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「ジャイアンツタウン」新球場を見てきた 普段は入れない選手エリアも

ジャイアンツタウンスタジアム グラウンド全景

プロ野球「読売ジャイアンツ」ファーム(二軍)の新しい本拠地「ジャイアンツタウンスタジアム」(略称:Gタウン)が3月1日、東京都稲城市にオープンする。

2024年までは、現在の場所から1kmほど東にある「読売ジャイアンツ球場」がファームの本拠地となっていた。2025年からは、桑田真澄監督率いる二軍は「ジャイアンツタウンスタジアム」が本拠地、読売ジャイアンツ球場は三軍の練習場となる。阿部慎之助監督率いる一軍は、引き続き「東京ドーム」(文京区)を本拠地とする。

ジャイアンツタウンスタジアム 外観

新球場のオープン初日となる3月1日には、読売ジャイアンツ対東京ヤクルトスワローズのファーム同士の練習試合が開催される。そして、3月15日の対東北楽天ゴールデンイーグルスとの一戦を皮切りに、25年のイースタン・リーグ(ファーム・二軍のリーグ戦)が開幕。ジャイアンツのファームは9月末まで年間で約100試合、うち約50試合はこの球場で戦う。

ファームの試合は、一軍を目指すプロ野球選手たちが熱戦を繰り広げるとあって、白熱した試合展開は見ごたえがある。何より、一軍の試合よりチケットがお手頃で、いずれスターになるかもしれない若手選手の応援に、足しげく通う方も多い。

さて、観戦環境は快適なのか? この記事では、オープンに先立って報道陣に公開された「ジャイアンツタウンスタジアム」の様子を伝える。座席やスタグル(スタジアムグルメ)を検証し、さらに普段は選手・関係者しか立ち入れないベンチやロッカールーム、真新しいグラウンドにも、足を踏み入れてみた。

アクセスは新宿から40~50分と意外と便利

「ジャイアンツタウンスタジアム」の最寄り駅は京王電鉄相模原線「京王よみうりランド駅」で、新宿からだと30~40分。区間快速だと直通、特急だと「京王稲田堤駅」で各停乗り換えて2駅だ。

京王よみうりランド駅
京王よみうりランド駅からのアクセス(公式サイトより)

駅からは、小田急バスの「京王よみうりランド駅発 寺尾台団地ゆき」で、最寄りバス停「TOKYO GIANTS TOWN」に到達できる。また、小田急線 読売ランド前駅からも、寺尾台団地ゆきで同バス停にアクセス可能。

試合日・イベント開催日には、京王よみうりランド駅~ジャイアンツタウンスタジアム間の無料シャトルバスが出るという。

駐車場は約120台を準備している。普通車の駐車料金は、イースタン・リーグ開催日が1,500円、イースタン・リーグ/イベント非開催日が1,000円(G×DOMDOM利用で無料)。イベント開催時はイベントにより異なる。

徒歩でも1km少々で到達できるものの球場は高台にあるため、「約300段の階段のぼり」を要する。かなりの急坂なので、上り下りには相当な注意が必要だ。

徒歩の場合は、300段の階段をのぼる必要がある

各シートに座ってグラウンドを眺めてみた グッと改善された観戦環境

ジャイアンツタウンスタジアムは、内野席・外野席や、選手に近い位置にあるシートなど、各種座席が揃っている。料金は500円~3,300円(週末・特定日の場合)と、東京ドームで開催される一軍の試合よりかなりおトクだ。

ジャイアンツタウンスタジアム 席種・座席位置(公式サイトより)

座席の様子をざっと紹介していこう。グリーン基調のシンプルな座席にドリンクホルダーが付き、最前列にはフードを置けるようなテーブルも設置されている。

1塁側内野席

エキサイトシートは、1塁側ならファースト・ライトの選手や、ベンチに戻ってくるピッチャーを間近で見ることができる。ただ、グラウンドに近く迫力あるプレーが見られる分、ファールボールも飛んできやすいので注意が必要だ。

