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セブン銀行ATM、顔認証で手ぶら入出金できる「FACE CASH」

セブン銀行は、全国のセブン銀行のATMで顔認証で現金の入出金・残高照会ができるサービス「FACE CASH」の提供を開始した。サービス開始時点で、セブン銀行および静岡銀行の口座が対応している。

2023年9月にサービス開始された「+Connect」の新機能としてFACE CASHを追加した。+Connectはあらゆる手続きや認証を可能とするサービス。これまで、口座・アカウント開設、住所・電話番号の変更受付、在留期限管理といった手続きに対応してきた。

FACE CASHのコンセプトは「手軽で・簡単」「安心・安全」「新しい金融体験」とし、従来のキャッシュカード型、スマートフォン取引よりも高セキュリティで手軽としている。事前に顔登録さえ済ませてしまえば、キャッシュカードやスマートフォンが手元になくても登録した本人のみで現金の入出金・残高照会ができる。現時点では1回の出金上限を10万円に設定しているが、今後の運用状況に応じて上限額の引き上げも検討するとしている。

「あったらいいなを超える」体験を提供する
キャッシュカード等を持たず、本人だけが保持する生体認証を活用
UI/UXは「シンプルで使いやすい」を目指した

セキュリティ対策もこれまでのキャッシュカードやスマートフォン型と比べて強固で、紛失や盗難、なりすましによる入出金を難しくしている。顔認証技術にはNECと共同開発した「Bio-IDiom」を搭載。米国国立標準技術研究所(NIST)のベンチマークテストで高評価を得た技術を用いている。

写真やお面、タブレット端末によるなりすましでの現金引き出しを防ぐため、ランダムに指示された顔の動作を行なうことで認証するといった対策も実装。さらに、24時間365日稼働の有人監視センターを活用し、不正の兆候が見つかり次第、即座に通報され、架電、ATM休止、警備員が出動するといった対応がとられるという。

FACE CASHによる各種取引は24時間365日利用可能で、日本全国の第4世代ATMで利用できる。第4世代ATMは同社の最新モデル。全国で約27,000台以上のATMを導入しているが、このうち26,000台が第4世代として稼働中。3月末にはすべてのセブン銀行のATMが第4世代に置き換わる予定としている。

顔情報は全国の第4世代ATMで登録できる。また、初回のみキャッシュカードや携帯番号が必要。登録が完了すると、次回以降はキャッシュカードが不要となり、顔認証とパスコード等を入力することで現金の入出金ができる。引き落としまでにかかる時間は通常のキャッシュカードが約40秒、FACE CASHは約1分かかるとして、今後は認証時間の高速化・改善も検討している。

トップ画面の「各種お手続き」から右上の「FACE CASH(顔認証登録)」から登録する
キャッシュカードを読み込んだ後、顔情報の登録が始まる。今回はデモ機なので、カメラの背後に他の人が映り込んでも登録ができるが、実際は他の人の顔が写り込んでの登録や引き落としはできない。
「またばき」「笑顔」「右を向く」といった指定された動作を何度か繰り返す。その後、パスワードや携帯番号など基本情報を登録して完了
登録後は、「FACE CASH」という選択肢が追加されているため、ここから顔認証での取引が可能になる

認証精度については、加齢により顔付きが変わった場合でも認証できるとしているが、精度が落ちた場合については顔の再登録が可能。また、メガネの種類などを変えても問題なく認証できるとしている。

サービス開始時点では静岡銀行とセブン銀行のみが対応。静岡銀行は構想段階から共同で開発を進めてきたとし、今後は他の金融機関にも導入を広げる方針。