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ロボット100台をデジタルツインで制御 ミッドタウン八重洲
2025年1月17日 18:35
三井不動産とNTT東日本は、2025年1月より東京ミッドタウン八重洲4・5階において、ローカル5Gを活用した大規模複合施設向けデジタルツインの実証実験を開始した。スマートビルディングの実現や新たな街づくりに向けたサービス提供をめざす取り組み。
国内で類をみない取り組みとして三次元点群データと画像データを組み合わせたデジタルツインをクラウド上に構築。施設内のデリバリーロボットやARナビゲーション・プロモーション等のマルチサービスへ活用し、施設運営のDX化を推進する。
ローカル5G環境下では、膨大な画像データを素早く処理することが可能で、高精細な三次元点群データと画像データを組み合わせたデジタルツインを短時間でクラウド上に構築可能になる。
デジタルツインはスマートフォン等による簡易な更新が可能なほか、VPS(Visual Positioning System = 画像情報を利用した位置特定システム)を利用した位置測位も可能なことから、衛星測位システムの電波が届きにくい屋内でも精度の高い位置特定が可能になる。これらをふまえ、実証ではデジタルツインのマルチサービス活用における構築方法や更新性などの課題等を整理・解決していく。
取り組みの一つは、「クラウド接続型デリバリーロボット」の導入。従来のように個々のロボットで頭脳を持つのではなく、クラウド上で移動制御等を行なう仕組みで、デリバリーロボットはクラウド上のデジタルツインを地図として用い、VPSによる位置測位を行なうことで自身の現在地を正確かつリアルタイムに把握できる。デジタルツインを更新すれば、即座に新しい経路も反映される。
互いの位置を把握した上での移動制御も可能で、建物内で100台規模のデリバリーロボットを集中制御することも可能になる。この際、ロボットは高精細な画像をリアルタイム電送する必要があることから、大容量の転送に適したローカル5G環境を有効に活用できる。
こうしたデリバリーロボットを、建物内のセキュリティやエレベーター制御システムと連動させることで、施設内の飲食店からオフィスワーカーへスムーズな配送を実現する。
その他、クラウド上に構築したデジタルツインを活用し、来館者を目的地までスムーズにナビゲーションする実証も予定。さらに、AR(拡張現実)上で館内店舗の商品紹介やクーポンを表示するプロモーションを行なうなど、来館者への新たな施設体験を創出する。
AR表示するデバイスとしては、スマートフォンやタブレットだけでなくNTTコノキューデバイス製XRグラス「MiRZA(ミルザ)」を活用。XR(クロスリアリティ)とデジタルツインとの連携も検討・実証する。
クラウド上に構築する三次元点群データと画像を組み合わせたデジタルツインは、安価で汎用的なカメラによる位置測位が可能であることが最大の強みとし、屋内だけでなく屋外に拡張することも容易になる。これによりシームレスに街全体のデジタルツインを構築できる。
将来的には人材不足が課題であるビル管理への活用や、街全体にデジタルツインを拡張し、高精度シミュレーションによる人流分析や災害対策への活用などを視野にいれている。