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大阪・うめきた大規模開発 3月21日開業のグラングリーン南館を見てきた
2025年3月19日 08:00
JR大阪駅の北側で工事が進められていた「グラングリーン大阪」南館が3月21日にグランドオープンを迎える。39階建ての「パークタワー」、18階建ての「ゲートタワー」、28階建ての「サウスタワー」で構成され、55店舗からなる商業施設やホテル、カンファレンス施設などを展開する。オープンに先立ち、報道陣向けの見学会が実施された。
大阪駅・梅田駅の北側では「うめきた再開発」が進められ、1期として「グランフロント」が完成。「グラングリーン大阪」は2期とされており、24年秋に北館と公園の一部にて先行まちびらきが行なわれた。
グラングリーン大阪 南館ではパークタワー、サウスタワー、ゲートタワーの3棟の建設が進み、今回の完成で「あとは分譲マンションの建設などもあり、ひとまず7割程度の完成」(三菱地所 グラングリーン大阪室 神林祐一室長)となった。
東京ドーム1個分の「駅チカ緑地」うめきた公園
グラングリーン大阪の地区面積は約91,150m2、このうち公園の面積は約45,000m2もある。JR・阪神・阪急・大阪メトロが乗り入れ、1日200万人以上の乗降客が行き交うエリアの至近距離に、東京ドーム1個分の広さという巨大な緑地が誕生したのは、世界的に見ても珍しいという。
中心部にあるステージ「ロートハートスクエアうめきた」で開催されるイベントも多く、休日にはすでに親子連れの姿で賑わっているとのこと。神林室長は「緑がある公園との併設が、不動産価値の向上に繋がっている」といい、24年9月の先行開業から来場者が1,000万人に達し、近隣のグランフロントなどの客数も上向くなどの波及効果も見られるそうだ。
公園は既に、子供たちの歓声が響くスポットになっている。また、オフィスビルのサラリーマンがひと休みするスポットともなるだろう。
地下1階にアジア初進出となるフードマーケット
グラングリーン南館の開業とともに、地下1階に17のレストランと2つのバー、イベントスペースがある、食と文化を体験できるフードマーケット「Time Out Market(タイムアウトマーケット)」が営業を開始する。
タイムアウトマーケットは2014年にポルトガル・リスボンで創業。世界59カ国333都市で展開する地域密着型の媒体「Time Out」の情報に基づき、その土地の美味いものだけでなく文化も伝わる店づくりは評判を呼び、たちまち年間420万人が訪れる大人気スポットに成長したという。
グラングリーン大阪は、リスボン、マイアミ、ニューヨーク、モントリオールに次いで世界5カ所目となり、日本でもアジアでも初進出だ。出店店舗もバリエーションに富んでいる。
グラングリーンから2kmほど、大阪市内で2020年まで営業していた「情熱うどん 讃州」が、タイムアウトマーケットで復活する。店主の久保達也さんいわく、「コシのある麺が特徴的な讃岐うどんの製法に基づき、麺は自家製を徹底します」とのこと。国産牛の肉うどんや多彩な天ぷらなども提供する。
続いては、独創的なラーメンを提供するという「座銀 Diversity」。店長の武田和正さんは、ミシュラン星付きの『吉兆』に入社し、「その後ラーメン店の運営会社に入社したという経歴の持ち主だ。
店をモットーは「大切な人を連れて行きたい店」。牛骨だしをベースにした「牛白湯soba」、動物性食品不使用の「ビーガン醤油soba」など、世界各地からの観光客にも、最高の一杯を提供したいという。
奈良県で創業し、今や予約が取れない和牛専門の肉割烹「#肉といえば松田」は「生・煮・焼・揚・蒸」といった和食の五法を用いて、奈良本店のクオリティをコースではなく、アラカルトで楽しんでもらうそうだ。
「和牛ヘレカツサンド」は、鮮やかな和牛のビジュアルにも驚く一品。是非とも味わってほしい一品だ。
パフェ専門店「Seiichiro, NISHIZONO」は、「香り」をテーマに大阪市内・西区京町堀で店を営んできた西園誠一郎シェフによる直営店。お茶処・京都府和束町の抹茶をふんだんに使ったオリジナルのパフェは、まるでアート作品のよう。食べる際に崩すことで、存分に香りを味わえるそうだ。
