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トヨタもロケット開発に投資 ISTに70億出資し、低コスト量産目指す

宇宙開発事業を行なうインターステラテクノロジズ(IST)は、ウーブン・バイ・トヨタと資本および業務提携に合意。トヨタは、リード投資家としてシリーズF ファーストクローズまでに約70億円を出資する。シリーズFは今後、セカンドクローズでの調達も予定している。ウーブン・バイ・トヨタから取締役も派遣し、コーポレートガバナンスを強化する。

世界の小型衛星打上げ需要は民間宇宙ビジネスの市場拡大、安全保障領域での重要性の高まり、衛星コンステレーションといった新しいアプリケーションの登場などを背景に、打上げ数が2016年の141基から2023年には2,860基と約20倍に急増している。

米国では2023年に年間116回、中国でも63回の打上げをしている一方、国内では3回と年数回に限られる。日本でも宇宙戦略基金の基本方針において、2030年代前半までに基幹ロケットと民間ロケットでの国内打上げ能力を年間30件程度確保する目標を掲げているが、これには一点モノから量産に耐えうるサプライチェーンへと国内宇宙産業の構造変革が不可欠になる。ISTはトヨタ生産方式など自動車業界の知見やノウハウを取り入れることで、ロケットを低コストで高品質、且つ量産可能なモノづくりへの転換を目指す。

ISTは2020年からトヨタ自動車との人材交流を始め、その後、トヨタ自動車北海道、トヨタ車体を含め、累計11名が出向している。今回の提携はこれらの継続的な取り組みを強固な戦略的提携として確立するもので、ロケットの量産化を視野に入れた原価低減やリードタイム短縮、量産体制の構築やサプライチェーンの強化、コーポレートガバナンスの強化に向けて共同で取り組む。

ISTは日本では初めて、ロケットと衛星通信による垂直統合型ビジネスを掲げる企業。同社が研究開発している衛星通信はスマートフォンなどの地上端末と直接つなぐことができる、高速かつ大容量の次世代ブロードバンド通信となる。