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NVIDIAとGoogleがAI協業 AI創薬やロボット開発を加速
2025年3月19日 13:09
NVIDIA、Alphabet、Googleは、エージェント型AIとフィジカルAIに関する協業を発表した。把持スキルを持つロボット開発、創薬の再構築、エネルギーグリッド最適化などを多岐にわたる分野で協業を進める。
NVIDIAが「SynthID」採用、AIプラットフォームで「Gemma」を最適化
Google Cloudは、NVIDIA GB300 NVL72ラックスケールソリューションとNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition GPUを早期採用する。NVIDIAはGoogle DeepMindのAIウォーターマーク技術「SynthID」を最初に採用する。SynthIDは、AIが生成した画像、オーディオ、テキスト、ビデオに電子透かしを直接埋め込み、AI生成コンテンツを識別する技術。NVIDIAは業界パートナーとして初の採用となる
また、Googleの軽量オープンモデル「Gemma」をNVIDIA AIプラットフォーム上で実行できるよう最適化する。これにより、NVIDIAのTensorRT-LLMライブラリを活用した高速な推論処理が可能になり、「NVIDIA Inference Microservice(NIM)」として提供される。
ロボットの把持能力向上とヒューマノイドロボット
Alphabetの子会社Intrinsicは、NVIDIAと連携し、ロボットの把持(はじ)能力向上のための開発者向けワークフローを構築する。NVIDIA Isaac Manipulator基盤モデルを活用し、開発時間の短縮と柔軟性の向上を目指す。
同時に、Google DeepMindとNVIDIAはDisney Researchと協業し、ロボット開発のためのオープンソース物理エンジン「Newton」を開発する。Pythonでデータ生成と空間コンピューティングを構築するオープンソースの開発者フレームワークのNVIDIA Warpによって高速化される物理演算エンジンの「MuJoCo」と互換性を持つ。Newtonを搭載したMuJoCoは、既存のMuJoCoのGPUアクセラレーションシミュレーター「MJX」と比較して、ロボティクスの機械学習ワークロードを70倍以上効率化させる。
また、NVIDIAは2025年3月18日にヒューマノイドロボットの技術ポートフォリオ「NVIDIA Isaac GR00T N1」を発表。事前トレーニング済みのヒューマノイドロボットで、Newtonなどの技術が活用されている。
社会的課題の解決に向けたプロジェクトと次世代インフラの構築
Google DeepMindのCEO デミス・ハサビス氏が設立したIsomorphic Labsは、Google Cloud上のNVIDIA GPUを活用し、AI創薬エンジンを構築する。
また、Xの社会的課題を解決するための研究開発プロジェクト、「ムーンショット」の「Tapestry」では、電力網のシミュレーション速度と精度向上を目指す。この取り組みは、データセンターとAIの増大需要に対応するためのエネルギー源の統合と電力網の拡大という課題に焦点をあてたプロジェクトで、AIを活用して電力網の安定性の確保を目指す。
Google CloudはNVIDIA Blackwell GPUの最新インスタンスの「NVIDIA GB300 NVL72」と「NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition」を利用者に提供する。NVIDIA GB300 NVL72はNVIDIA GB300 NVL2の1.5倍のAI性能を実現。NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwellは、AIとビジュアルコンピューティング両方のワークロードに対応する。
さらに、機械学習向けPythonライブラリ「JAX」や「MaxText」を最適化する。巨大GPUクラスター上で大規模モデルをスケーリングする「MaxText」は、数万のGPUで効率的なトレーニングを実現した。