ほかにもさまざまな店舗がある。店内の案内図などでじっくりと品定めをして回ろう。
タイムアウトマーケット以外にも絶品料理がたくさん
絶品のグルメがあるのは、タイムアウトマーケットだけではない。各フロアにある中から、オススメの店舗を紹介しよう。
名古屋で「食べるまで3時間待ち」という爆発的な人気を誇るうなぎ料理店「うな富士」が、関西に初出店を果たした。各地の養鰻場で丁寧に飼育した「青うなぎ」を店頭でさばき、1,000℃の高温で焼き上げる。表面はカリッと、身はふわふわのうなぎは「うな富士」でしか食べられないといってよく、また下処理・焼き上げが丁寧なせいか、肝がここまで美味しいことに驚く。
うな富士は最近は海外の人にも高評価を得ており、グラングリーンへの出店で、関西国際空港からの特急列車が停車する大阪駅・うめきたエリアを舞台に、世界に知られていくことになりそうだ。
「炭」と「ハーブ」と「スパイス」をモチーフとしたイタリアンレストラン「BRIANZA」が、東京・大手町に続いて大阪に出店した。
この店では、トリュフ料理やオマールのパスタなどを楽しめるディナーコースや、10種類以上の日替わりサラダや和牛・「TERIYAKIチキンの花束生春巻き」などを選べるランチコースなどをいただける。さらに、ドリンクの品ぞろえも豊富だ。
BRIANZA OSAKAは店内からの眺望も良く、席によってはうめきた公園、グランフロントまで一望できる。もし窓際の席が空いていれば、景色と味をじっくり堪能したい。
ショッピングの「要・注目店」
飲食以外でも、ぜひ立ち寄っておきたい店舗にも数多く出会ったので、オススメ店舗を紹介していこう。
グラングリーン南館のナイキ直営店は、国内最大級の面積を誇り、1フロアが広い!
メンズ・ウィメンズのスポーツウェア、シューズの壁展示などのフロア展示は壮観で、ナイキ本社の方も「他の店舗は2フロア、3フロアに分散しているので、1フロアで、ここまで平面展示しているのは見たことがない」と、驚いている様子だった。1フロアのため商品の比較も容易で、うめきた公園まわりを会社の休憩時間中にランニングする際のウェアやシューズも、きっと良いものが見つかるだろう。
また、シューズやシャツ、キャップなどをカスタマイズできる「Nike By You」を、関西で初めて展開する。
機能性の良いシャツやシューズなどに合う柄や、自分の名前を入れるなどのカスタマイズができ、Tシャツなら早くて約30分でプリントが仕上がるという。世界で1つだけの商品を作れるサービス、子供や家族の分を作ってプレゼントするのも良いだろう。
ほか、「New basic」をコンセプトにしたファッションブランド「Theory」、デザイン性に優れた商品を2フロア展開する「ZARA」、フランス発の「agnès b.」などの店舗もあり、ウィンドウショッピングだけでも飽きない。
グルメにショッピングに、さまざまな楽しみ方ができるグラングリーン大阪 南館。ひと休みするときは、棟のあいだの中庭を散策してみることをオススメする。
建物の間には風が吹き抜け、うめきた公園でそよぐ風の心地よさを感じることができるはずだ。まずは、「巨大な緑地を併設した駅チカビル」というグラングリーン大阪を、ゆっくり目に眺めてみても良いかもしれない。
オフィスラウンジ「sorappa」&「コングレスクエア」
商業施設を見てきたが、ここからはオフィス、MICE施設などのビジネスエリアや、ホテルなどについて紹介する。
24年秋に先行開業したグラングリーン大阪 北館には、「jam base」をはじめとするビジネスエリアがあり、すでにかなりの区画が埋まっている。
そして南館では、働く人々のライフスタイルを変えるビジネスエリア「sorappa」が誕生する。施設内に健康をチェックするエリアがあり、体に優しいメニューを提供するカフェやレストランも併設、イベントやアプリなどによる連動で、継続して楽しくヘルスケアを行なえる仕掛けがあるという。
同フロアには会議室やコンベンションセンターもあり、専用エレベーターの上階にもオフィスが入居する予定。施設の方によると「北館で働く方も、こちらに歩いてくることが多くなるだろう」とのことだ。ただし、このエリアのカフェやダイニングは、ランチタイムの営業(11時～14時)がここで働くオフィスワーカーのみ、一般客の利用は17時～22時になることを、留意しておきたい。
