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スターリンクとドローンで「夜間遭難者捜索」 NTT Com
2024年12月4日 14:20
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、自律飛行型ドローン「Skydio X10」とStarlink Businessを使った、夜間人物探索の実証実験に成功した。場所は福島県昭和村。
Skydio X10の機能である夜間自律飛行とサーマルカメラによる温度検知により、困難な環境下での人物探索が可能であることを検証。衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business」を活用することで、電波が届かない場所でも遠隔地への映像伝送が可能となり、リアルタイムでの迅速かつ安全な状況把握を実現している。
災害時などの人命救助では、「72時間の壁」と言われるように一般的に被災後3日を過ぎると生存率が著しく低下するとされており、初動で迅速に救助者を発見・救助することが重要になる。特に山岳遭難では装備が不十分なまま入山しているケースが多く、夜間は気温が低下し生存率が低下するリスクが高い。
また、捜索依頼が夕暮れ間際に行なわれた場合、人による捜索は二次遭難のリスクが高まるため、夜間には捜索が行なえないこともある。今回の取り組みは、ドローンを活用することでこうした課題を解決するためのもので、夜間と昼間に安全で迅速な捜索活動を行なえるかを検証した。
米国ではドローンによる人物探索はDFR(Drone as First Responder)と呼ばれ、活用が広がっている。今回の実証は、日本で初めてのDFRユースケースとなる。
NTT Comには日本で初めてかつ唯一(2024年12月4日時点)の、Skydioが認定するDFR Program Managerが在籍しており、ドローンを活用したDFRプログラムの構築をサポートしている。
遭難者探索を迅速化
Skydio X10は夜間の自律飛行に対応しており、実証実験では、日没後でも安全に人物探索を継続できることを確認。従来のドローンでは困難であった場所にも進入し、安全に状況を確認できることを証明した。
サーマルカメラにより対象物の温度などを検知することで、夜間の視界が悪い環境や樹木などの障害物がある環境でも効率的に人物を確認でき、迅速な人命救助を可能にする。また、スポットライトを使用することで、上空90m付近からでも地上の人物を確認でき、サーマルカメラでとらえられない対象物も認識できることが確認された。Skydio X10でスポットライトを用いた夜間実証は日本初。
Starlink Businessを活用した映像伝送も実施。電波が届かないエリアからでも映像伝送を可能にし、遠隔地のオペレーターがリアルタイムに映像を受信して現地の状況を把握できる。
昼間における遭難者探索の支援も実証。Skydio X10が飛行中に探索対象者の緯度経度情報を記録し、その情報をもとに職員が遭難者を探索することで、およそ15万m2(東京ドーム3個分)の範囲の森林にいる探索対象者3名のもとに約40分程度で到達することができた。
今回の実証では自動・手動飛行を組み合わせて捜索と緯度経度情報を記録し、その情報をもとに約21分で1人目の捜索対象者のもとに職員が到達した。Skydio X10がリアルタイムに認識した緯度経度情報と現地での緯度経度座標のずれは、数m程度で、効率的な捜索が行なえることを確認している。
NTT Comでは、今回の効果検証を進め、Skydio X10などを活用した夜間人物探索の導入を目指し、自治体や災害対策機関への展開検討も進めていく。