティ制度を4月下旬から導入する。また、誤侵入防止サポート機能も6月中に導入する。

LUUPは、2020年から電動マイクロモビリティのシェアサービスを展開し、エリア拡大を続けているが、一方で交通違反や事故も発生している。そのため安全対策強化とルール周知を目的とし、新たな対策を導入する。

電動キックボードの交通ルール「再テスト」については、問題数は従来の11問から14問に拡大し、一時停止や信号などについても出題内容を追加。また出題順をランダム化し、不正行為を防ぐ。加えて、イラストでわかりやすく交通ルールを説明する形とする。

電動キックボードの新テスト。14問に拡充した

すでに従来のテストに合格している利用者も5月1日から新テストの受験とクリアが必要となる。6月1日までに合格しない場合、LUUPの電動キックボードを利用できなくなる。なお、LUUPの電動アシストサイクルの利用は対象外のため、テストを受けずに利用できる。

電動キックボードに再テストを実施

加えて危険行動防止システム「LUDAS」に基づくペナルティ制度を導入。危険走行に対してペナルティを課す。LUDASは、警察に取り締まられていない交通違反などをLUUP独自で検知するもので、Luupが構築・運用する安全システムの総称。車両のGPSで取得した利用者の移動経路データを用いて、利用者が対象となる場所を走行したことを検知する。4月下旬からLUDASを使ったペナルティ制度を開始する。

具体的には公園・広場での走行や通行禁止道路の走行、大通りの逆走・逆側歩道走行などがペナルティ対象となる。公園は代々木公園など都内2カ所から、禁止道路は新宿御苑トンネルなど5カ所から、大通りは山手通りの一部区間など東京都内8カ所から開始する。

検知情報が届いたら、オペレータが確認。危険走行を検知した時刻前後の移動軌跡などを加味して、警告・ペナルティを科すかを判断する。アプリ内やメールで警告を表示し、ペナルティの場合は利用停止措置などが行なわれる。

なお、危険走行確認のためのタイムラグが発生するため、即時の行為禁止の呼びかけはできないが、次回利用時の再発を防ぐ仕組みとなる。LUDASによるペナルティ制度は、電動キックボードだけでなく電動アシストサイクルのユーザーも対象となる。

また、侵入してはいけない場所をライド前、ライド中に通知する「誤侵入防止サポート」機能も6月中に提供。アプリ上のマップに侵入できない場所を表示し、危険な場所への誤進入を減らしていく。

ポート問題も「総点検」 安全対策を社会に示す

企業としてのLuupがこうした対策を導入するには、これまでのエリアやポート拡大にあたり、社会から厳しい目線が向けられていることがある。導入エリアにおいて利便性が向上する反面、LUUPにおける危険運転やポートの設置などについて多くの指摘がなされてきた。

そのうちポート設置については、避難経路や消防用設備に干渉する場所や、水道メーター上への設置などが問題視されてきた。Luupでは指摘を受けて随時対応してきたが、今回明確なポート設置基準を社内で策定するとともに、専門チームで12,000ポートの「総点検」を進めている。このうち約1,000カ所で確認作業中で、消防用設備や水道メーターなどに直接触れる部分は設置不可としている。1,000カ所の全てが設置不可ではないが、現地の状況やポートオーナーと協議の上、是正を行なっていく。

新設のポートについては必ず社内の専門部署が基準を満たしていることを確認するフローを構築した。

前述の通り、危険運転対策も強化する。2024年の特定小型原付に関連する警察庁発表の交通事故件数は338件。ここにはLUUP以外のシェアリングや個人所有も含んでいる。警察庁発表の数としてはそこまで多くはないが、一方で「事故が増えていることは事実」(Luup 岡井大輝CEO)とする。加えて、警察に取り締まられていないものの、LUUP利用者による交通ルール違反は日々指摘されている。

そのため、まずはルールの周知として交通ルールテストの内容強化と再テストを実施する。加えて、LUDASによる警告・ペナルティを実施し、GPSを使って広場走行や通行禁止道路走行、大通りの逆走などを検知し、警告・ペナルティを課していく。

LUUP 岡井大輝CEO

今回、LUDASによる対策は、都内の公園・広場走行が2カ所、通行禁止道路が6カ所、大通り逆走・逆側歩道走行が8カ所と限定的な対応となっている。GPSの精度の問題などもあり、テストの結果、比較的広い通りなどからはじめることになったため、今後東京での成果をみながら、東京以外のエリアにも対応を拡大していく。

岡井CEOは、「目先の収益ではなく、中長期的に交通安全が圧倒的に重要であると社会に示したい」と語り、今回の取り組みでLUUPにおける「交通事故ゼロ」を目指すと強調。また、今後投入予定の電動シートボードのほか、3輪・4輪で座席付きのユニバーサル車両も開発。より幅広い年齢層が使える電動小型モビリティを目指すとした。