エキサイトシート

ライト外野席は、ボールが目の前の黄色いポールを越えればホームランとなる。この席なら、未来のスター選手のホームランボールをキャッチできる可能性も高い。

ライト側外野席からの眺め。黄色いポールを越えるとホームラン

新球場の改修ポイントとして、「バリアフリーエリアの拡大で、車いすでも外野で観戦できるようになった」という。新球場の車いす席はライト側にあり、比較的ラクに到達できる。

車いす通路

レフト側のスペースは、座席ではなく芝生になっている。小さい子供がいる家族連れなら、レジャーシートを敷いて、ゆっくりゴロゴロと野球観戦するのも良いだろう。

芝生の後側には木のベンチもあり、少し高い位置から試合を眺めることができる。座席だと試合に飽きた子供が窮屈に感じるときもあるため、寝転がって走り回れるスペースがあるレフト外野席は、初めての家族での野球観戦には良いかもしれない。

レフト側外野席は芝生になっている
ベンチで腰掛けることができる
レフト外野席からの眺め

3階には客席が設定されていないスペースが広く取られ、植栽などの緑が心地よい自由通路がある。将来的にはこのスペースも座席になるかもしれないとのこと。報道陣からは「眺めがいいので、少しお値段の張るボックスシートなどになるかも?」との声もあり、楽しみに待ちたい。

3階の植栽とベンチ
3階からグラウンドを眺める

間近でバッティング練習・ピッチング練習を見られる通路

客席だけでなく後ろ側の通路にも、ファンを楽しませる仕掛けが満載だ。

後ろ側の通路は、不動のエース・戸郷翔征投手やホームラン王・岡本和真選手など、ジャイアンツのスター選手の若かりし頃の写真が飾られている。いま二軍のグラウンドにいる選手も、ファンの声援で力を発揮すれば、いずれ一軍のスター選手に……そう考えると、応援にも力が入るだろう。

いま一軍で活躍する選手の写真・壁画が飾られている
往年の名選手の名シーンを見ることができる

そして、通路から斜め下を覗くと、ブルペン・バッティング練習場が見える。試合観戦の合間に、「次のピッチャーは誰が出るの?」と予測しながら見に来るのも良いだろう。

通路の一角からは練習スペースが見える

野球観戦と言えば「スタグル」「ショッピング」 ドムドム新業態も

ジャイアンツタウンスタジアム内には、飲食店が2店舗、グッズショップが1店舗ある。いずれもオリジナルメニュー・オリジナル商品を取り扱っており、美味しいだけでなく話題性・SNS映えも十分! 是非とも立ち寄っておきたい。

「丸ごと蟹バーガー」など驚きの新作を次々と送り出し、世間の度肝を抜くハンバーガーチェーン「ドムドムバーガー」が、ジャイアンツタウンスタジアムと公式にコラボレーション。新業態「G×DOMDOM(ジー・ドムドム/ジードム)」を出店する。

G×DOMDOM 外観

ジードムでは、チームカラーの黒に合わせた竹炭入りの真っ黒なパンズで、ハンバーガーを提供する。

オリジナルメニューとしては、ドムドムの王道メニュー「ビッグドム」のジャイアンツ仕様「ビッグジードムバーガー」、黄色い厚焼き玉子の食感が良い「手作り厚焼きたまごバーガー」など。ほか、カレーやオリジナルのクラフトビールなどを提供している。

内覧会ではオリジナルメニューとともにマスコットキャラクター「どむぞうくん」が展示されていた
ビッグジードムバーガー(1,000円)

ジードムは、試合がない日も通年で営業予定。原則として営業時間は11時30分~17時30分、定休日は毎週月曜日。試合・イベント開催日により異なる。

もう1つの飲食店は、北海道旭川市に本店を置くラーメン「山頭火」。野球の試合を眺めながら山頭火のラーメンを食べられる……なんて贅沢! 「冷たいらーめん」「汁なしらーめん」などのオリジナルメニューも登場するとのこと。