なお「sorappa」という名前は、空や原っぱのような空間を目指して命名されたという。開放的な雰囲気でビジネスのアイデアやイノベーションが生まれそうなsorappaに足を踏み入れてみよう。
タニタや京セラの機器で健康状態を計測できるオフィスラウンジ
オフィスラウンジにはウェルビーイング向上スペース「SLOW AND STEADY」が設置されている。様々なブースで最先端ヘルスケア製品や軽運動・VRフィットネスなどを体験できる。例えば、タニタの最新機器で体力レベルを計測できる「私たちメンテナンス」、京セラの仮眠起床AIシステム「sNAPout」、ワコールの3Dボディスキャン「SCANBE」など。会社のお昼休みに立ち寄り、健康状態を気軽に計測できる。
併設のカフェ「sorappaカフェ」では、体に優しいドリンクやグルテンフリーのケーキなども取り揃えている、また、アルコールも充実しており、「朝の9時から樽ワイン提供」も可能とのことだ。
sorappaエリアの北端にあるsorappaダイニングでは、昼間は「カルシウム不足」「カリウム不足」などさまざまなテーマで作られたランチメニューがあり、健康診断の結果を意識しながら食事管理ができる。
なお、注文は専用アプリから。ランチ営業は就業者のみ利用可能なので注意したい。
ジェンダーレストイレ設置の「MY FAV Restroom」
sorappaエリアの共用トイレは5カ所。バリアフリートイレに手洗器を備えた、個室完結型オールジェンダー対応となっている。それぞれ使用中の場合はランプが点灯し、そのブース以外のトイレを使用するシステムとなっている。
またデザインも、閉塞感のある行き止まりではなく、ガラス壁を動線に設置することで、視線の抜けを確保して入りやすい環境を作っているという。
ホールや会議室を備えるMICE施設「コングレスクエア」
このビジネスエリアがある南館・4階には、「コングレスクエア グラングリーン大阪」が入居している。
エリアは主に、「アネモネ」「ヒヤシンス」などの名前がつけられた会議室12室と、広さ740m2、天井高7mの「グランホール」などの貸ホールエリアからなる。大阪駅・梅田エリアには大規模なコンベンションを行なえる施設がなく、今後は学会・展示会などのMICEに活用されていくだろう。
大阪駅直結のラグジュアリーホテル「ホテル阪急グランレスパイア大阪」
グラングリーン大阪に、阪急阪神グループが手掛ける全482室のラグジュアリーホテル「ホテル阪急グランレスパイア大阪」が誕生した。
「レスパイア」というブランド名は、静かな癒し(REST)、明日への活力(INSPIRE)を提供するという意味が込められている。梅田エリアにはすでに「ホテル阪急レスパイア」(ヨドバシ梅田タワー内)があり、そこに“グラン”とついた同ホテルは、その上位にあたる。
ホテル阪急グランレスパイア大阪へのアクセスは、JR大阪駅・うめきた地下口から徒歩4分。関西国際空港から直通する特急「はるか」、大阪万博へのアクセス列車「エキスポライナー」などが停車する「うめきた地下ホーム」の直上にある。また神戸線・大阪環状線などが発着する駅舎からの連絡通路も建設が進んでおり、4月上旬の開通でアクセスがグッとよくなるだろう。
南館の3棟のうち、サウスタワーに入居、フロントは5階にある。入口は1階・2階にあり、2階からは「agnès b」「Royal Garden café」などのテナントの奥にあるエレベーターから上がっていく。
ロビーには芸術家・真弓将さんの書道をバックグラウンドにしたアート「花鳥風月」があり、アクリル絵具で書き上げられた荒々しいタッチが目を引く。ほか、観光ガイドや大阪の歴史、外国の書籍などが揃い、緑を基調とした癒しのアクアリウムも。なお、チェックイン・チェックアウトは自動精算機で行なう。
海まで一望できる最上階のクラブフロア
最上階の27階とその下の26階はクラブフロア(スイート)となっており、2名1室で8室しかない「クラブジュニアスイート」(価格は目安で242,600円)のほか、「クラブエグゼクティブツイン」「クラブデラックスツイン」「クラブコーナーツイン」「クラブデラックスダブル」と4タイプのスイートルームがある。
