ニュース
エレコム、世界初「ナトリウムイオンモバイルバッテリー」 -35℃でも動作
2025年3月13日 12:08
エレコムは、世界初となる「ナトリウムイオンモバイルバッテリー」を3月中旬より発売する。型番は「DE-C55L-9000」で、ブラックとホワイトの2色を用意する。エレコムダイレクトショップで先行販売し、直販価格は9,980円。先行販売限定で8,980円となる。
高い安全性を特徴とし、電池が損傷しても発火しにくい。リチウムイオン電池との比較では、電池に釘を刺すと直ぐに発火するリチウムイオン電池に対し、ナトリウムイオン電池は釘を刺すような損傷を与えても発火しにくいという。コバルトやリチウムを使用しないことから、環境負荷も低いとする。
また、使用可能な温度範囲が広く、一般的なリチウムイオン電池が0~40℃での動作を保証しているのに対し、ナトリウムイオン電池では、-35~50℃までの温度(放電時)で動作する。特に寒冷地で強みがあり、スキー場などの寒さでスマホの電池残量が急速に減った場合でも充電できるという。充電サイクルも長寿命で、リチウムイオン電池に比べて10倍となる5,000サイクルを誇る。
容量は9,000mAh。インターフェイスはUSB Type-CとUSB Type Aを備える。USB Type-Cは最大出力45W、最大入力30W、USB Type Aは最大出力18W。USB PD、PPSに対応する。本体サイズは87×31×106mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約350g。カラーはブラックとホワイトの2色が用意される。ケーブル類は同梱しない。
安全性は高いが3倍の大きさ重さが課題
ナトリウムイオン電池にはデメリットもある。リチウムイオン電池に比べ、3倍重く、3倍大きい。これについてエレコムでは「もし今から開発を行なえば2倍の重さ、大きさに抑えられると思う」としており、開発が進めばより軽く小さくしていくことは可能だという見解を示した。ナトリウムイオン電池の開発を行なっているのは中国の企業。
現時点ではPSEマークも取得していないが、現時点でナトリウムイオン電池に対する法整備が進んでいないため、取得ができない状況。PSEマークを取得するのと同等の試験は行ない安全性は担保しているが、いずれ法整備がされた時点でPSEマークを取得するとしている。
また、小型充電式電池のリサイクルを行なうJBRCの対象外であるため、量販店などの電池回収BOXは現時点で利用出来ない。将来的には回収可能になる可能性もあるが、現時点でナトリウムイオン電池を廃棄したい場合は、地方自治体に個別に問い合せるか、エレコムのサポートセンターに連絡することで回収してもらえる。また、エレコムデザインショップの店頭でも回収を行なう。ただ、外見からはリチウムイオンなのかナトリウムイオンなのかは判別しにくいことは課題だという。
ナトリウムイオン電池は、その安全性の高さや環境負荷の低さから、EVに採用された例もあるが、エネルギー密度が低いことから長距離走行に向かないなどの課題もある。エレコムでは、将来的には安全性の高さとエネルギー密度を両立する全固体電池を採用するのがゴールだとしているが、当面はナトリウムイオン以外にもリン酸鉄リチウムイオンなど「リチウムに置き換わる電池を増やしていきたい」としている。