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清水建設、不要ユニフォームを土壌改良材に再資源化 14万着・60トン

清水建設は、不要になった作業用ユニフォームを土壌改良材として再資源化する取り組みを開始する。廃棄に伴い発生するCO2の削減を図る。

清水建設は24年11月から新・旧の作業用ユニフォームの交換を進めており、処分するユニフォームが膨大な量に及ぶことから再資源化を検討。衣類の再資源化に取り組むスタートアップ・クレサヴァの技術「CIRCULAR FARM」に着目し、繊維から製造する土壌改良材の効能や安全性を検証したうえで、同社にユニフォームの再資源化を依頼する。

土壌改良材は、土の通気性や保水性の改善、微生物の多様化・増殖の促進など、植物の生育に適した土壌を育むもので、農地や林地などで広く使用されているという。

再資源化の第1弾として、作業用ユニフォームのデザイン・機能の一新に伴い回収する約14万着、60トンの旧ユニフォームを対象に実施。以後、年間で約3万着、15トン程度発生する着古したユニフォームも再資源化する。

手順は、不要になった作業用ユニフォームを従業員から回収し、産廃処分業者にて破砕。破砕したユニフォームをクレサヴァに引き継ぎ、ファスナーやボタンなどの付属品を分別回収後、炭化処理される。炭化処理の過程で、化学繊維などに含まれる有害物質やマイクロファイバーは、熱分解により無害化されるという。この炭化物を原料に土壌改良材が製造される。

炭1トンから10km2近くの農地や林地に散布可能な土壌改良材が製造されるが、清水建設の旧ユニフォームからの炭の焼成量は炭化処理で約8トン、以降、毎年約2トンを見込む。また、炭化処理の過程でCO2が発生するが、クレサヴァの試算では焼却処分に比べてCO2発生量が約80%削減できる。

環境省の調査(令和4年度循環型ファッションの推進方策に関する調査業務)では、国内では年間79.8万トンの衣服が新規に供給される一方、73.1万トンが手放され、一部は再利用されるものの48.5万トンが廃棄されている。このうち再資源化されるのは5%程度で、47万トンの衣服が焼却・埋め立て処分されており、日割りにすると1,200トンに達する。

こういった現状を踏まえ清水建設は、不要になったユニフォームの回収・再資源化を徹底し、CO2の発生抑制を図る。将来的には清水建設が植林を進めている林地や子会社が運営する菜園などでの土壌改良材の有効活用、炭の建材化などにより、グループ内でのユニフォームの完全リサイクルを目指す。