「クラブジュニアスイート」は幅130cm×長さ196cmのベッドが2台あり、ベッドルーム・リビングルームがセパレートとなる。
体中を覆うようにシャワーが拡がる「オーバーヘッドシャワー」、「清掃不要」「連泊時のアメニティ交換だけ必要」などの要望をオンラインで送れる枕もとのタブレット、その日に旅先で撮った動画をスマートフォンと接続して迫力の音声で楽しめるBluetoothワイヤレススピーカーなどはクラブフロア共通だ。
各室とも窓の外を約100mの高さから一望できる。ホテルの方のオススメは「淡いグラデーションがついたカーテンから差し込む夕日・朝日を眺めること」だという。
また、モニター画面からランドリーの空きを見ることができたり、「万が一の災害時にも安心して過ごしていただけるように」との想いから、3日分の非常食を部屋に常備しているのも、嬉しい心遣いだ。
最上階には、クラブフロア宿泊者限定のクラブラウンジがある。広く取られた窓からは淀川下流方面を一望でき、大阪湾の河口部や海まで見渡すことができる。
景色を眺めながら軽食や茶菓子をいただいたり、日本酒やビール、ワインやウイスキー・ブランデーをいただいたり。クラブラウンジの方によると「他の系列ホテルからも取り寄せた」といい、かなりレアな銘柄まで揃っているのが驚きだ。
なお、クラブラウンジは10時～21時(ラストオーダー20時30分)の営業。「チェックイン前からゆっくりできる」のは大きな魅力だろう。17時30分以降は12歳未満は利用不可。
6階～25階のスタンダードは、スイートより少しベッドがコンパクトで、グラデーションのカーテンやスピーカーがないなどの違いがある。建物の四隅にある、1フロアに4室設置されている「コーナーツイン」には、2面に渡って窓がある。
また、6階には全宿泊者が利用できるラウンジがある。サービスや窓から見える景色はクラブラウンジとの違いがあるが、それでも上質感を備えている。
グランレスパイアに併設「南青山の人気レストラン」
朝食を始めとした食事は、5階フロアのオールデイダイニング「MAISON VERTE(メゾン ヴェルテ)」がオススメだ。
このレストランは、予約が取れないことで知られる東京・南青山のモダンフレンチ「L'AS」の新業態で、ミシュランガイド東京2024年度版にビブグルマンとして掲載されたL'ASシェフの兼子大輔氏がメニュー監修を行なっているという。
多彩なランチメニューや「ヴェルデ」、大阪出店のために開発した「TAKOYAKIマルガリータ」などのオリジナルカクテルなど、味わえるメニューはMAISON VERTEならでは。もちろん、「L'AS」のスペシャリテ(店の看板料理)である「フォアグラのクリスピーサンド」も提供される。
またこの店は、宿泊者向けの朝食サービス提携店でもある。ビュッフェスタイルの店内では焼き立てのパンや炊き立てのごはんとお供、目を奪われる豊富な料理が提供され、朝から迷うばかりだ。
ホテルがある南館・サウスタワーから連絡通路を渡ると、こちらも同時に新規開業する「うめきた温泉 蓮」(ゲートタワー 3～4階)に移動できる。
大浴場やサウナ・11種類の岩盤浴・ジムなどを擁する「駅チカのスパ施設」には、クラブフロアの宿泊客なら1泊あたり1回利用できるという。また室内のテレビからは詳細な施設案内を見ることができるので、是非立ち寄りたい。
うめきた温泉 蓮については、別記事で詳しくお伝えしたい。
ニューヨーク・シカゴが「心の師匠」 三菱地所の「緑ある街づくり」
グラングリーン大阪の内覧会に先立って、三菱地所 グラングリーン大阪室・神林祐一室長が説明を行なった。
神林室長によると、2024年秋の「先行まちびらき」から約半年で、約1,000万人を超える人がグラングリーン大阪に来場したという。また、周辺のグランフロントなどへの来場者も増加したといい、「グラングリーンがハブとなり、周辺地域を繋げていることが数字の面でも見えてきているのではないか」と語った。
また「公園が街にあることで、不動産価値も上がる」とし、ニューヨーク・ブライアントパークやシカゴ・ミレニアムパークを「心の師匠」と呼び、緑豊かな街づくりを心掛けてきたという。
2027年には分譲マンションなどの完成で、街の全容が形作られる。どのような賑わいを見せるのか、期待しつつ見守りたい。