山頭火 外観
山頭火 メニュー

山頭火は原則として、試合開催日・週末の営業。また、7回裏で閉店するため注意が必要だ。

グッズショップ「GIANTS TOWN STORE」では、選手名入りのタオルやレプリカユニフォームなどの応援グッズを販売。ジードムのオープン記念でコラボレーションした、ドムドムバーガーのイメージキャラクター「どむぞうくん」のぬいぐるみも購入できる。

GIANTS TOWN STORE
「どむぞうくん」コラボぬいぐるみ

選手エリアに潜入 ブルペン・バッティング練習場・ロッカールーム

ここからは、通常の野球観戦では入ることができない選手エリアになる。

このエリアには、次のピッチャーが登板に向けて準備を行なう「ブルペン」や、打者が準備を行なう「バッティング練習場」が、それぞれ2面ある。少しスペースに余裕があり、待ち時間の間にできるトレーニング機器の設置などを検討しているという。

ブルペン
バッティング練習場

ロッカールームはチームカラーのオレンジ色で統一され、新球場ならではのキレイなシャワールーム・サロンなども完備。以前の「読売ジャイアンツ球場」はスペースが狭く、老朽化が目立っていたといい、選手には嬉しい環境改善だろう。

ロッカールーム
シャワールーム
選手サロン
1塁側ベンチ

またこのエリアでは、100年以上の歴史があるジャイアンツのこれまでの歩みや、終身名誉監督・長嶋茂雄氏の歩みなどを展示するコーナー、チームのフィロソフィー(指針)なども大きく展示されている。これからのジャイアンツを担う選手たちに、球団の歴史と伝統を感じながらプレイしてもらう意図があるそうだ。

過去に日本一に輝いた際のシーン。写真は阿部慎之助・現一軍監督
チームのフィロソフィー。「球界の紳士」としての心得が記されている
長嶋茂雄氏の展示

グラウンドの人工芝の感触は? 走塁してみた

ジャイアンツタウンスタジアムは、本塁から中堅(センター)の距離は122m、両翼(ライト・レフト)は100m。フェンスの高さも含めて、一軍の本拠地である東京ドームと同じ大きさだ。

グラウンド全景。ホームベースから眺める

またグラウンドの芝には、スポーツ用人工芝「ハイブリッドターフ」が採用されている。素材自体が土に似た感触で、かつ保水力に優れているため夏場の芝の表面温度を抑え、選手の体への負担軽減が期待できるという。

さっそく、筆者がベースを一周、さらに外野へ走ってみたところ、つま先にしっかりと力がかかり、かなり快適な走り心地だった。写真で、選手・関係者以外は立ち入れないグラウンドの雰囲気をご覧いただきたい。

1塁からの視点
2塁からの視点
3塁からの視点
マウンドからの視点
センターからの視点
ネクストバッターズサークル

「東京ジャイアンツタウン」未完成 今後はどうなる?

新球場「ジャイアンツタウンスタジアム」がある稲城市南山地区では、球場を中心とした約76,000m2という広大な敷地を活かした「東京ジャイアンツタウン」(TOKYO GIANTS TOWN)が建設途中で、2027年には併設の水族館・飲食店エリアが完成予定だという。いまも球場の外野席横では、クレーンやショベルが忙しく動いている。

東京ジャイアンツタウンの概要 ホームページ資料より

また周辺には、遊園地「よみうりランド」や温浴施設「花泉の湯」などがあり、この一帯は「ジャイアンツのファームを中心としたボールパーク・アミューズメントパーク」に変化していくだろう。つまり2025年3月現在、このエリアは「球場以外は未完成」。まだまだ楽しくなっていく途上にある、と言える。

ファームの選手たちは、「一軍昇格」と選手生命をかけて、好プレーを見せてくれるだろう。そんなプレーを快適な座席で、ジャイアンツの歴史を学びつつ、美味しいものを食べながら観戦できる、ジャイアンツタウンスタジアムの今後に期待したい。