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積水ハウス、防犯行動を徹底するほど「ALSOK」が安くなる警備サービス

積水ハウスはALSOKをサービス提供者として迎え、在宅時の行動や家の状態から防犯に関する行動習慣を可視化し価格に反映する「PLATFORM HOUSE touch(プラットフォームハウス タッチ)」の駆けつけ防犯サービス「駆けつけホームセキュリティ」の受付を12月13日に開始する。防犯行動に準じて価格が変動するセキュリティサービスは世界初。

プラットフォームハウス タッチは2021年12月から提供しているスマートホームサービス。住宅設備のスマホリモコンや、窓・玄関ドアの状態確認および異常状態通知、火災警報器鳴動通知、家族の帰宅や外出の通知といったセキュリティ関連、温湿度センサーでの部屋の状態可視化、熱中症アラート通知、家族の機器操作履歴といった住環境モニタリング機能を提供している。

現在は4,100邸を超える利用者がおり、サービスを通じて様々なデータを蓄積している。また、2023年9月から博報堂と協力し、「生活モーメント」(生活ログから見える住まい手の特徴的な生活意識が現れる瞬間)をAIで解析。生活習慣や行動の源泉(潜在意識)について可視化を進め、住まい手が認識している自身の防犯意識と実際の行動習慣に差分があることがわかった。また、家族の在・不在についても高精度で予測できるようになった。

駆けつけホームセキュリティでは、データ活用により可視化された住まい手の防犯に関わる行動習慣に準じて価格が変動。サービス利用を通じて防犯行動が可視化され、アプリに表示されることで住まい手の防犯意識を高め、行動改善を促すこともできる。

具体的には、住まい手の窓や玄関ドア、照明の操作といった、防犯に関する日々の行動習慣をプラットフォームハウス タッチの生活ログをもとに分析・可視化し、アドバイスをアプリに提示。あわせて、行動習慣を3段階評価し、この評価により駆けつけホームセキュリティの月額費用が決まる。月額は6,160円、5,610円、5,060円の3段階。

サービス対象となるのはプラットフォームハウス タッチを利用している家。プラットフォームハウス タッチの設備(窓鍵センサー・玄関ドア錠・火災警報器)が異常検知をALSOKに自動通報し、ガードマンが駆けつける。ガードマンによる警備状態は外出先からアプリで確認可能。セキュリティサービス用に設備を設置する必要がないため、初期費用なしで開始できる。

プラットフォームハウス タッチは現状では、新築戸建てで積水ハウスを利用した人が導入できる。今後リフォームやマンションにも展開するほか、外部にも展開できるようにしていくことを目指している。

プラットフォームハウス タッチは初期費用のほか月額2,200円の利用料で、駆けつけホームセキュリティは別料金のオプションサービスとして提供する。

「やっているつもり」でも「できていない」にフォーカス

積水ハウスの吉田裕明氏によれば、サービスを通じたデータから、AIで解析して生活習慣や行動の源泉を可視化しているが、これは、照明のオン/オフ、間取り、家族構成を把握できているからこそ出せる推定情報だという。例えば、夕食から就寝までの時間帯にLDKに家族が集まっているか、個別に過ごしているかが推定できる。

積水ハウス 常務執行役員 プラットフォームハウス推進部長 吉田裕明氏

防犯行動については、例えば玄関ドアを閉めた後に施錠するかどうかのデータが目安の1つとなりうる。

博報堂と協力して行動の可視化を進める目的は、家庭ごとに異なるニーズや生活習慣、価値観に対し、それぞれに合わせたサービスを提供するため。その1つが駆けつけホームセキュリティとなる。

サービス構築に向けては、生活ログを解析するのみでなく、利用者へのアンケートや行動記録の協力を要請し、生活ログと実生活との整合性を確認。各種調査を通じて、AIによって判定できる項目を導き出している。

博報堂の青木雅人氏によれば、客観的な生活ログと、主観に基づくアンケート調査を用いると、性質の異なる解釈を得られるという。例えば施錠や照明の点灯は行動の実態であり、アンケート回答の防犯への意識は自己認識となる。

博報堂 常務執行役員 コマースデザイン事業ユニット長 青木雅人氏

こういったデータから、「行動の実態」と「自覚している意識」の差分に機会を発見。「やっているつもり」でも「やっていない」「できていない」というギャップが存在した。これを「つもりギャップ」と名付け、「つもりギャップ」に着目した新サービス開発の検討を進めた。

今回サービスを提供する防犯に関して言えば、玄関錠の施錠に対する意識が「高い」世帯でも、プラットフォームハウスで把握した玄関錠の施錠割合が「少ない」邸が一定数存在する。

こういった「つもりギャップ」がある邸・人にはどのような特徴があるか、どのような時期・タイミングに多いか、どのような状況で多いかを導き出し、新サービスの方向性を「実体と意識の差分が発生しやすい時期やモーメントにあったアラート」とした。

積水ハウスでは今後もAI解析を継続し、住まい手のニーズや生活習慣などに合わせたサービスアップデートを行なう計画。また、様々な業種の企業との共創を通じて、利用者への新しい価値提供を目指す。

発表会ではそのほか、ALSOKの宮島裕氏が、宅内での防犯は玄関ドア、窓、照明などへのこまめな行動や警備対策が有効であることを紹介した。

ALSOK 常務執行役員 宮島裕氏
左から、ALSOK 宮島氏、積水ハウス 吉田氏、博報堂 青木氏