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米政府、AI半導体に新たな輸出規制 NVIDIAは反発
2025年1月13日 23:12
米国のバイデン政権は13日(米国時間)、AI半導体の新たな輸出規制案を発表した。強力なAIシステムによる大量破壊兵器の開発や強力なサイバー攻撃など、「国家安全保障上の重大なリスク」を悪化させる可能性があるとし、AI普及に関する暫定最終規則(Interim Final Rule on AI Diffusion)をまとめた。
AI向けの半導体の輸出について、対象国を3つのカテゴリに分類し、国や地域のリスクを勘案した輸出制限を行なう。
このうち、日本を含む18の主要な同盟国へのチップ販売には制限を適用せず、AI半導体の大規模購入が可能となる。
新たに制限が設定されるのは、同盟国と懸念国以外の国や地域。多くの国において、先進GPUは1,700基本までライセンス不要で、国家によるチップ購入上限数にはカウントされない。チップ注文の多くはこのカテゴリに該当し、特に大学、医療機関、研究機関など、問題のない目的で使う機関が相当する。
これらの国の企業でも、セキュリティ要件を満たすことでより多くの先進GPUに相当する演算能力を導入できる。一方、当該国を経て懸念国への転用されることを防ぐため、数の管理を行なう。
中国などの懸念国(country of concern)においてはすでに輸出規制がある。加えて、先進的なAIモデルの技術移転の防止も新たに決定。セキュリティ基準も設定する。
なお、米国では1月20日にトランプ新政権が始まる。バイデン政権末期に発表されたこの規制に対し、AI半導体を代表する企業のNVIDIAは反論する声明を発表している。
NVIDIAは、「米国の技術を基盤とするAIの採用は、国内外の産業の成長と機会を促進している」としながら、「バイデン政権は、前例のない誤った『AI Diffusion』規則により、世界的なイノベーションと経済成長を妨げる恐れがある」と言及。「『反中国』政策という名目だが、同規則は米国の安全保障を強化するものにはならない。すでにゲーム用PCや消費者向けハードウェアで広く利用されている技術を含め、世界中の技術を管理することになる。新たな規制は、米国のグローバルな競争力を弱体化させ、米国を先進国に保ってきたイノベーションを損なう。同規則は120日間は強制力を持たないとはいえ、すでに米国の利益を損なっている」と指摘している。