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神戸・王子公園再整備 スタジアムやランニングコースでスポーツ促進
2025年3月19日 13:30
神戸市は、事業者公募を実施していた王子公園再整備事業について、複数施設の設計・施工を一括して行なう事業予定者を、りんかい日産建設を代表企業とするグループに決定した。アメリカンフットボール、陸上競技が可能なスタジアムなどを整備する。
王子公園は、三宮・元町の東約3kmに位置する公園で、所在地は神戸市灘区王子町2、3丁目、青谷町1丁目、面積は191,500m2(供用区域)。阪急神戸線 王子公園駅すぐの場所で、隣接地には王子動物園がある。また、神戸市の「王子公園再整備にかかる大学設置・運営事業」において、関西学院大学「王子キャンパス(仮称)」の設置が計画されている。
王子公園が供用されたのは1950年で、供用後70年が経過した施設もあるなど、全体的に老朽化が顕著で、現在のバリアフリー基準に適合していない施設もある。こういったことから、老朽化や時代の変化に対応し、誰もが気軽に憩い・くつろげるより魅力的な公園にリノベーションするため、「王子公園再整備基本方針」を策定し、事業者の公募を行なった。
事業予定者は、りんかい日産・東亜道路・内藤ハウス・梓・パシフィックコンサルタンツ・E-DESIGN特定建設工事共同企業体。「Open」「Join」「Inclusive」をコンセプトに、地域に開かれみんなが楽しく利用できる「THE OJI PARK」を整備し、新たなにぎわいを創出するとしている。
阪急王子公園駅や王子動物園、大学などの都市機能が隣接する南側に「都市×公園」の結束点「ウェルカムゾーン」を整備。阪急王子公園駅に面する溜まり空間は、待ち合わせスポットや地域コミュニティの活動拠点となる、都市の新たなシンボルとして整備する。
大学ゾーンに面する場所には、学生の歩行者空間と滞留空間が一体的につながる広場を創出。動物園ゾーンは、園内外が視覚的につながるメインゲートを整備し、賑わいの相乗効果を狙う。
六甲山系の景観を背景とした住宅地や教育・スポーツ施設が集約された住環境の北側には「まち×公園」の結束点「スポーツゾーン」を整備。誰もが気軽に立ち寄れて、親しみを感じられる開放的な広場とする。
広場には散歩道やランニングコースをはじめ、アメリカンフットボール、陸上競技が可能なスタジアムを整備し、スポーツ意識の向上や健康促進を図る。
スタジアムの外周部には過度なフェンスを設けず、地域の球技大会やお祭りなどのイベント開催時に公園と一体で利用できる計画とする。
施設利用者だけではなく、周辺居住者や学生など誰もが身近に活動を楽しめるよう、周辺地域との接続性を考慮した歩行者ネットワークを整備。特に主要動線となるシンボルプロムナードについては、王子公園駅、周辺居住地、動物、大学、スタジアム、緑の広場などすべての場所を結ぶ園路を計画している。人が溜まりやすいアプローチ部や園路の交差点には滞留空間を確保する。
景観デザインは、山と海の結節点として文化的に栄えてきた地域の歴史を継承し、高低差を有効活用した特徴的なデザインを計画。スタジアムなどでは高低差になじむ断面構成と景観形成により、周辺環境との調和を図る。また、随所に高低差を利用した段床やスロープ、法面を設ける。
夜間の景観については、歩行者ネットワークを介して園内をはじめ、園内をめぐる外灯により「光のみち」を形成し、安心・安全な歩行空間とする。外灯以外にも、植栽ごとの魅力を引き出すスポットライトを適宜配置する。
広域防災拠点としての防災機能の確保・強化に向けては、公園全体で5カ所の車両進入経路を確保。シンボルプロムナードは、救急車、消防車などの緊急車両を受け入れられる幅員と視認性を確保する。スタジアムのフィールドについても救援活動拠点として活用できるようにする計画で、臨時ヘリポートおよび物資集積スペースへ対応できる広さを確保する。
なお王子公園は、1995年の阪神・淡路大震災において、災害対応機能として自衛隊や消防応援を受け入れ、物資拠点機能、住民避難機能などを備えた広域防災拠点としての役割を果たした。